逃げた先で見つけた幸せはずっと一緒に。

しゃーりん

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ローレンスが仕事を終え、家に向かっているとジェイド・ピルスナーがいた。

1週間、姿を見せていなかったのでもう帰ったものだと思っていた。

彼がここで何をしているのか、何をしにきたのかも知らないが、早く帰ってほしい。


「ローレンス、君のことを少し調べさせてもらったよ。」

「調べた?」

「ああ。君は記憶喪失になっている。そうだな?」


そのことか。


「確かにそうですが、僕はランスですよ?記憶を失う前もランスと名乗っていたようなので、ローレンスではありません。」

「そうらしいが、君は失踪後に名前を変えて暮らしていただけなんだろう。
だが、君は貴族だ。オリオール侯爵としての責任があるんだ。元の場所に戻るべきだろう?」

「そうは言われても、もし、僕がローレンスだとして、僕がいなくて何か問題があるのですか?
今も誰かが侯爵となっていて、しかも困っているわけではないのですよね?戻る場所、本当にあるのですか?
それに、あなたは身内ではないのですよね?よその家のことに口出しして問題になりませんか?」


ジェイドは自分の行動に問題があることを自覚しているのだろう。一瞬、不快そうな顔をした。


「だが、子供のことをどう思っているんだ?お前が失踪したときは、まだ夫人の妊娠を知らなかったのだろうが、その子供に対して、責任があるとは思わないのか?」


僕の子供じゃないんだよ。


「僕は自分が結婚していたとは思えません。子供をつくるような行為も妻が初めてだったようです。
ですので、自分の子供とは思えないのに責任があると言われても、困ります。」


男の初めてがいつかなんて、証明のしようがないし聞きたくもないだろうがな。

ジェイドは深くため息をついてから言った。


「正直に言おう。俺は夫人の子供がローレンスの子供ではないと思っている。」

「では責任もなにもないのでは?」

「それは王都に連れ戻す口実みたいなものだ。
ローレンスの子供ではないということは、オリオール侯爵家の子供でもないということだ。
オリオール侯爵家はローレンスの母親の血筋だ。直系はローレンスしかいない。」


わかってるさ。それでも、殺されそうだったからオリオールを捨てたんだ。 


「夫人が浮気をしたという話ですか?でも証拠などないのですよね。」

「ローレンスの失踪は、結婚3か月後に公表された。だが実際は結婚後わりとすぐなんだ。」

「……どうしてそれがわかったのですか?」

「質屋だ。ローレンスが金を得るためにいろいろと持ち込んでいた。
店長の専門外のものもあって専門家に査定をしてもらうと言ったが、その男は急いで王都を出たいからと適当でと言ったらしい。
訳アリ貴族だと思ったが悪い男には見えないし、駆け落ち資金だろうと思って、激励の意味を込めて少し色を付けて金を渡したと店長は言っていた。」 
 

そう言えば、頑張れよって笑顔で送り出されたな。



 
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