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やっぱりこれが・・・
三、
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事務局に帰ってスーツの柄で喧嘩になった。
猫の柄はやっぱり納得が行かなかったが、いつになっても終わらないので、僕が折れる感じで納得した。
僕が三毛猫、ロビンがトラ柄の猫の絵がついたスーツだ・・・・明日それを着るのかと思うと少し気が重かった。
そしてまた夜遅くまで鍵盤ハーモニカの特訓をした。
耳あてをしているから、生霊の声は聞こえないが、僕の下手くそな鍵盤ハーモニカの音色に大騒動しているに違いないと思った。
それから数日・・変わらない面白い日々が続いた。
毎朝通っている山野サクラはジャージを新調し、スニーカーも自分にあったものを買って、自分から進んでストレッチをしながら、マンションの玄関でボクらを待っていた。雨の日は部屋の中でウオーキングマシンを買って、同じように1時間半、みっちり運動し、どんどん顔色がよくなっていった。
山田も新転地で頑張っていた。辛いこともたくさんあるが、努力家で真面目だから、少しづつだが信頼を集めていた。家族とは相変わらず縁が薄いようだったが・・・すべてがうまくいかないのが呪いなんだとロビンは言っていた。
あの頑固なじいさん、大平幹三郎はとても明るくなって、最近は散歩に出かけているらしい。乳母車を押して・・・この間その中を覗いたら、ちゃっかり疫病神がいた。お菓子屋さんに行って、自分の好きな菓子を買うように仕向けていた。疫病神もとても顔色もよく、かなりぽっちゃりしたように見えた。
秋山とふたりの小学生は・・・秋山がふたりの小学生の家庭教師をしていた。
ビラ配りとピザ屋のバイトはやめたようだ。ロビンは3人いっぺんに終わって時間短縮できると喜んでいた。この3人も幸せになったんじゃないかと聞いたら、秋山には新たに悩みが増えた。その悩みは親の後を継いで技術者になるか、このふたりに勉強を教えたことで、新たに教師になるという夢ができてしまったこと。それで今、秋山はとても悩んでいると・・・。
「それって・・・やっぱり幸せなんじゃないですかね・・・ぼくは呪われていたとき死ぬか生きるかって感じでしたけど。」
「そういう時もあっていいんじゃない?そのくらい辛いほうがその次にくる幸せがより嬉しいでしょ。その不幸だった時に戻りたくないから頑張るし。こいつらだって、次に呪う担当が俺とは限らないよ。それでもくじけずに頑張って欲しいけどね。」
「ロビンってさ・・・・いや、何でもないよ。」
本当にいいやつだなって言いたかったけれどやめた。一応悪魔で、そういういい方は怒られると思ったから。
大田は会社に戻ったが一人ぼっちだった。今までの自分の行いを反省しているのだろうかと思ったが、そうでもなさそうで、昔の仲間が一人になったところを付け狙っては、仕返しをしていた。どこまでいっても救えないやつだ。そんなやつだったが、これも僕が悪魔として一人前になるための勉強なんだからと、なるべく冷静に弾けるように努力した。
たまにかっとなって締め付けることもあったが、そんな時ロビンは僕の背中をそっと静かに押して教えてくれた。
数日がすぎて、グリーンも、もうすこしで一人前になれそうだと喜んでくれていたある日、バルビンバーが血相を変えて飛んできた。
「マーブル・・・悪いけどちょっとだけ来てくれないか・・・」
「どうしたんだ・・・今日から僕らは2件も新しいところが増えるんだ。」
「締めかたが悪かったのか、とても苦しんでいるんだ・・・
死なれると僕の成績も落ちちゃうから、お願いだちょっとだけ見てくれないか・・・ここからそんなに遠くないから。お願い。」
真剣に懇願するバルビンバーにロビンは断りきれない様子だった。
「じゃあ、ちょっとだけ行ってくるけれど、次のところへ一人で行けるか?」
「大丈夫。行って。」
「終わったら追いかけるからな。」
バルビンバーに引っ張られて行くロビンを見送りながら、心細い思いもあったが、同じくらいできそうな気もしていた。いままで通りやって来たことを頭の中で復習しながら歩いていると、まるで一人になるのを待っていたかのようBにセスカが現れた。
「エーゴ マーブルにあの話。確かめてみたか?」
「まだ言っていたのか・・・しつこいな。聞いたけれど、アレは君の勘違いだよ。
前にいたバディは魔女が魔法をかけたカエルだったんだ。マーブルの方位磁針を飲み込んで魔女の谷へ帰って行ったのを追ってたから、そう見えたんじゃないかな・・・。セスカ 君がどこであの話を聞いてきたかわからないけれど、僕は・・・と・・・とにかく僕はマーブルの事を信じている。マーブルのことが大好きで、ずっとバディでいたいんだ。」
セスカの視線が怖くて足がガタガタ震えたけど、なんとか言い切った。言い切って振り払って逃げようとしたところで、もう一度つかまった。
「わかったよ。君のいう通りだったかも知れない。きっと僕の勘違いだ。ごめんよ。
だけど、持って行かれたものがそんなに大切にしていたものなら、君が取ってきてあげたらどうだ?」
「知らないんですか?悪魔は魔女の谷には入れないんですよ。」
「知ってるさ。だけど、君はまだ、ほとんど人間じゃないか、大丈夫。いけるよ。
僕が道を教えるよ。近くまで送っていく。そんなに遠くないんだ。君はマーブルのことが大好きなんだろ?
だったらとってきてやったらいいじゃないか・・・きっと喜ぶぞ。」
「今日は頼まれている仕事があるんだ、一人でちゃんとやってくるようにって。だから・・・ムリです。」
「明日!明日待っているよ。時間は何時でもかまわない。君がここへ来たら僕にはわかるから・・・」
最後まで聞かずに飛び出した。
追われたら必ず捕まるとわかっていたが、できるかぎりの力で逃げた。
けど、セスカは追ってこなかった。
振り返ることはしなかったが、セスカの冷ややかな目線がいつまでも背中を追っ来るのが分かった。
だから、もっと、もっと早く走って逃げた。
猫の柄はやっぱり納得が行かなかったが、いつになっても終わらないので、僕が折れる感じで納得した。
僕が三毛猫、ロビンがトラ柄の猫の絵がついたスーツだ・・・・明日それを着るのかと思うと少し気が重かった。
そしてまた夜遅くまで鍵盤ハーモニカの特訓をした。
耳あてをしているから、生霊の声は聞こえないが、僕の下手くそな鍵盤ハーモニカの音色に大騒動しているに違いないと思った。
それから数日・・変わらない面白い日々が続いた。
毎朝通っている山野サクラはジャージを新調し、スニーカーも自分にあったものを買って、自分から進んでストレッチをしながら、マンションの玄関でボクらを待っていた。雨の日は部屋の中でウオーキングマシンを買って、同じように1時間半、みっちり運動し、どんどん顔色がよくなっていった。
山田も新転地で頑張っていた。辛いこともたくさんあるが、努力家で真面目だから、少しづつだが信頼を集めていた。家族とは相変わらず縁が薄いようだったが・・・すべてがうまくいかないのが呪いなんだとロビンは言っていた。
あの頑固なじいさん、大平幹三郎はとても明るくなって、最近は散歩に出かけているらしい。乳母車を押して・・・この間その中を覗いたら、ちゃっかり疫病神がいた。お菓子屋さんに行って、自分の好きな菓子を買うように仕向けていた。疫病神もとても顔色もよく、かなりぽっちゃりしたように見えた。
秋山とふたりの小学生は・・・秋山がふたりの小学生の家庭教師をしていた。
ビラ配りとピザ屋のバイトはやめたようだ。ロビンは3人いっぺんに終わって時間短縮できると喜んでいた。この3人も幸せになったんじゃないかと聞いたら、秋山には新たに悩みが増えた。その悩みは親の後を継いで技術者になるか、このふたりに勉強を教えたことで、新たに教師になるという夢ができてしまったこと。それで今、秋山はとても悩んでいると・・・。
「それって・・・やっぱり幸せなんじゃないですかね・・・ぼくは呪われていたとき死ぬか生きるかって感じでしたけど。」
「そういう時もあっていいんじゃない?そのくらい辛いほうがその次にくる幸せがより嬉しいでしょ。その不幸だった時に戻りたくないから頑張るし。こいつらだって、次に呪う担当が俺とは限らないよ。それでもくじけずに頑張って欲しいけどね。」
「ロビンってさ・・・・いや、何でもないよ。」
本当にいいやつだなって言いたかったけれどやめた。一応悪魔で、そういういい方は怒られると思ったから。
大田は会社に戻ったが一人ぼっちだった。今までの自分の行いを反省しているのだろうかと思ったが、そうでもなさそうで、昔の仲間が一人になったところを付け狙っては、仕返しをしていた。どこまでいっても救えないやつだ。そんなやつだったが、これも僕が悪魔として一人前になるための勉強なんだからと、なるべく冷静に弾けるように努力した。
たまにかっとなって締め付けることもあったが、そんな時ロビンは僕の背中をそっと静かに押して教えてくれた。
数日がすぎて、グリーンも、もうすこしで一人前になれそうだと喜んでくれていたある日、バルビンバーが血相を変えて飛んできた。
「マーブル・・・悪いけどちょっとだけ来てくれないか・・・」
「どうしたんだ・・・今日から僕らは2件も新しいところが増えるんだ。」
「締めかたが悪かったのか、とても苦しんでいるんだ・・・
死なれると僕の成績も落ちちゃうから、お願いだちょっとだけ見てくれないか・・・ここからそんなに遠くないから。お願い。」
真剣に懇願するバルビンバーにロビンは断りきれない様子だった。
「じゃあ、ちょっとだけ行ってくるけれど、次のところへ一人で行けるか?」
「大丈夫。行って。」
「終わったら追いかけるからな。」
バルビンバーに引っ張られて行くロビンを見送りながら、心細い思いもあったが、同じくらいできそうな気もしていた。いままで通りやって来たことを頭の中で復習しながら歩いていると、まるで一人になるのを待っていたかのようBにセスカが現れた。
「エーゴ マーブルにあの話。確かめてみたか?」
「まだ言っていたのか・・・しつこいな。聞いたけれど、アレは君の勘違いだよ。
前にいたバディは魔女が魔法をかけたカエルだったんだ。マーブルの方位磁針を飲み込んで魔女の谷へ帰って行ったのを追ってたから、そう見えたんじゃないかな・・・。セスカ 君がどこであの話を聞いてきたかわからないけれど、僕は・・・と・・・とにかく僕はマーブルの事を信じている。マーブルのことが大好きで、ずっとバディでいたいんだ。」
セスカの視線が怖くて足がガタガタ震えたけど、なんとか言い切った。言い切って振り払って逃げようとしたところで、もう一度つかまった。
「わかったよ。君のいう通りだったかも知れない。きっと僕の勘違いだ。ごめんよ。
だけど、持って行かれたものがそんなに大切にしていたものなら、君が取ってきてあげたらどうだ?」
「知らないんですか?悪魔は魔女の谷には入れないんですよ。」
「知ってるさ。だけど、君はまだ、ほとんど人間じゃないか、大丈夫。いけるよ。
僕が道を教えるよ。近くまで送っていく。そんなに遠くないんだ。君はマーブルのことが大好きなんだろ?
だったらとってきてやったらいいじゃないか・・・きっと喜ぶぞ。」
「今日は頼まれている仕事があるんだ、一人でちゃんとやってくるようにって。だから・・・ムリです。」
「明日!明日待っているよ。時間は何時でもかまわない。君がここへ来たら僕にはわかるから・・・」
最後まで聞かずに飛び出した。
追われたら必ず捕まるとわかっていたが、できるかぎりの力で逃げた。
けど、セスカは追ってこなかった。
振り返ることはしなかったが、セスカの冷ややかな目線がいつまでも背中を追っ来るのが分かった。
だから、もっと、もっと早く走って逃げた。
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