地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!

楓乃めーぷる

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第三章 自分のこと、これからのこと

37.この後の予定は

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 今日一日の出来事も、迷ったけど氷室さんに打ち明けた。
 抱えているのも重苦しかったし、神妙な顔で静かに聞いてくれたから話しやすかった。

「そうか……話してくれてありがとう」
「お礼を言うのは私の方です! ありがとうございます」
「いや……本来であれば無理に知る必要もなかったことを、我々が巻き込んだばかりに君には辛い思いをさせた」
「いえ……辛くないと言えば嘘になりますけど、知って良かったと思ってます。父親のことも……ここまで来るともう……」

 私が長く息を吐き出すと、氷室さんも黙り込んでしまった。
 社長が逆に詳しく聞いているかもしれないし、それを待ってからでもいいのかな。

「とにかく、入社した時からドラマみたいで現実感がなかったし。正直怖いですけど、なるようにしかならないですものね」
「私も上司として君の支えにならなくてはいけないな。何でも相談して欲しい」

 眼鏡の奥から真剣な眼差しを向けられると、少しドキっとする。
 会社でのことを言っているのは分かるんだけど、支えになるだなんて言われたことなかったから、嬉しい……かも。

「氷室さん、ありがとうございます。あ……図々しいんですけど。この後もう少しお時間ありますか? 行きたい場所があるので、巻き込んでもいいでしょうか?」

 ここまで来たらお酒の勢いで、私の心を癒やすものに付き合ってもらっちゃおうかな?
 緊張の面持ちで見つめていたんだけど、何故か顔を逸らされた。

 やっぱり、強引だったかな?
 行く場所は大したことない場所で、ここまで来たら一人より二人の方がいいかなあって思ったんだけど……。

「君も明日休みだろうし、私も休日だから構わないが……そこも他意がない場所ということだろうか」
「はい。上司と部下で、部下にお付き合いいただく、と思っていただけたら。決して男女ということではありませんので」

 ここまで言うとそれはそれで……なんだかわざとらしいのかな?
 私も大してお付き合いとかしたことないから、なんて言えば正解とか分からない。
 氷室さんはもっと分からないみたいだし、まあ……嫌だったら嫌で仕方ないからいいんだけど……。

「よく分からないが、今日の君は誰かと一緒にいるのが良さそうだ。私でいいのならば構わない」
「このタイミングで社長を呼んだりしませんよ。氷室さんの方が安心感もありますし。私のこときちんと見てくださってる気がしますから」

 ニコっと笑いかけると、氷室さんが瞬きしてから困ったように目を泳がせてワインをグイッと飲み干した。
 私、変なこと言ったかな……。

「あまり遅くならない程度に。何というか……いや、なんでもない」

 いきなり誘っているし、冷静に考えたら私がナンパしてるみたいだよね。
 うーん……社長のこと、言えないな。
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