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20.
しおりを挟む伯爵家の宿泊記録は、あるメイドが隠し持っていた。
実はこのメイド、グラムの娘だった。
20年ほど前、没落男爵令嬢だった母はグラムと関係を持った。
グラムは母を知らなかったが、母はグラムを知っていた。
爵位は継げないが商会で働いているし独身だし。いい男だし。若い自分に落ちるかも?
『純潔の女とは遊ばない』と言われたが『純潔を捨てるのを手伝ってほしい』と押し切った。
あわよくば結婚してもらえるのでは?と期待した母はバカだった。
『子供ができた』と告げても『それで?』と返されたそうだ。
『あなたの子です』と言っても『証拠は?』と言われる。
『結婚して』と言えば『嫌』で終わったらしい。
母はグラムの後を何度かつけて、いろんな女を抱いていることに気づいた。
『こんな女好きと結婚しても幸せになれない』と悟った。
それで、一人で育てることにしたらしい。
自分が見ていることに気づいていて、わざと続けて女遊びをしていたのだろうと母は後で気づいたと言っていた。
避妊魔法をかけずにわざと妊娠させたのだろうとも。
15歳で母が亡くなり、メイドとして伯爵家で働き始めた。
グラムがどんな男かもっと知りたかったのだ。
娘だと名乗り出る気はない。本当にただの興味だった。
メイドはグラムを意識して見ているため、客室に入るところもこっそりと盗み見た。
初めは友人がいるのかと思っていた。だが、知り合いではないようだった。
次は窃盗でもしているのかと思っていた。でも、それにしてはすぐに出てこない。
何度目かで、いつも若い夫婦が泊まる部屋だけ忍び込むと気づいた。
そして、ベロベロに酔って寝てしまった男が夫婦で泊まった部屋でシーツに情交の跡があった。
グラムが入った部屋では、いつもその跡があると気づいた。
よその屋敷で情交に耽る夫婦が毎回いる?いや、いないだろう。
グラムが『酔った夫の隣で妻を犯している』そう思った。
なるほど。母は女好きだと言っていたが異常性癖じゃないかと思った。
だが、貴族夫人たちが夫ではない男に犯されてると思うと面白かった。
伯爵家が何か調べられているとメイドたちに広がり、グラムの部屋の物が持っていかれたらしい。
伯爵家に泊まった客の記録がないか?と聞かれたメイド長を先回りして、記録を隠し持った。
グラムの所業がバレたのだ。そうわかった。
うまく隠せたと思ったが、私がグラムをよく見ていたと誰かが言ったらしい。
部屋中を隈なく調べられ見つけられてしまった。
仕方なく洗いざらい話すと、伯爵の長男と血縁判定をすると言われた。
そして、兄妹だと確定したのだった。
え?伯爵の長男はグラムの子?…あの男、面白いことするなぁ。
さて、私は何人兄妹なのかなぁ?
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