遺言による望まない婚約を解消した次は契約結婚です

しゃーりん

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侯爵を脅したネタ…それは王太子を巡る派閥に関係があった。

ディランの父の侯爵は第一王子、第二王子のどちらの派閥にも属していなかった。
しかし第二王子派の口車に乗せられ、派閥に組み入れられたばかりであった。

そんな頃、ディランがクラリスに舞踏会に行くなと言っているところにルークは通りがかった。
第一王子も一緒にいて、ディランが最近第二王子派に属した侯爵の息子であると気付いた。
『ルーク、あの男から令嬢を奪い取ったら?婿入りすれば問題も片付くよ?』と言われた。
人となりも知りたかったため、クラリスに話しかけ協力しようと思ったのだ。

第二王子派は、数々の問題が表面化しつつあり、不正を行った貴族の摘発間近である。
そんな時に派閥に属した侯爵に言ったのだ。
『例えまだ何もしていなくても派閥入りは全員に罰を受けてもらうことになる。もし、こちらの条件を飲めば罰金も降爵も免れるだろう。』とそして侯爵は条件を飲んだのだ。

条件の一つ目はディランとクラリスの婚約解消の同意。
二つ目は侯爵夫人の隔離である。
証拠はないが侯爵夫人が自分の父親を毒殺した可能性、そして現伯爵とクラリスも狙っている可能性を伝えた。
妻を犯罪者にすると侯爵家にもかかわる。なので、隔離を勧める。と。

そして、よく効く精神安定剤を贈ろうと言った。
3日おき毎に飲ませれば常に精神がフワフワとして幸せな気持ちでいられるだろう。そんな薬だ。
周囲には心の病とでも言えばいい。
侯爵は同意した。

その後、あの場で婚約解消を言ったのであった。

ちなみに数か月後、侯爵夫人は寝たきりになり、起きている時間が短くなり、やがて亡くなった。
原因は薬の過剰摂取であった。
侯爵夫人の豹変ぶりを目の当たりにした侯爵は、3日毎と言われた薬を毎日2回与えたのだ。
常にフワフワでボーっとし、やがて何もわからなくなって寝付いた。ということだ。

『びっくりしたよ。週に一度の薬を3日に一度って渡したのに1日2回になったんだから』
…第一王子殿下の言葉である…



第一王子は正妃が母親で、第二王子は側妃が母親であった。

第二王子を王太子にしたい側妃の実家が違法な手段で手にしたお金をばら撒き派閥を大きくしていた。
隣国と裏で武器や薬などでも繋がり、両国が合わせて違法手段に手を染めた貴族や裏稼業者を摘発することになった。悟られないように水面下で事態は動いていたのである。

摘発前にディランの父の侯爵に婚約解消を条件に脅した。というわけである。
実際、まだ侯爵は何も行動を起こしていない状態であるため、他の派閥貴族と同様の処罰にはならない。
厳重注意を受け、貴族社会で肩身の狭い思いをするくらいだろう。
それではクラリスの婚約解消は難しいと判断したための手段であった。
侯爵が婚約解消を認めたため、夫人が暴走して乗っ取りが認められた。
そして夫人の異常性も認められて、精神安定剤も怪しまれない。思い通りであった。
 

当然、第一王子が王太子に認められた。

これを受け、ルークとクラリスも正式に婚約した。
結婚は学園卒業の、半年後に決まった。
王太子が公爵令嬢との結婚が1年後である。
その前後はおそらく慌ただしくなって、自分の結婚に関することが疎かになる。
その理由から、いっそのこと先にしてしまえ。となった。…婚約時の勢いそのまま決まった…

ディランは学園で何か言いたげにしていたが、ルークとの婚約が公になり視界から消えた。
伯爵家が惜しくなったのだろうか?
婿入り先は…男爵家くらいならありそうだが、侯爵家に利はないだろう。
王宮官吏?無理だ。騎士になって騎士爵?無理無理もっと無理だ。
侯爵家を継ぐディランの兄の側で嫌々働くくらいだろう。
侯爵領の管理などさせたら、多額の横領が目に見えている。
そんな現実が見えてきて焦っていそうだ。
真面目に働いてハンナと幸せになる道を探すのがよい。クラリスは従兄にそう願っていた。


しかし、そんな願いは叶わない……








 
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