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当然のことながら、伯爵家が忌まわしい現場だと当事者たちがわかったことから犯人もわかる。
兄弟判定の場にいたのが伯爵の息子であったことから、伯爵も弟に裏切られた側だと知れた。
伯爵は騒動の責任を取って爵位を返上した。
次男は他国にいるまま帰ってこなかった。
商会を続けることにも賛否両論あったが、良い物を格安で提供していくことで詫びていく。
その殊勝な態度に、被害者が多すぎて慰謝料も取れない貴族側は『仕方がない』と同じ被害者の元伯爵の商売を許すしかなかったのだ。
この血縁問題が起こってからはどの貴族も頭を悩ませた。
関係ない貴族でも、今後関係ができる恐れがあるからだ。
婚約の取り消しも多くあった。
後継者の変更も多くあった。
娘が嫁ぎ先で産んだ子がグラムの子だった場合、実家の兄弟の養子になる場合も多くあった。
実家の血縁でもあるし、子供が肩身の狭い思いをする場合もあるからである。
あまりにも多かったため嫁や妻を追い出すところはほとんどなかった。
浮気がバレた妻くらいである。
第2子以降は夫婦の子なのだ。グラムの件で母親を追い出すのは外聞が悪かった。
グラムの血縁増殖を同じように思い描いた貴族も多かったようだ。
…だよな。無限連鎖を思い浮かべてしまう。
だが、ひ孫の子供くらいになると、水晶で血縁判定は出なくなるだろう。
平民の中でも生活に困らない裕福な者と結婚・婚約を結んだり、領地管理を任されて田舎でのんびりと貴族社会から離れることを望まれる者も増えてきた。
不当な扱いとは言えない。悩んだ末での決断だとわかるからだ。
貴族が平民と結婚することは、下位貴族ではよくあることだ。
血縁を増殖するなら、数の多い平民の中で頑張ってくれ。申し訳ないがそう願った。
ここ5年の間に貴族間で結婚した者や出産した者も減った。
少し年が離れた縁組が増えたりしたせいもあるが、あと数年もすれば落ち着くだろう。と思いたい。
つくづく、クリストファーはあの時に婚約しておいてよかったと思った。
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