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しおりを挟む宿泊客の記録を探している間に発表した王命が、やはり貴族に混乱を招き始めた。
ある会議終了後、王命の意図が知りたいと貴族から声が上がった。
血縁判定の魔道具ができてから、爵位譲渡前の血縁判定、そして結婚前と婚約前にも血縁判定。
一体何なんだ?と言いたくなるよな。仕方ない。公表するしかないな。
「実は、匿名の投書によって血縁判定の魔道具は作成された。
投書は、ある貴族の夜会で宿泊した者は子の父親が夫ではない子を妊娠するといった内容だ。
夫婦を眠らせて、妻を襲っていたということだ。寝ていた夫婦は記憶がない。
その後、妊娠する。それが約30年前から最近まで犯行が続いていたらしい。
つまり、30年程前から今までに生まれた子は父親が違う可能性がある。
ようやく、犯行を行った者は捕らえたが、どこの夫人が襲われたかがわからない。
ただ、既に11人がその男の子供だと判明している。」
会議に出席していた男たちがどよめいている。
「つまり、家系の血が流れていない可能性が?」
「そういうことだ。
後継者については家系の血を重んじる貴族もあれば、能力があれば遠縁でもいいという貴族もいる。
既に判明した11人の中にも爵位を継いでいる者もいれば、継ぐ予定だった者もいる。
後継問題はそれぞれの判断に任せるが、妻と子供は被害者だ。不当な扱いは禁ずる。
辛いことになるが、犯人の子供と判定された者は全員がお互いを把握してもらう。
兄妹や叔父と姪、叔母と甥など近親婚を避けるためだ。
おそらく、あの男の血縁は百人近くに増えているんだ。」
またまたどよめく。そうだよな。
「犯人と子供を血縁判定させるのですか?」
「いや、既に犯人の子供だと判明した者が協力してくれる。
その者と兄弟の判定が出れば犯人の子供ということになる。
神殿で父親と子供の親子判定が出なかった場合は、王宮でその者と兄弟の判定を行う。」
「30歳以上であれば判定は不要ですか?」
「正確には現在31歳以下の者が対象だ。親が既にいない者は直接王宮で判定しても構わない。」
「犯人は誰なんですか?」
「今は公表を控える。犯人は既に牢の中だ。新たな犯行はできない。」
「夜会で泊まった覚えがなければ?」
「夫人が浮気していないと確信が持てるなら判定は不要だ。だが未判定と記録はする。」
「犯人が、夜会以外で妊娠させている可能性は?」
「ある。未婚の令嬢や平民とも関係があると言ってた。未亡人や夫人相手にも遊んでいるだろう。」
「神殿が混み合うのでは?」
「そうだな。爵位順にでも決めるか?
今週が公爵家、来週が侯爵家、再来週が伯爵家、その後、子爵家、男爵家でどうだ?」
「領地にいる者や王都に来ない者は?」
「可能な限りでいい。例えば、学園入学まで来れないならそれでもいい。
ただ、結婚や婚約は必ず判定を行ってからの許可となる。」
「既に近親婚をしてしまった者は?」
「特例で結婚継続を許可する。新たな子供は産まないこと。
既にいる子供は全く血縁ではないものとの婚姻が望ましい。」
覚えがある者は早く調べるはずだ。
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