14 / 23
14.
しおりを挟む伯爵と息子を呼び出し、調査官が説明する。
ある投書により血縁を判定する魔道具ができたこと。
『ある伯爵家の夜会で泊まった者は、子の父親が夫ではない子を妊娠する』
この投書の伯爵家は、あなた方の伯爵家を指している。
伯爵と息子とは親子ではないが血縁である判定が出た。
つまり2人の弟のどちらかが父親の可能性が高い。
心当たりはないか?
そう調査官は告げた。
「どういうことですか?妻が弟のどちらかと不貞を犯したと言うのですか?」
「すいません。説明不足でした。
犯人は、夜会で泊まった夫婦を薬で眠らせて夫人を妊娠させていたと思われます。
今、把握しているだけであなた方以外に10件あります。
同様の手口で、奥様も眠らされている間に襲われて妊娠したのではないかと。」
「…そういうことか。
妻が妊娠した頃は、まだ新婚だった。
すぐ下の弟は私の結婚後、いろんな所を見たいと遊学に行ったんだ。
だから…当時まだ学生だった一番下の弟だということになる。
あいつは結婚する気はないと商会を手伝ってる。
屋敷の離れに住んでいるが、まだ屋敷内に部屋もある。
夜会にも出ている。」
「今でも夜会後に宿泊される夫婦はいますか?」
「昔ほどではないが、酔って帰れなくなった場合や体調不良の場合などでは泊まることもある。
それは、どこの夜会でもそうだろう?」
「そうですね。」
「さっき、10件あると言いましたね。
それは襲われた件数?子供が生まれた件数?」
「子供です。とはいっても、既に30歳前後の大人になっていますが。
まだ、調査中です。増えるかもしれません。
「あいつを捕まえてくれ。じゃないと殴り殺しそうだ。」
「…罪状の証明が難しいんですよ。
襲われた自覚もない夫人方に証言もできませんし。
酔っぱらった夫人に誘われたと言われれば、お手上げです。
子供が証拠とも言えますが、皆さん、協力してくれるかどうか。」
「あいつを伯爵家から廃籍する。平民だ。
不当だろうが違法だろうが、どんな扱いでも構わん。出てこれなくしたらいい。」
「違法な隠蔽逮捕。裁判も何もありません。よろしいですか?」
「構わない。もう弟だとは思えん。」
これで、自白剤を使うことで精神が壊れようと文句は言われなくなる。
「わかりました。
ですが、犯人が弟さんの犯行だと被害者たちや子供たちには告げる必要があります。
単独犯だとしても恨みが伯爵家に向かう可能性があります。ご了承ください。」
「それは当然だ。」
弟の居場所を聞き、連れて来るように指示した。その間に廃籍の書類も記入してもらった。
「念のため、弟さんと息子さんの親子判定をお願いしたいのですが…」
万が一、人違いだった場合は困ったことになる。
捕縛するのはその後だ。
「私は会いたくない。待合室にいる。お前も判定が済んだら何も言わず出てこい。」
息子にそう言い、伯爵は待合室に向かった。
335
あなたにおすすめの小説
今更戻って来いと言われても遅い、というか、その行動が無駄すぎでは?
七辻ゆゆ
ファンタジー
メグは元隣国の文官だった。しかし平民のメグは雑に扱われ、いきなり解雇された。城で一番働いてたんだけど大丈夫?
まあダメだったみたいで王子がやってきたけど、メグは思うのだ。替えの利かない労働者なんていない。
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
私ですか?
庭にハニワ
ファンタジー
うわ。
本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。
長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。
良く知らんけど。
この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。
それによって迷惑被るのは私なんだが。
あ、申し遅れました。
私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。
ありふれた聖女のざまぁ
雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。
異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが…
「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」
「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」
※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。
契約結婚なら「愛さない」なんて条件は曖昧すぎると思うの
七辻ゆゆ
ファンタジー
だからきちんと、お互い納得する契約をしました。完全別居、3年後に離縁、お金がもらえるのをとても楽しみにしていたのですが、愛人さんがやってきましたよ?
どうぞお好きに
音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。
王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる