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しおりを挟むローレンスは東の辺境へと向かわなければならない女性の御者になることを申し出た。
若い女性が一人、旅慣れない様子を見過ごせなかったからだ。
「辺境の用はすぐに終わるのか?あの御者の男はここで待たせていてもいいのか?」
「あ……辺境には嫁ぎに行くのです。ですので、御者はそのまま帰る予定で。」
嫁ぎに?結婚するのか?まだ若く見えるのに。荷物も最小限だし、大丈夫なのか?
口を出せることではないが。
「そうか。なら、君を送り届けて僕はここに戻ってきて御者に馬車を返せばいいのか?」
「そこまでしていただけると助かりますが。よろしいのですか?」
「特にアテがある旅でもないからな。戻ってくる頃には御者の体調も戻っているだろう。」
5日も高熱ではフラフラになるだろう。
それでも熱が下がって3日も経てば、馬車を動かせるくらいには回復しているはずだ。
「ありがとうございます。感謝いたします。」
気軽に申し出てしまったが、この女性も危機感が薄いよな。心配になるよ。
「私、メロディーナと申します。」
「僕は……ランス、だ。じゃあ、明日の朝に。」
「はい。よろしくお願いいたします。」
こうしてメロディーナとの4日間の旅が始まった。
辺境までは大きな街道が通っているため、迷うことはない。
盗賊の心配もないくらい、馬車通りもあるのだ。
1日目はあまり自分のことを話さなかったが、2日目となってくると彼女は口が軽くなってきた。
メロディーナは親の借金の肩代わりで嫁ぐことになったらしい。
父親は経緯を話してくれなかったが、相手は60歳近い男らしく、介護のためだと思われるそうだ。
驚くことに、メロディーナはローレンスの1歳下の18歳だった。
16歳くらいかと思っていたとは言えない。
そして3日目にもなると情が湧く。
メロディーナは実家から二度と戻ってくるなと言われているらしい。
つまり、年老いた夫が亡くなっても戻る場所がないのだ。
だから、ついローレンスは言った。
「逃げないのか?」と。
「もう、お金を受け取ってしまっているのです。私が行かなければ返金しなければなりませんが、もうそのお金もないのです。父から解放されるだけで、満足です。逃げても、もし見つかれば、どうなるかわかりません。それなら、私は役目を果たしたい。」
自分の役目を放棄したローレンスとは真逆である。
久しぶりにオリオール侯爵家のことを思い出したが、どうなっているのか全然知らない。
ローレンスの家出を公表しているのかすら、知らないでいる。
役目を果たせば、何年後か十何年後かには自由になるメロディーナ。
彼女が自由になるその日まで、近くで見守り続けることは可能だろうか。
そう思ったとき、ローレンスはメロディーナが好きになったのだと気づいた。
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