村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~

楓乃めーぷる

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64.お別れの後は

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 フェニックスは最後に一声鳴くと、そのまま不思議な穴の中へ入っていく。
 僕たちが見守っていると、そのまま穴は消えちゃってフェニックスもいなくなった。

「なんだかあっさりしたヤツだったな。気が向いたらまたこちらに来るのだろうな」
「そうね。ひと暴れしてスッキリしたのかしら? コッチはいい迷惑だったけど」

 ラグお姉さんは楽しそうに笑ってるけど、ルナちゃんはやっぱりぷんすかしてる。
 オルお兄さんはゆっくりと身体を動かして、自分がケガをしてないかどうか確かめてるみたいだ。

「フェニックスがお怒りだった時はどうしようかと思いましたが、無事和解できて安心しました。これもフィロさんのおかげです」
「そんなことないです! 僕は無茶して怒られちゃったし、みんなのおかげです。ルイーツさんも一緒にお話してくれたから心強かったです」

 僕たちがお礼を言い合ってると、ポイもくるりと周りを飛んで一緒に喜んでくれてるみたいだ。
 ポイがいなかったら、僕はこうしてお話することもできなかったかもしれない。
 ポイがいてくれて、本当に良かった。

「ポイ、これからもよろしくね」
「ピィ! ピピピ!」

 ポイと一緒にいられるのも、みんながガマンしないでって言ってくれたおかげだ。
 僕はずっとガマンしなくちゃって思っていたけど、それだけじゃダメなんだ。
 僕が最後まで自分の気持ちをガマンしていたら、ポイとはここでお別れしていたかもしれない。
 
「さて、さすがに疲れたし一旦小屋まで戻ろうか。途中の魔物くらいは手負いでも何とかなるだろう」
「変なのが出たら、ラグがドラゴンになっておどかせばいいんじゃない? それかオルが熊になればいいのよ」
「そうだな。俺は姿を変えるくらいの魔力は残っている。いざとなったらそうしよう」

 ルナちゃんは今魔法を使えないみたいだし、僕はオルお兄さんにさっとおんぶされちゃった。
 ルイーツさんはまだ大丈夫だって言ってるけど、ラグお姉さんと一緒で疲れてるはずだ。
 
「ルナはまだ歩けるか?」
「魔法が使えないだけで、歩くくらい平気よ。子どもなのはフィロだけなんだから」
「そうか。じゃあもう少し頑張ってもらおうか」

 ラグお姉さんがくすくすって笑うと、ルナちゃんはぷんぷんする。
 いつもの二人のやり取りを見ていると、僕も笑顔になってくる。

「ちょっと! フィロは大人しくしてなさいよ? ポイのおかげで生きてるけど、あんたが一番危なっかしいんだから!」
「うん。オルお兄さんに甘えてるから大丈夫だよ。戦う時はちゃんと下ろしてもらって隠れてるから」
「それならいいけど。とりあえずさっさと戻りましょう! あたしはひと眠りしたい気分なんだから」

 本当はこのまま城下町まで戻りたいけど、回復も大事だからまずは小屋まで行くことになった。
 僕は今おんぶされてるだけだけど、このあと馬に乗ったら寝ちゃいそうだ。
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