村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~

楓乃めーぷる

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67.いっぱいほめられちゃった

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 僕たちはスタンさんに連れられて、王様のいる玉座の間へ案内される。
 何回来てもドキドキそわそわしちゃうな。

 近衛騎士このえきしの人にとびらを開けてもらうと、玉座の間にいた王様が階段の上の椅子から下りて僕たちの方へやってくる。
 王様の顔はとってもうれしそうで、ニコニコしてる。

「ルイーツから話を聞いて居ても立っても居られなくてな。此度こたびは願いを聞き入れてもらうだけでなく国の危機を救ってくれたこと、心より感謝している」
「礼ならばフィロへ。命をかけてカステロッシとこの国に住む皆のことを思い、フェニックスと対話していたのだからな」

 ラグお姉さんは、カッコよく僕へ笑いかけてくれた。
 みんなを心配させちゃったのに、ラグお姉さんの言い方はすごく優しい。
 王様も笑顔でうなずいて、スタンさんと一緒に頭を下げてくれたんだけど……僕たち冒険者に頭を下げるって、とっても大変なことな気がしてあわあわしちゃう!

「そんな! 顔をあげてください、王様!」
「カステロッシの国を束ねる者として当然のことだ。無理な願いを聞き入れてくれただけではなく、フェニックスが人間に向けていた憎しみすら消してしまうとは。フィロは賢者様の末裔まつえいに違いない」
「陛下のおっしゃる通りです。あなた方がいなければ、フェニックスの怒りはおさまらずに国ごと滅ぼされてしまったかもしれません。フィロさんと皆様には感謝しかありません」

 二人にていねいに言われちゃうと、どうしていいか分からない。
 僕が困っていると、ルナちゃんが僕の腕をぎゅっと捕まえて王様たちの方を見る。

「フィロは死にかけたんだから! ポイがいなきゃ危なかったんだし、いっぱい感謝してよね!」
「ピピッ!」

 ルナちゃんが言うと、ポイも僕の胸ポケットから出てきて僕の肩へと止まった。
 ポイがフェニックスの子どもだってことも、ルイーツさんはお話してるはずだもんね。

「おお、まさしくフェニックスの子に違いない! 君も我が国の恩人だ」
「ピピ、ピッ!」

 ポイも頑張ったでしょって、王様に胸を張っているみたい。
 僕もポイに助けてもらってるし、ポイはみんなのことも助けてくれた良い子だもんね。
 
「フェニックスの子と多種族の仲間たちと共に旅をする賢者フィロ様の話は、カステロッシで長く語り継がれていくでしょう」
「フィロの活躍は語り継ぐべきものだ。俺もフィロは立派だったと思う」

 オルお兄さんまでほめてくれるから、どうしたらいいか分かんなくなっちゃう。
 助けを求めてラグお姉さんを見上げる。

「たくさんほめられて、子どもは育つものだ。しかしフィロは国を救った英雄だからな。単純に子ども扱いしてはダメか。こういう時こそポイのように胸を張るといい」
「なんか恥ずかしいなあ……」
「何言ってるのよ! 頑張ったんだから、たくさんお礼をもらわなくちゃ!」

 ルナちゃんがズバリ言っちゃうから、王様も楽しそうにハッハッハ! って笑い始めちゃった!
 ハッキリ言っちゃったら、僕たちがお礼ちょうだいって言ってるみたいなのに……ルナちゃんったらもう。
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