恋心を利用されている夫をそろそろ返してもらいます

しゃーりん

文字の大きさ
2 / 9

2.

 
 
学生時代、ソランジュは一度だけオーリオに忠告したことがある。


「サミア様にはあまり近づきすぎないよう、お気をつけください。」

「……どうしてそんなことを言う?僕の交友関係に口出ししてほしくないな。」

「サミア様はあなたが思っているような、たおやかな方ではございません。利用されているのです。
あなたと同じように王太子殿下のご友人でありながらサミア様のそばに侍る方々も同じです。
それぞれの婚約者に、サミア様はおっしゃっています。『しばらく婚約者を借りるわね』と。
意味がわかりますか?」

「それは……そのままの意味だろう?僕は王太子殿下に頼まれてサミア様の近くにいるんだ。婚約者の君の言うことより、殿下の頼みやサミア様の願いを優先すべきだとわかるだろう?」

「……そうですか。ではあと一言だけ。『超えてはならない一線をお忘れなく』」


久しぶりの婚約者との会話はそれで終わった。




ソランジュは学園入学後、サミア様についていろいろと情報を集めた。
 
そしてわかったのが、サミア様の何らかの行動がウラノス王太子殿下の気に障ったということ。
そのため、ウラノス王太子殿下はサミア様とは婚約者として接することはあっても仲を深める気はなく、学園内でも行動を共にすることはない。

そして王太子殿下は、シャノン・アース伯爵令嬢を恋人にしている。
今のところ、シャノン様は側妃候補と言われている。

いや、間違いなく側妃になり、王太子殿下の寵愛はシャノン様のものだろう。

しかし、この国ではよくあること。
正妃とは政略結婚、側妃とは恋愛結婚が当たり前なのだから。

それでも正妃が尊重され、後の王妃になるのはサミア様だと決まっている。


サミア様もわかっている。王太子殿下との間に溝が出来ていることを。
理由に気付いているのか、いないのか。

そこまでソランジュにはわからないが、王太子殿下がシャノン様と過ごしたい時に数人の友人をサミア様の元へと行かせる。その中にオーリオ様が入っている。

『私の代わりにサミアのご機嫌伺いをしてきてくれないか?』

王太子殿下のそんな言葉に従い、オーリオたちは喜んでサミア様の元へと侍る。

そしてサミア様の外見の美しさと笑顔と話術によって、男たちはますます虜にされていた。



そんなことが卒業まで続き、先に卒業したウラノス王太子殿下とサミア様は結婚。

彼らと一緒に卒業したオーリオは、王太子殿下の側近枠で採用されてはいるが、やっていることは雑用とサミア様のご機嫌伺いという、学生時代と何ら変わりのないことをしているとソランジュは知っていた。
 



 

あなたにおすすめの小説

いくつもの、最期の願い

しゃーりん
恋愛
エステルは出産後からずっと体調を崩したままベッドで過ごしていた。 夫アイザックとは政略結婚で、仲は良くも悪くもない。 そんなアイザックが屋敷で働き始めた侍女メイディアの名を口にして微笑んだ時、エステルは閃いた。 メイディアをアイザックの後妻にしよう、と。 死期の迫ったエステルの願いにアイザックたちは応えるのか、なぜエステルが生前からそれを願ったかという理由はエステルの実妹デボラに関係があるというお話です。

誤解されて1年間妻と会うことを禁止された。

しゃーりん
恋愛
3か月前、ようやく愛する人アイリーンと結婚できたジョルジュ。 幸せ真っただ中だったが、ある理由により友人に唆されて高級娼館に行くことになる。 その現場を妻アイリーンに見られていることを知らずに。 実家に帰ったまま戻ってこない妻を迎えに行くと、会わせてもらえない。 やがて、娼館に行ったことがアイリーンにバレていることを知った。 妻の家族には娼館に行った経緯と理由を纏めてこいと言われ、それを見てアイリーンがどう判断するかは1年後に決まると言われた。つまり1年間会えないということ。 絶望しながらも思い出しながら経緯を書き記すと疑問点が浮かぶ。 なんでこんなことになったのかと原因を調べていくうちに自分たち夫婦に対する嫌がらせと離婚させることが目的だったとわかるお話です。

義兄のために私ができること

しゃーりん
恋愛
姉が亡くなった。出産時の失血が原因だった。 しかも、子供は義兄の子ではないと罪の告白をして。 入り婿である義兄はどこまで知っている? 姉の子を跡継ぎにすべきか、自分が跡継ぎになるべきか、義兄を解放すべきか。 伯爵家のために、義兄のために最善の道を考え悩む令嬢のお話です。

【完結】騙された侯爵令嬢は、政略結婚でも愛し愛されたかったのです

山葵
恋愛
政略結婚で結ばれた私達だったが、いつか愛し合う事が出来ると信じていた。 それなのに、彼には、ずっと好きな人が居たのだ。 私にはプレゼントさえ下さらなかったのに、その方には自分の瞳の宝石を贈っていたなんて…。

私だけが愛して1度も笑ったことの無い夫が、死んだはずの息子を連れてもどってきた

まつめ
恋愛
夫はただの一度も私に笑いかけたことは無く、穏やかに夫婦の時間をもったこともない。魔法騎士団の、騎士団長を務める彼は、23年間の結婚生活のほとんどを戦地で過ごしている。22歳の息子の戦死の知らせが届く。けれど夫は元気な息子を連れて私の元に戻って来てくれた。

さよなら私の愛しい人

ペン子
恋愛
由緒正しき大店の一人娘ミラは、結婚して3年となる夫エドモンに毛嫌いされている。二人は親によって決められた政略結婚だったが、ミラは彼を愛してしまったのだ。邪険に扱われる事に慣れてしまったある日、エドモンの口にした一言によって、崩壊寸前の心はいとも簡単に砕け散った。「お前のような役立たずは、死んでしまえ」そしてミラは、自らの最期に向けて動き出していく。 ※5月30日無事完結しました。応援ありがとうございます! ※小説家になろう様にも別名義で掲載してます。

【完結】妻の日記を読んでしまった結果

たちばな立花
恋愛
政略結婚で美しい妻を貰って一年。二人の距離は縮まらない。 そんなとき、アレクトは妻の日記を読んでしまう。

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話