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第三話 失われた真実
第十章:3 白虹(はっこう)の皇子(みこ)の誠意
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「姫君には信じがたい話かもしれないが、私は世界が破滅し、失われることなど望んでいない。出来るだけ早く豊かな世を取り戻し、輝いた未来が約束されることを望んでいる」
「――なぜ、ですか。私には、天地界が闇呪の君にとって心地の良い住処であったとは思えません。決して自分を認めない世界なのに、そんな思い入れがあるなんて、とても不思議です。不自然だと言ってもいいかもしれません」
「たしかに、そうかもしれない」
遥はますます自嘲的に眼差しを伏せる。それが寂しげに見えたのは彼方だけではなく、雪も同じだったのだろう。彼女は慌てたような身振りをしながら詫びた。
「あの、失礼なことを言ってごめんなさい。でも、どうしてですか? どうして自分を必要としない世界の未来を望むのですか」
臆することなく遥を仰いで、雪は真摯な眼差しを向けた。恐れることのない気丈さに、彼方の良く知っている気の強さが見え隠れしている。雪のそんな気性に触れて、遥は困ったように息をついた。
「それを姫君に語る必要はありませんが、――例えば、あなたの魂魄が病によってあとわずかで費えるとすれば、どのように考えるのか。自身の宿世を怨み、嘆いて、哀しんで、けれど、結局最後に願うことは?」
突然の問いかけに、雪は答えることができないようだった。彼の意図が掴めずにいるのかもしれない。遥は穏やかに続ける。
「きっとあなたは残された者の幸せを考える。国の安泰、世界の安定、そして何よりも、比翼である王子が生きる世が豊かであって欲しいと、そう願う」
はっとしたように、雪が大きな瞳を揺るがせる。彼方にも、彼女の戸惑いが伝わってきた。言葉を交わすほど、急激に覆されていく彼の輪郭。ずっと思い描いていた悪の虚像には、相応しくない心の有様。彼の内に築かれた世界も、自分達と変わることのない情景を描いている。それを思い知らされたのだ。
雪は遥に向かって、深く頷いてみせる。遥は締めくくるように告げた。
「姫君、私の望みも同じです」
語る必要はないと言いながらも、彼は答えてくれたのだ。彼方は雪に歩み寄って、小さな肩に手を置いた。
「副担任……」
それ以上の追求に答えてくれるのかは判らない。彼方はためらったが、迷いを振り払うように声を張って続けた。
「副担任は、前に護るべき者があると言っていたよね。それに、影脈を開くこともできる。あなたには、既に心を捧げた誰かがいるんだ。かけがえのない翼扶が在る」
確かに何かを言い当てたと思ったのに、遥は動じることもない。まるで嘲笑うように彼方を見た。
「いつまでもその妄想癖に付き合っていられないが、君はそれが朱里だとでも言いたいのか」
彼方は首を振って見せた。それが都合の良い思い込みであることは認めざるを得ない。朱里は決して彼の翼扶にはなれないのだ。天籍も真名も持たない、この異界に生まれた人間なのだから。
判っていたが、それでも朱里が関わる思い込みを切り捨てることが出来ない。彼方は半ば強引に推理を組み立ててぶつけた。
「委員長はこちらの人間だから、副担任の翼扶にはなれない。だけど、無関係だとも思えない。きっと委員長は、あなたの翼扶と関わりを持っていて、……だから副担任に護られている。僕にはそんなふうに思える」
遥は答えることはせず、踵を返した。
「私には君達を信じる理由がない。天界へ戻ったほうが良い」
もう話すことはないと言いたげに、彼は背を向けたまま歩き出そうとする。彼方が呼びかけるより早く、奏が彼の前に立ち塞がるように廻りこむ。行く手を阻まれた遥は、仕方なくその場に立ち止まった。
「白虹の皇子、もう話すことはありません」
「地界の水源が腐敗を始めたのは事実です」
奏は厳しい眼差しで遥を見据えた。
「闇の地に見られた鬼の坩堝は失われたままです。あなたがこの異界に渡ったせいでしょう。それは護るべき者のために、地界を、我々の世を見捨てたということですか」
「鬼の昇華は頃合を計って守護に命じています。私の我儘が守護に大変な負担をかけていることは認めますが、地界の疲弊が急激に進むほど放置した記憶はありません」
はっきりと言い切られて、奏が眉根を寄せる。何かが食い違っていると感じたに違いない。彼方も同じ気持ちだった。
「では、……水源の腐敗を招いたのは、いったい」
奏の戸惑った表情を見て、ようやく遥も語られた事実の深刻さを察したようだった。端正な顔にわずかな動揺が走る。
「皇子、それは本当に事実ですか」
彼の問いかけには、雪が即座に答えた。
「兄様の言っていることは本当です。間違いありません」
「……莫迦な、なぜ」
吐き捨てるように小さく呟き、遥は口元に手を当てて懸命に何かを辿っているようだった。表情が苦渋に占められていくのが判る。
「ならば、黄帝はいったい何を考えておられる」
搾り出すような独り言には、わずかな怒りが込められている気がした。彼方には彼が何を思っているのか判らない。
「じゃあ、副担任は地界を見捨てたわけじゃないんだね」
「翡翠の王子」
遥は激情を押し殺すように、ぞっとするほど低い声で語る。
「君が黄帝のために動いているのなら、戻って伝えるが良い。私はただ陛下の真意を知りたいだけ。それほどに憂慮されるのならば、ご自身で真実を確認なされば良い。私は逃げも隠れもしないと」
「ちょっと待ってよ。いきなり何の話? 僕は黄帝の命令で動いているわけじゃない」
突如遥の内に生まれた苛立たしさが、彼方の前に途轍もない溝を作ったような気がした。彼方が焦って奏を振り返ると、彼は厳しい顔をしたまま頷く。
「闇呪の君、翡翠の王子が言っていることに偽りはありません。私達にも黄帝の真意が判らないのです」
「そうだよ。だから、僕達はこちらへ来たんだ。何を信じれば、どうすれば良いのか判らないから」
遥は黙り込んだまま、じっと彼方を見据えていた。四面楚歌と言っても良い立場にある彼が、自分達を信じることは容易くない。判っていたが、彼方はどうにかして誤解を解きたかった。まるで足掻くように叫んでしまう。
「本当だってば、嘘じゃない。信じてよ、副担任」
彼の中に生まれた苛立ちが緩まない。彼方は込み上げてきた悔しさに任せて、強く掌を握り締めた。
どうすれば信じてもらえるのかと考えるが、何の策も浮かんでこない。
彼がこれほどに苛立つ理由にすら、彼方はたどり着くことが出来ないのだ。
「何かあったのですか」
奏の穏やかな声が問いかけるが、遥は押し黙ったままだった。彼との間にある大きな壁を打ち砕く術を持たないのは、奏も同じなのだ。彼方が成す術もなく立ち竦んでいると、奏は緊張感のない面持ちで微笑んだ。仕方がないと言いたげに、そっと吐息をつく。
「あなたが私達を信用できないのは、無理もありません。何の証もなく、ただ信じてもらおうと考える方が愚かです」
他愛ないことを語るように呟き、奏はふっと虚空に手を這わせた。抜刀を思わせない、さりげない仕草に見えたのは、彼が微笑んでいたからだろうか。
彼方は目の前で輝く白虹剣に目を奪われる。奏はためらいもなく、その場に膝をつくと手にした剣を掲げるように持ち上げて、遥へ差し出した。
「私達はあなたの敵ではない。その証として、この剣をあなたに預けましょう」
「に、兄様っ」
雪の小さな悲鳴を聞いて、彼方はようやく我に返った。目の前で繰り広げられている展開の深刻さに気がついて、慌てて奏に駆け寄る。
「み、皇子、じゃない、奏っ。いったい何を考えているんだよ」
「せめてもの証です」
奏は簡単に答える。自身の剣を誰かに委ねる重大さを欠いているような呆気なさだった。度を過ぎた誠意に戸惑っているのは、どうやら遥も同じようだ。渦巻いていた苛立ちは鎮まったらしく、剣を掲げる皇子の手に触れて押し戻す。
「白虹の皇子、どうか顔を上げて剣を収めてください。気持ちは判りました」
遥が同じように膝をつくが、奏は頭を下げたまま動かない。
「闇呪の君、では私を信じて話してください。何があったのですか」
奏は一向に姿勢を崩さない。
「全てを話してくださいとは言いません。あなたが語っても良いと感じることだけで良いのです」
「――なぜ、ですか。私には、天地界が闇呪の君にとって心地の良い住処であったとは思えません。決して自分を認めない世界なのに、そんな思い入れがあるなんて、とても不思議です。不自然だと言ってもいいかもしれません」
「たしかに、そうかもしれない」
遥はますます自嘲的に眼差しを伏せる。それが寂しげに見えたのは彼方だけではなく、雪も同じだったのだろう。彼女は慌てたような身振りをしながら詫びた。
「あの、失礼なことを言ってごめんなさい。でも、どうしてですか? どうして自分を必要としない世界の未来を望むのですか」
臆することなく遥を仰いで、雪は真摯な眼差しを向けた。恐れることのない気丈さに、彼方の良く知っている気の強さが見え隠れしている。雪のそんな気性に触れて、遥は困ったように息をついた。
「それを姫君に語る必要はありませんが、――例えば、あなたの魂魄が病によってあとわずかで費えるとすれば、どのように考えるのか。自身の宿世を怨み、嘆いて、哀しんで、けれど、結局最後に願うことは?」
突然の問いかけに、雪は答えることができないようだった。彼の意図が掴めずにいるのかもしれない。遥は穏やかに続ける。
「きっとあなたは残された者の幸せを考える。国の安泰、世界の安定、そして何よりも、比翼である王子が生きる世が豊かであって欲しいと、そう願う」
はっとしたように、雪が大きな瞳を揺るがせる。彼方にも、彼女の戸惑いが伝わってきた。言葉を交わすほど、急激に覆されていく彼の輪郭。ずっと思い描いていた悪の虚像には、相応しくない心の有様。彼の内に築かれた世界も、自分達と変わることのない情景を描いている。それを思い知らされたのだ。
雪は遥に向かって、深く頷いてみせる。遥は締めくくるように告げた。
「姫君、私の望みも同じです」
語る必要はないと言いながらも、彼は答えてくれたのだ。彼方は雪に歩み寄って、小さな肩に手を置いた。
「副担任……」
それ以上の追求に答えてくれるのかは判らない。彼方はためらったが、迷いを振り払うように声を張って続けた。
「副担任は、前に護るべき者があると言っていたよね。それに、影脈を開くこともできる。あなたには、既に心を捧げた誰かがいるんだ。かけがえのない翼扶が在る」
確かに何かを言い当てたと思ったのに、遥は動じることもない。まるで嘲笑うように彼方を見た。
「いつまでもその妄想癖に付き合っていられないが、君はそれが朱里だとでも言いたいのか」
彼方は首を振って見せた。それが都合の良い思い込みであることは認めざるを得ない。朱里は決して彼の翼扶にはなれないのだ。天籍も真名も持たない、この異界に生まれた人間なのだから。
判っていたが、それでも朱里が関わる思い込みを切り捨てることが出来ない。彼方は半ば強引に推理を組み立ててぶつけた。
「委員長はこちらの人間だから、副担任の翼扶にはなれない。だけど、無関係だとも思えない。きっと委員長は、あなたの翼扶と関わりを持っていて、……だから副担任に護られている。僕にはそんなふうに思える」
遥は答えることはせず、踵を返した。
「私には君達を信じる理由がない。天界へ戻ったほうが良い」
もう話すことはないと言いたげに、彼は背を向けたまま歩き出そうとする。彼方が呼びかけるより早く、奏が彼の前に立ち塞がるように廻りこむ。行く手を阻まれた遥は、仕方なくその場に立ち止まった。
「白虹の皇子、もう話すことはありません」
「地界の水源が腐敗を始めたのは事実です」
奏は厳しい眼差しで遥を見据えた。
「闇の地に見られた鬼の坩堝は失われたままです。あなたがこの異界に渡ったせいでしょう。それは護るべき者のために、地界を、我々の世を見捨てたということですか」
「鬼の昇華は頃合を計って守護に命じています。私の我儘が守護に大変な負担をかけていることは認めますが、地界の疲弊が急激に進むほど放置した記憶はありません」
はっきりと言い切られて、奏が眉根を寄せる。何かが食い違っていると感じたに違いない。彼方も同じ気持ちだった。
「では、……水源の腐敗を招いたのは、いったい」
奏の戸惑った表情を見て、ようやく遥も語られた事実の深刻さを察したようだった。端正な顔にわずかな動揺が走る。
「皇子、それは本当に事実ですか」
彼の問いかけには、雪が即座に答えた。
「兄様の言っていることは本当です。間違いありません」
「……莫迦な、なぜ」
吐き捨てるように小さく呟き、遥は口元に手を当てて懸命に何かを辿っているようだった。表情が苦渋に占められていくのが判る。
「ならば、黄帝はいったい何を考えておられる」
搾り出すような独り言には、わずかな怒りが込められている気がした。彼方には彼が何を思っているのか判らない。
「じゃあ、副担任は地界を見捨てたわけじゃないんだね」
「翡翠の王子」
遥は激情を押し殺すように、ぞっとするほど低い声で語る。
「君が黄帝のために動いているのなら、戻って伝えるが良い。私はただ陛下の真意を知りたいだけ。それほどに憂慮されるのならば、ご自身で真実を確認なされば良い。私は逃げも隠れもしないと」
「ちょっと待ってよ。いきなり何の話? 僕は黄帝の命令で動いているわけじゃない」
突如遥の内に生まれた苛立たしさが、彼方の前に途轍もない溝を作ったような気がした。彼方が焦って奏を振り返ると、彼は厳しい顔をしたまま頷く。
「闇呪の君、翡翠の王子が言っていることに偽りはありません。私達にも黄帝の真意が判らないのです」
「そうだよ。だから、僕達はこちらへ来たんだ。何を信じれば、どうすれば良いのか判らないから」
遥は黙り込んだまま、じっと彼方を見据えていた。四面楚歌と言っても良い立場にある彼が、自分達を信じることは容易くない。判っていたが、彼方はどうにかして誤解を解きたかった。まるで足掻くように叫んでしまう。
「本当だってば、嘘じゃない。信じてよ、副担任」
彼の中に生まれた苛立ちが緩まない。彼方は込み上げてきた悔しさに任せて、強く掌を握り締めた。
どうすれば信じてもらえるのかと考えるが、何の策も浮かんでこない。
彼がこれほどに苛立つ理由にすら、彼方はたどり着くことが出来ないのだ。
「何かあったのですか」
奏の穏やかな声が問いかけるが、遥は押し黙ったままだった。彼との間にある大きな壁を打ち砕く術を持たないのは、奏も同じなのだ。彼方が成す術もなく立ち竦んでいると、奏は緊張感のない面持ちで微笑んだ。仕方がないと言いたげに、そっと吐息をつく。
「あなたが私達を信用できないのは、無理もありません。何の証もなく、ただ信じてもらおうと考える方が愚かです」
他愛ないことを語るように呟き、奏はふっと虚空に手を這わせた。抜刀を思わせない、さりげない仕草に見えたのは、彼が微笑んでいたからだろうか。
彼方は目の前で輝く白虹剣に目を奪われる。奏はためらいもなく、その場に膝をつくと手にした剣を掲げるように持ち上げて、遥へ差し出した。
「私達はあなたの敵ではない。その証として、この剣をあなたに預けましょう」
「に、兄様っ」
雪の小さな悲鳴を聞いて、彼方はようやく我に返った。目の前で繰り広げられている展開の深刻さに気がついて、慌てて奏に駆け寄る。
「み、皇子、じゃない、奏っ。いったい何を考えているんだよ」
「せめてもの証です」
奏は簡単に答える。自身の剣を誰かに委ねる重大さを欠いているような呆気なさだった。度を過ぎた誠意に戸惑っているのは、どうやら遥も同じようだ。渦巻いていた苛立ちは鎮まったらしく、剣を掲げる皇子の手に触れて押し戻す。
「白虹の皇子、どうか顔を上げて剣を収めてください。気持ちは判りました」
遥が同じように膝をつくが、奏は頭を下げたまま動かない。
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