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しおりを挟む翌年、彼らより一年遅れて卒業したソランジュはオーリオと結婚した。
初夜はあったが寝室は別。
月に3日間だけ、跡継ぎのために夫婦の寝室で閨事をしていた。
これは結婚前、ソランジュの実家マーキュリー侯爵家からオーリオのマーズ伯爵家に忠告していたからだ。
オーリオはソランジュとの交流を深めようとしなかった。
ソランジュは侯爵令嬢だ。オーリオの伯爵家よりも格上。
いくら政略的な婚約とはいえ、蔑ろにし続けたことは明らかだった。
婚約を解消する気はないが、結婚後に白い結婚になることは許さない。
跡継ぎを作る努力をすること。
ソランジュを妻として扱うこと。
オーリオは両親から口うるさく言われたのだろう。そこは守られていた。
しかしある日、オーリオが怒りながらソランジュに言った。
「我が家の侍女を勝手に解雇したそうだな?どういうつもりだ!」
「勝手にではありません。お義母様が最終的にお決めになられたことです。」
「母が?一体理由は何だったんだ?」
理由も知らずに怒ってきたオーリオを疑問に思い、逆に聞いてみた。
「オーリオ様は、一体どなたから侍女を解雇したとお聞きになられたのですか?」
「そこの、門のところで……侍女2人が君に解雇されたと。紹介状も貰えなかったと。」
「彼女たちは理由を言いませんでしたか?あなたは彼女たちに聞かなかったのですか?」
「君が身勝手なことをしたのかと思って……違うのか?」
「身勝手、ですか。オーリオ様は私の何をご存知なのでしょうね?」
「………………」
交流してこなかったのだから答えられるわけはない。
「あの侍女たちは、私を前にして嘲笑したのです。『夫に愛されない妻』だと。」
オーリオは目を見開いた後、焦ったように言った。
「いや、それは、あの…………」
「それは別に構わないのです。政略結婚なのですから。ですが、嫁いできた私もこの伯爵家の一員です。
使用人からすれば主です。事実であっても主人を前にして見下し嘲笑う使用人など不要です。
私の耳に入らないところで成された会話であれば解雇にまではならなかったでしょう。ですが、陰口を外に漏らさないよう侍女長が周知徹底、教育が必要なことです。減給・降格もあり得ます。
私が不遇の身の上だと大袈裟な噂になれば侯爵である父の耳にも入るでしょう。この伯爵家の事業にも影響が及ぶかもしれません。そうなってからでは信用の回復に時間がかかります。
使用人の不用意な一言は、あってはならないことです。」
「だがそうすると、解雇されたことで反対に言いふらすんじゃ………」
「紹介状ももらえず解雇された元侍女たちが何を言っても信用などされません。単なる嫌がらせです。
あまりにひどいようなら侮辱罪として訴えることも可能ですので。
お義母様は即座に解雇を選びましたわ。伯爵家の女主人としての姿を私も見倣いたいと思います。」
義母は正しい判断ができるのに、理由も知らず妻を怒ろうとしたあなたは夫としてどうなの?
この視野の狭い夫をどうすれば導けるだろうか。
それはやはり、ウラノス王太子殿下から離すことが一番いいだろう。
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