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終 章 ヴィクトリア編
第76話 ヴィクトリア学園
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「アリスちゃん、入学おめでとう。そしてヴィクトリア学園へようこそ」
「ありがとうルテアちゃん」
若葉が大地に芽生える頃、私はヴィクトリア学園の制服に身を包み、無事新しい学園へと入学を果たす。
生憎3年生からの編入の為、スチュワート学園での入学式のような催しはないものの、私の新たなる第一歩をミリィとルテアちゃん、そしてリコちゃんの三人が迎えてくれる。
本当ならここにジークとアストリアも来てくれたのだろうが、残念な事に二人はドゥーベ王国との戦争の為、現在国境沿いに展開している騎士団に参加しているので、ここ数ヶ月は王都に戻ってきていないという。
「まったく、ジークもアストリアもドゥーベとの戦争なんてさっさと終わらせて戻って来ればいいものを。折角アリスの晴れ舞台だというのに、これじゃ笑顔が曇ってしまうじゃない」
二人がこの場に居ないと言うのは本音を言えば寂しけれど、二人とも今自分に出来る事を精一杯頑張っているはず。
今の私には二人が無事に帰ってくるのを祈る事しか出来ないが、帰ってきた時には笑顔で迎えようと決めてるんだ。
「相変わらず素直じゃありませんわね。曇ってしまうのはアリスではなく、貴女の笑顔の方じゃありませんの?」
「な、何を言ってるのリコは!」
ミリィにとってもアストリアは特別な存在。
二人がいる場所は最前線ではないと聞かされてはいるものの、私と同じで心配する気持ちは無くならないのだろう。
「もう二人とも、アリスちゃんの新しい門出だって言うのに喧嘩なんてしないでよ」
「してないわよ」
「してませんわよ」
ルテアちゃんの言葉に反論するかのように、二人の言葉が見事にハモる。
何時もは注意される側のルテアちゃんが、何時も注意している側の二人に注意する。
変わらないと思っていた日常にも私達が成長するにつれ、少しづつ変化が生まれている。誰だって今と同じでいるなんて事は不可能だろう、だけど私達の関係はこれからもずっと変わらぬ時の流れで過ごしていくんだ。
お父さん、お母さん。私16歳になったんだよ。
目の前で何時もの三人が何時もと変わらぬ言葉を交わしている。
私は背筋を伸ばし、スカートの裾を軽く持ち上げながら淑女の礼、カーテシーで挨拶する。
「改めまして、アリス・A・ハルジオンです。これから2年間、よろしくおねがいしますね」
こうして私のヴィクトリア学園での生活がスタートした。
「それにしても皆さん驚いたよね」
「それはそうでしょ、いきなりハルジオンなんて名乗られたら誰だって目の色を変えてしまうわよ。それも見た目は可愛く純粋そうな上、騙されやすそうな性格をしているんだから、男共はなり振り構わず近づいてくるに決まってるでしょ」
「うぅ、さりげなくミリィにひどい事を言われた気がするんだけれど……」
今話に出ているハルジオンとはジークとユミナちゃんのハルジオン公爵家の事。本来なら公爵家の人間か、家名を名乗る事が許されている近しい親族だけではあるのだが、現在私がヴィクトリアで名乗っているのは正にこのハルジオン家の名前だったりしている。
なぜ私がハルジオンの名を名乗っているかというと、このヴィクトリアに通う為の目くらましの意味でだと聞いている。
知っての通りヴィクトリア学園に通う生徒は貴族の人間か、名のある資産家の人間に絞られてしまう。当然貴族達にはファミリーネームが存在し、また資産家達も国に大金を払い申請する事によって、ファミリーネームを名乗る事が許されている。
そんな学園で私だけファミリーネームが無いと言うのもおかしいという事と、私が他の生徒達から虐められないよう、ハルジオン家の近しい親族だという設定で入学手続きが取られたんだとか。
因みに本来のファミリーネームであるアンテーゼは、何故か全員から却下され、今はミドルネームとしてアンテーゼの頭文字であるAだけを名乗るようにしている。
「でもいいのかなぁ、皆んなを騙すような感じになっちゃって」
いくらご当主であるエヴァルド様とラーナ様から、二つ返事で許しを貰っているとは言え、私自身ハルジオン家とは血のつながりも無ければ、親族でもない。
本来なら公爵家の名を名乗ったとして、国から処罰を受けても文句が言えない状態なのだ。もし他の生徒達にこの事実がバレようものなら、ハルジオン家にも多大な迷惑をかけてしまう事になるだろう。
「別にいいんじゃないの? ラーナ様も喜んで賛同してくれたじゃない」
「そうですわよ。それにいずれジークと結ばれる事になれば、アリスがハルジオンと名乗る事になるんですから」
ブフッ。
不意打ちのように私の淡い恋心を前面に出され、思わず赤面と同時に慌ててしまう。
「もうアリスちゃんは可愛いんだから」むぎゅ
そう言いながらルテアちゃんが真っ赤になった私の顔を、自分の柔らかい胸へと押し付ける。
決して口に出してはいけないが、ミリィやリコちゃんではこの柔らかい感触は味わえないだろう。
うぅ、悔しくなんかないんだい。
「まぁ、名前の件は気にしない事ね。それよりちゃんと覚えてるでしょうね、私達が教えた事を」
「もう、ミリィは心配性だなぁ。ちゃんと全部覚えてるよ」
ヴィクトリアへ入学するにあたって、三人から色々注意を受けている。
一つ、聖女の力は使わない。
私は聖女候補生ではないので知らなかったのだけれど、どうやら聖女と名の付く事柄は国家秘密が多いらしく、卒業されたエスニアお義姉様やルテアちゃんが聖女候補生である事も、ヴィクトリアに通っている生徒達には知らされていないんだとか。
確かに王家の血筋に近く、若い女性が聖女候補生として選ばれてはいるが、それは聖女の血がより濃く力が発現しやすいだけであって、別に公爵家や侯爵家からでないと選ばれない、と言うわけでは決してない。
現に侯爵家のリコちゃんは候補生ではないし、私たちのお世話をしてくれているメイドのエレンさんも、元を辿れば下級貴族の出身だったと聞く。
早い話が誰かが漏らすか、自ら名乗り出ない限り誰が聖女の力を使えるかは分からないという事。まぁ、たまに簡単な傷程度を治せるってだけで、自分を大きくアピールするような人もいるそうだけれど、聖女候補生ともなると警備や警護の関係で、簡単に知られて良い内容ではないらしい。
次に注意する点について。
前にも少し触れたかもしれないが、私の銀髪はこの国では大変珍しい。その関係でただでさえ目立ってしまう上、トラブルが向こうからやってくる体質らしい。
どう言う意味よと問いただせば、そのままの意味だと返され、三人から散々巻き込まれたトラブルの数々を上げられてしまえば、一人反省するしかなかった心情は察して欲しいところ。
今まで通っていたスチュワートでは黒髪率が多い中、ブロンドの髪をした生徒もいれば、おしゃれの意味合いで色んな髪色に染め上げていた生徒もそれなりにいた。
一方、このヴィクトリアに通う多くの生徒は貴族とそれに共なう資産家の子供達。こちらは圧倒的な比率でブロンドの髪をした生徒が大半を占めている。
実際のところ生まれたときからブロンドの髪、という人はごく一部なのかもしれないが、ミリィの話ではブロンドの髪は一種の貴族であるとの認識から、わざわざ黒髪を染める人が多いんだとか。
確かにさっき教室で挨拶をした時には全員が全員と言って良いほど、ブロンドの髪色が大半を占めていた。
そんな中で銀色の髪をもった私が飛び込めばどうなるか。目立ってしまうのは当然の事だと言えよう。
この髪色の事は私が編入する際、義両親を始め公爵様達からも議題に上がったんだとか。
私ごときでなぜ公爵様達まで関わってくるのかと聞いてみたいが、男性陣から銀髪をブロンドに染める案が上がるも、結局スチュワート時代で私の姿を目にしている生徒もいるだろうし、何より私の髪をブロンドに染める事をお義母様を始め、多くの女性陣から猛反対されてしまったんだとか。
「私的には別にブロンドに染めても良かったんだけどなぁ」
別にこの銀髪が嫌と言うわけではないが、ミリィやルテアちゃん、リコちゃんの全員がブロンドなんだから、多少なりと私がブロンドの髪に憧れてしまう気持ちも察して欲しい。
「何バカな事を言ってるのよ、そんな事出来るわけないでしょ」
「そうだよ、アリスちゃんならブロンドでも似合うと思うけど、それじゃアリスちゃんじゃなくなっちゃうよ」
「そうですわね、こればかりは二人の意見に賛成ですわ。アリスの髪を染めろなんて、男性陣は一体何を考えてるのかしら」
っと、まぁ。反対した女性陣にはこの三人も含まれている。
そしてもっとも一番注意されている事項が私の名前。
以前スチュワートの自己紹介で、一度ファミリーネームであるアンテーゼを名乗った事があるが、その後ココリナちゃん達からファミリーネームがある事はおかしいと指摘を受け、それ以来名乗らないように心がけていたが、それが何故かこのヴィクトリアでも継続する事になってしまった。
詳しい理由は教えてくれなかったけれど、名前を貸していただいているハルジオン家に迷惑がかかるからと言われれば、ここは素直に従うのが賢明であろう。
私だってラーナ様やユミナちゃん達に迷惑を掛けたくないし、別にアンテーゼの名前に固執するつもりは全くない。ファミリーネームが無くったって、私は家族の一員だと迎え入れてくれる義両親達がいるのだから。
「それじゃ今日はアリスの入学を祝って飲みにいくわよー!」
「おーー!」
「飲むと言ってもいつものお茶ですけれどね」
「だね、それに行くって言っても何時もの庭園だしね」
ミリィが元気良く声を上げ、私がその声に賛同する。
リコちゃんとルテアちゃんはその様子に素早くツッコミを入れてくる、いつもと何も変わらぬ日常。
この先に待ち受けているであろう苦難など、この時の私たちは誰一人疑う事は無かったのだから。
「もぉー、ただのノリなんだから一々突っ込まないでよー」
こうして私のヴィクトリアでの学園生活が始まるのだった。
「ありがとうルテアちゃん」
若葉が大地に芽生える頃、私はヴィクトリア学園の制服に身を包み、無事新しい学園へと入学を果たす。
生憎3年生からの編入の為、スチュワート学園での入学式のような催しはないものの、私の新たなる第一歩をミリィとルテアちゃん、そしてリコちゃんの三人が迎えてくれる。
本当ならここにジークとアストリアも来てくれたのだろうが、残念な事に二人はドゥーベ王国との戦争の為、現在国境沿いに展開している騎士団に参加しているので、ここ数ヶ月は王都に戻ってきていないという。
「まったく、ジークもアストリアもドゥーベとの戦争なんてさっさと終わらせて戻って来ればいいものを。折角アリスの晴れ舞台だというのに、これじゃ笑顔が曇ってしまうじゃない」
二人がこの場に居ないと言うのは本音を言えば寂しけれど、二人とも今自分に出来る事を精一杯頑張っているはず。
今の私には二人が無事に帰ってくるのを祈る事しか出来ないが、帰ってきた時には笑顔で迎えようと決めてるんだ。
「相変わらず素直じゃありませんわね。曇ってしまうのはアリスではなく、貴女の笑顔の方じゃありませんの?」
「な、何を言ってるのリコは!」
ミリィにとってもアストリアは特別な存在。
二人がいる場所は最前線ではないと聞かされてはいるものの、私と同じで心配する気持ちは無くならないのだろう。
「もう二人とも、アリスちゃんの新しい門出だって言うのに喧嘩なんてしないでよ」
「してないわよ」
「してませんわよ」
ルテアちゃんの言葉に反論するかのように、二人の言葉が見事にハモる。
何時もは注意される側のルテアちゃんが、何時も注意している側の二人に注意する。
変わらないと思っていた日常にも私達が成長するにつれ、少しづつ変化が生まれている。誰だって今と同じでいるなんて事は不可能だろう、だけど私達の関係はこれからもずっと変わらぬ時の流れで過ごしていくんだ。
お父さん、お母さん。私16歳になったんだよ。
目の前で何時もの三人が何時もと変わらぬ言葉を交わしている。
私は背筋を伸ばし、スカートの裾を軽く持ち上げながら淑女の礼、カーテシーで挨拶する。
「改めまして、アリス・A・ハルジオンです。これから2年間、よろしくおねがいしますね」
こうして私のヴィクトリア学園での生活がスタートした。
「それにしても皆さん驚いたよね」
「それはそうでしょ、いきなりハルジオンなんて名乗られたら誰だって目の色を変えてしまうわよ。それも見た目は可愛く純粋そうな上、騙されやすそうな性格をしているんだから、男共はなり振り構わず近づいてくるに決まってるでしょ」
「うぅ、さりげなくミリィにひどい事を言われた気がするんだけれど……」
今話に出ているハルジオンとはジークとユミナちゃんのハルジオン公爵家の事。本来なら公爵家の人間か、家名を名乗る事が許されている近しい親族だけではあるのだが、現在私がヴィクトリアで名乗っているのは正にこのハルジオン家の名前だったりしている。
なぜ私がハルジオンの名を名乗っているかというと、このヴィクトリアに通う為の目くらましの意味でだと聞いている。
知っての通りヴィクトリア学園に通う生徒は貴族の人間か、名のある資産家の人間に絞られてしまう。当然貴族達にはファミリーネームが存在し、また資産家達も国に大金を払い申請する事によって、ファミリーネームを名乗る事が許されている。
そんな学園で私だけファミリーネームが無いと言うのもおかしいという事と、私が他の生徒達から虐められないよう、ハルジオン家の近しい親族だという設定で入学手続きが取られたんだとか。
因みに本来のファミリーネームであるアンテーゼは、何故か全員から却下され、今はミドルネームとしてアンテーゼの頭文字であるAだけを名乗るようにしている。
「でもいいのかなぁ、皆んなを騙すような感じになっちゃって」
いくらご当主であるエヴァルド様とラーナ様から、二つ返事で許しを貰っているとは言え、私自身ハルジオン家とは血のつながりも無ければ、親族でもない。
本来なら公爵家の名を名乗ったとして、国から処罰を受けても文句が言えない状態なのだ。もし他の生徒達にこの事実がバレようものなら、ハルジオン家にも多大な迷惑をかけてしまう事になるだろう。
「別にいいんじゃないの? ラーナ様も喜んで賛同してくれたじゃない」
「そうですわよ。それにいずれジークと結ばれる事になれば、アリスがハルジオンと名乗る事になるんですから」
ブフッ。
不意打ちのように私の淡い恋心を前面に出され、思わず赤面と同時に慌ててしまう。
「もうアリスちゃんは可愛いんだから」むぎゅ
そう言いながらルテアちゃんが真っ赤になった私の顔を、自分の柔らかい胸へと押し付ける。
決して口に出してはいけないが、ミリィやリコちゃんではこの柔らかい感触は味わえないだろう。
うぅ、悔しくなんかないんだい。
「まぁ、名前の件は気にしない事ね。それよりちゃんと覚えてるでしょうね、私達が教えた事を」
「もう、ミリィは心配性だなぁ。ちゃんと全部覚えてるよ」
ヴィクトリアへ入学するにあたって、三人から色々注意を受けている。
一つ、聖女の力は使わない。
私は聖女候補生ではないので知らなかったのだけれど、どうやら聖女と名の付く事柄は国家秘密が多いらしく、卒業されたエスニアお義姉様やルテアちゃんが聖女候補生である事も、ヴィクトリアに通っている生徒達には知らされていないんだとか。
確かに王家の血筋に近く、若い女性が聖女候補生として選ばれてはいるが、それは聖女の血がより濃く力が発現しやすいだけであって、別に公爵家や侯爵家からでないと選ばれない、と言うわけでは決してない。
現に侯爵家のリコちゃんは候補生ではないし、私たちのお世話をしてくれているメイドのエレンさんも、元を辿れば下級貴族の出身だったと聞く。
早い話が誰かが漏らすか、自ら名乗り出ない限り誰が聖女の力を使えるかは分からないという事。まぁ、たまに簡単な傷程度を治せるってだけで、自分を大きくアピールするような人もいるそうだけれど、聖女候補生ともなると警備や警護の関係で、簡単に知られて良い内容ではないらしい。
次に注意する点について。
前にも少し触れたかもしれないが、私の銀髪はこの国では大変珍しい。その関係でただでさえ目立ってしまう上、トラブルが向こうからやってくる体質らしい。
どう言う意味よと問いただせば、そのままの意味だと返され、三人から散々巻き込まれたトラブルの数々を上げられてしまえば、一人反省するしかなかった心情は察して欲しいところ。
今まで通っていたスチュワートでは黒髪率が多い中、ブロンドの髪をした生徒もいれば、おしゃれの意味合いで色んな髪色に染め上げていた生徒もそれなりにいた。
一方、このヴィクトリアに通う多くの生徒は貴族とそれに共なう資産家の子供達。こちらは圧倒的な比率でブロンドの髪をした生徒が大半を占めている。
実際のところ生まれたときからブロンドの髪、という人はごく一部なのかもしれないが、ミリィの話ではブロンドの髪は一種の貴族であるとの認識から、わざわざ黒髪を染める人が多いんだとか。
確かにさっき教室で挨拶をした時には全員が全員と言って良いほど、ブロンドの髪色が大半を占めていた。
そんな中で銀色の髪をもった私が飛び込めばどうなるか。目立ってしまうのは当然の事だと言えよう。
この髪色の事は私が編入する際、義両親を始め公爵様達からも議題に上がったんだとか。
私ごときでなぜ公爵様達まで関わってくるのかと聞いてみたいが、男性陣から銀髪をブロンドに染める案が上がるも、結局スチュワート時代で私の姿を目にしている生徒もいるだろうし、何より私の髪をブロンドに染める事をお義母様を始め、多くの女性陣から猛反対されてしまったんだとか。
「私的には別にブロンドに染めても良かったんだけどなぁ」
別にこの銀髪が嫌と言うわけではないが、ミリィやルテアちゃん、リコちゃんの全員がブロンドなんだから、多少なりと私がブロンドの髪に憧れてしまう気持ちも察して欲しい。
「何バカな事を言ってるのよ、そんな事出来るわけないでしょ」
「そうだよ、アリスちゃんならブロンドでも似合うと思うけど、それじゃアリスちゃんじゃなくなっちゃうよ」
「そうですわね、こればかりは二人の意見に賛成ですわ。アリスの髪を染めろなんて、男性陣は一体何を考えてるのかしら」
っと、まぁ。反対した女性陣にはこの三人も含まれている。
そしてもっとも一番注意されている事項が私の名前。
以前スチュワートの自己紹介で、一度ファミリーネームであるアンテーゼを名乗った事があるが、その後ココリナちゃん達からファミリーネームがある事はおかしいと指摘を受け、それ以来名乗らないように心がけていたが、それが何故かこのヴィクトリアでも継続する事になってしまった。
詳しい理由は教えてくれなかったけれど、名前を貸していただいているハルジオン家に迷惑がかかるからと言われれば、ここは素直に従うのが賢明であろう。
私だってラーナ様やユミナちゃん達に迷惑を掛けたくないし、別にアンテーゼの名前に固執するつもりは全くない。ファミリーネームが無くったって、私は家族の一員だと迎え入れてくれる義両親達がいるのだから。
「それじゃ今日はアリスの入学を祝って飲みにいくわよー!」
「おーー!」
「飲むと言ってもいつものお茶ですけれどね」
「だね、それに行くって言っても何時もの庭園だしね」
ミリィが元気良く声を上げ、私がその声に賛同する。
リコちゃんとルテアちゃんはその様子に素早くツッコミを入れてくる、いつもと何も変わらぬ日常。
この先に待ち受けているであろう苦難など、この時の私たちは誰一人疑う事は無かったのだから。
「もぉー、ただのノリなんだから一々突っ込まないでよー」
こうして私のヴィクトリアでの学園生活が始まるのだった。
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