地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!

楓乃めーぷる

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第二章 社長のための期間限定パートナー

29.夕飯の誘い再び

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「何にせよ、少し動く必要がありそうだ。小鳥さんに何か関係があるとしたら、彼女が孤児であることに関係がありそうだ」
「秦弥、お前……」

 社長はじっと責めるように氷室さんを見る。
 確かに私に関係があるとしたら、私の出生について知る必要があるのかもしれない。

「……確かに。私は生まれてからすぐ預けられたので両親のことは全く分からないですし、今までそんなに気にしたこともなかったんですよね」
「……すまない、配慮のない発言だった」

 氷室さんが頭を下げるので慌てて手を振って苦笑する。

「いいえ、気にしてません。その通りだと思いますよ。少し緊張しますけど……まずは私がいた施設に行って園長先生に聞いてみます」
「そっか……俺もこんなことになるとは思ってなくて、ごめん」
「社長まで。でも気になりますし、何が出ても驚かないように構えておきますから」

 おどけて笑ってみせる。
 今まで何度か調べてみようと思ったことはあったけれど、あえて気にしてこなかったからいい機会なのかもしれない。

 両親の顔も知らなかったので恨むという感じでもなかったし、寂しい時もあったけど施設で過ごしていた時間が楽しかったから、それは良かったのかなって思ってるし。

「それなら、明日は休暇を取ってゆっくり行ってきて。こっちは大丈夫だから」
「そうだな。もしこちらで何か役立てることがあれば声をかけて欲しい。明日は社内での仕事が主だから、問題ないだろう」

 二人からの申し出に驚いたけど、園長先生とはゆっくりと話してみるのもありかもしれない。
 急だけど、休暇をありがたくいただくことにした。

「何かご飯食べ損ねたからお腹空いたよね。おしゃれな店とかじゃなくていいからお腹いっぱい食べたくない?」
「何を急に言いだすと思ったら。しかし、たまには早めに上がるのも悪くはないか」

 氷室さんがそんなことを言うなんて……!
 普通に驚いていると、氷室さんが微妙な表情で私を見る。

「そんなに私が早上がりというとおかしいか?」
「おかしいかおかしくないかで言ったら、おかしいですけど。でも、色々気にしてくださってることは何となく分かるので。ありがとうございます」
「君は本当に口が減らないな。まあ、元気に越したことはないか。私の好きなラーメン屋があるのだが、どうだろうか」

 まさか氷室さんまでご飯に誘ってくれるとは意外すぎる。

「へえー。俺もそれ初耳なんだけど」
「お前に言う必要もないだろう? 今の時間からならばそんなに並ばずに入れるはずだ」

 何だか社長たちと良くご飯を食べに行っている気がするんだけど、紹介してくれるお店は全部美味しいお店ばかりだし今回も連れて行ってもらうことにした。
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