恋心を利用されている夫をそろそろ返してもらいます

しゃーりん

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ソランジュとの結婚前に、伯爵夫妻から言われたことがあるのではないかと聞くと、オーリオは気まずそうな顔をしていた。


「白い結婚とすることは認めないということと、跡継ぎを作る努力をすることを言い聞かせられたのではありませんか?」

「……ああ。侯爵家に失礼なことはしてはいけない、跡継ぎを作ることで縁を深くする必要があると。」


オーリオは義務を果たさなければならなくなった。


「サミア様のことが好きなあなたは後先考えず、白い結婚にするつもりだったのではないですか?」

「……そのつもりだった。まるで裏切る気がして。殿下からもサミア様からも白い結婚の証明ができたら離婚すればいいと…………離婚してどうする気だったんだろうな。いずれ跡継ぎは必要なのに。」


2人それぞれから白い結婚による離婚を提案されていたのね。離婚というより婚姻無効になるのだけれど。
政略結婚した2人が、政略結婚しようとする人に離婚を勧めるなんて身勝手ね。
婚約後からほとんど交流がなかったのも殿下たちに言われていたのでしょうね。


「王太子殿下は、オーリオ様が私と閨を共にしていないと思っていたのですね。あの反応の理由がわかりました。だから私の勝ちなのでしょう。」


オーリオは側近を首になったこと以外でソランジュが勝った意味がわからなかった。


「あの時、私は王太子殿下にお腹に手を当てる仕草をしました。妊娠していると伝えたのです。つまり、私たちは白い結婚ではないと殿下に伝わりました。さすがに殿下も今から父親になろうというあなたを罠に嵌めることはできないと役目を下ろしてくれたのです。」

「にん…しん………こども?!」


オーリオはソランジュのお腹を凝視していた。


「ええ。昨日わかりました。強力な後押しとなって良かったです。」


王太子殿下の思惑にオーリオを巻き込まないでほしいと遠回しに伝えてわかってもらえるかは微妙だと思っていた。今更手駒を変えたくないと言われる可能性もあったから。
だけど、妊娠はマーズ伯爵家の跡継ぎを意味する。父親を犯罪者にはできなかった。
王太子殿下がオーリオを諦める後押しとなってくれたのだ。

罠に嵌めても、王太子殿下はオーリオの面倒は見たかもしれない。
ただし、オーリオ・マーズではない者として。
オーリオ・マーズは犯罪者として石切り場で死亡したことにでもして、別の名前で違う国で暮らすように逃がす。自分が嵌めたことなのに、オーリオに感謝されるように。

マーズ伯爵家は親戚に渡され降格。伯爵夫妻は隠居を命じられるが待遇は悪くしないだろう。
もちろん、ソランジュは白い結婚が認められて無関係と実家に戻される。

サミア様は離婚されて実家の領地に幽閉か修道院行き。

そんな感じになっていたはず。王太子殿下は策略家だから。


ソランジュのお腹を呆然と見ているオーリオに言った。


「王太子殿下は、あなたがサミア様に煽られながらも全く手を出す様子がなかったことをおかしいと思っていたみたいですよ。まるでそれも私のせいだと言うように。
ひょっとして以前に忠告した『超えてはならない一線をお忘れなく』という言葉が心に残っていましたか?」
 

オーリオはソランジュのお腹から顔に勢いよく目線を上げて答えた。


「……そうだったのかも。」

 
オーリオはサミア様と接する時、なぜか『一線』という言葉が頭にあったからだ。
 
それはソランジュに忠告された言葉だったのだとようやく気づいた。


 
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