売られた先は潔癖侯爵とその弟でした

しゃーりん

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3日後、指定のお店にモニカと訪れた。すると、アクア様が来られていた。 
 
「ルビーナ様、待っていましたわ。」

「ご無沙汰しております。アクア様。お待たせいたしました。あれ?」

「お手伝いしようと思って来てしまったわ。いいかしら?」

「喜んで。是非ともよろしくお願いします。」

大助かりだ。相場も何もわからない。お店の方にお任せ一択だったのだ。
こうしてアクア様とその侍女の方、お店の方、モニカがアレコレと指示を出しアイデアを出し、夜会用とお茶会用のドレスが数着ずつと即位式用のドレス、他は靴や小物も合わせて全部決まってしまった。

改めて出産祝いのお礼を言うと、双子に会いたいと言われた。
お世話になったし、エドワードに相談することにしよう。

3か月後に公爵家で夜会を開くそうだ。
大体の高位貴族が来るらしい。下位貴族は付き合いがあるか紹介がある家だけ。
何を言われても堂々としていればいい。噂話と陰口は暇な貴族の趣味だから。
こちらが反応しなければ話題はそのうちどんどん新しいものに変わっていく。
…なるほど。勉強になったわ。

ちなみに、聞いてみた。
『買われた妻』『お飾りの妻』『名目だけの妻』
どれが陰口の有力候補でしょうか?

答えは『お飾りの妻』でした!



という、今日の出来事をエドワードとニコラスに伝えた。

「うちは母がいないし、伯爵家の義母上も社交から遠のいているからな。
 アクア夫人がいてくれて助かったな。
 困ったら頼ればいい。喜んで教えてくれるし付き合ってくれるさ。」

「そういえば、ルビーナはダンスの腕前はどんな感じ?」

「…ニック様と一曲踊ると言ってましたね?必要ですか?」

「兄上の代わりに俺と踊るのは、みんな事情を知ってるから大丈夫だよ?」

「エド様と休憩室に行って、そのまま帰るというのは…」

「う~ん。おそらく、一曲勧められそうかな?
 俺とじゃなかったら主催の宰相と踊ることになるかもよ?令息じゃなくて父の方。」

「…だろうな。からかうのが好きだし踊るのも好きだし。
 ダンスしながら、いろいろ聞かれるぞ?結婚の仲介者だしな。」

忘れてた!事情に詳しい人だ。親に売られた私をニヤニヤ見そう。…顔、知らないけど。

「ニック様とダンスします!ダンスは何年も踊っていません。練習したいです。」

「俺も久々だよ。一緒に練習しようか。それとも講師が必要?」

「それほどひどくはないかと。学園でも誰の足も踏まなかったし。逆に踏まれたけど。」

「はは。ならよかった。」


そうだった。アクア様のお願いが…

「エド様、アクア様が双子に会いたいと言われていました。
 お世話になったので会わせてもいいですか?
 屋敷が立ち入り禁止なら、テラスとか…」

「そうだな。テラスとサンルームなら使ってもいい。
 夜会後の方がいいだろう。噂話がたくさんあって話題が尽きないぞ。
 イアンの夫人も呼ぶといい。
 双子も生後半年くらいになっていいんじゃないか?」

「そうですね。ありがとうございます。」

許可をいただけてよかった。




さあ、ダンスの練習。と思ったが靴を見て目を逸らした。
こんなヒールで踊れる?絶対に無理だ。コケる自信がある。
まず、ヒールに慣れる必要がある。
ダンスの練習は低い練習ヒールから始めることにしよう。

これを伝えると、思った通り。
エドワードは後ろを向いて肩を震わせてる。…どうぞ笑って?
ニコラスもコケそうになっても踏まれても支えるよ。って笑ってる。

とりあえず踊ってみる。エドワードは現状を把握するために見学。
ん?意外と足が覚えてる?

「ルビーナは足を意識し過ぎて上半身が傾いている。そして顔を上げろ。」

エドワードの指示で体勢を直す。

「ニックはヒジの位置が下がってる。」

ニコラスも直す。

「夫婦や婚約者ではないので見つめ合い過ぎないように。噂の種だぞ。
 念のため、3曲踊れるくらいに体力を配分すること。
 あとはヒールを徐々に高くして頑張れ。
 思ったよりも二人とも踊れてるよ。」


…ホッとした。双子を抱く時以外はヒールに慣れることにしよう。







 
 
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