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しおりを挟むクリストファーの婚約者である隣国アルデール王国のリアナ王女がやってきた。
婚約してから2人は毎年交互に国を訪れている。
14歳になったリアナ王女は、ますます美しく聡明さを感じられる。
16歳になったクリストファーは見とれてるじゃないか。
まぁ、わからなくもない。子供っぽさが消えてくる年頃だからな。
アルデール王国とは、昔は一つの国だったそうだ。
何故、別々の国になったかというと、双子が生まれたから。
お互いに王太子になるのを譲り合うような仲の良い双子で、それなら<魔の森>を境にそれぞれが国王になればよい。
大国を二つにわける。あり得ないような国王の提案で決まってしまった。
しかし、元からの王城がここにあったせいか、女神様の神託は我が国の国王に下るようだ。
今回も女神様が教えてくださらなければ、グラムの血縁が増殖して………
だけど女神様、もっと早く祝福が欲しかった。それが本音だ。…スマン。
ん?クリストファーとリアナ王女が庭園を散歩しているのか。
お似合いだし仲が良くて嬉しい限りだ。
…あ。曲がった時に頬に口づけしたな。侍女には見られてなくても潜んでいる護衛はいるぞ?
それにここから丸見えってことは、王城内から見た者はどれだけいるだろうな。
後でからかってやろう。
リアナ王女が帰国する前の晩、最後にみんなでお茶を飲みながら歓談していた時、クリストファーが言った。
「父上、面白いことがわかりました。
女神様が個人に与えた祝福のうち、いくつかはリアナの国の出来事です。」
「は?そうなのか?」
「はい。妻だけを愛したいから他の女性が寄ってこないようにしたいという思い。
一人だけを執心的に愛する願いというのは、わが国の王家で代々起こっています。
祖父も父も弟もです。」
「そうか。確か、魔石が城のどこかにあるって書かれていた。うちの城じゃなくて隣国の城か。」
「他にも、学園で婚約者を見つけないと親に売られるので恋人が欲しいという女性。
わが国では学園での婚約破棄事案が度々あるのですが、そういった女性に唆されるようです。
学園のどこかある魔石を取り除かないとまだまだ続きそうですね。」
「なるほどな。女神様にとっては、まだ一つの国なのかもしれない。
もし、そちらの国に関わる神託がこの国の国王に下った場合には連携が必要だな。
2人の結婚によって両国はもっと親密な関係になれる。
どちらの国にも代々女神様の神託のことを伝えていくべきだ。
そのうち国王同士でいろいろ話をしてみたいと思う。」
水晶を1対、2人の結婚の時にでも隣国に差し上げよう。
血縁判定の魔道具は、実は女神様からの祝福物だったと公表したしな。
女神様が見ている隣国にあってもいいだろう。
その前に魔道具が完成する方が早いか?
魔道具師たちが似た物を作って各国に売ろうと頑張ってるらしいからな。
親子判定なら上手くいきそうだということだ。
それだけでも役に立つ魔道具だろう。
4年が経ち、クリストファーとリアナ王女の結婚式の日になった。
願っていた通り、ようやく穏やかな気質の国に戻りつつある。
それでも貴族たちはグラムの血縁からなかなか逃れられないのだが、前を向くしかない。
グラムがしたかったことは血縁を広めることを面白がっていたことと、もう一つ気づいた。
この国では誰もしたことがないようなグラムの行いが延々と語り継がれて人々の記憶に残ることを面白がったのではないだろうか?
…ちなみに、親子判定の魔道具はあちこちの国にバカ売れした。
<終わり>
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