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しおりを挟む宰相が口にした投書の内容はまだ途中である。だが、あちこちから驚きの声があがっていた。
それが鎮まると、宰相は再び口を開いた。
「ご存知の方も多いと思いますが、オリオール侯爵代理も夫人も再婚。どちらもオリオール家とは無関係の血筋です。夫人の連れ子レナウンは亡き夫の子とされており、2人の子供だという証拠はありません。根も葉もない投書だと思いたいところですが、これが事実であれば見過ごせません。
そんな時、血縁の判定ができるというものが開発されました。ちょうどいい。真実を明らかにできる。
そこで、オリオール侯爵代理に協力を願ったまでです。」
そうだー!明らかにするべきだー!とヤジが飛んでいた。
「オリオール侯爵代理、一応確認致しますが、投書の内容に心当たりはありますか?」
「…………」
答えなくても、その顔色の悪さが物語っているといえよう。
「実は、義理の息子レナウン殿にも同じように血をいただいています。……そろそろわかりますか?」
宰相は研究員に聞いた。
「はい。事前に血をいただいたレナウン殿とここで血をいただいたオリオール侯爵代理の血を混ぜて特殊な液体をかけます。血縁でなければ透明、血縁であれば色がついているはずです。では御覧ください。」
研究員が見せたのは、色がついたものだった。血縁にある。そう判断された。
「そ、それは嘘っぱちだっ!俺を嵌めようとしているんだろう!!」
「とんでもない。これは約百の血で実験した結果、正確と判断されているものです。」
いつの間にか、オリオール侯爵代理夫人も前に連れて来られていた。
「オリオール侯爵代理よ。結果を認めぬと申すか?夫人と再婚前に関係を持ったことはないと?」
国王陛下の言葉に、オリオール侯爵代理はひどく動揺していた。
彼よりも夫人の方が強かだったようだ。言葉を発せない夫に代わり、口を開いた。
「夫に代わり、国王陛下に申し上げます。
確かに、それぞれ別の配偶者がいながら関係を持ってしまったことがあると認めます。ですがそれは、酔った勢いの一夜の過ちであり、まさかそれで妊娠したとは思ってもみないことでした。
レナウンは亡くなった夫との間に産まれた子。そう今まで信じておりました。」
「ほお?出自をわかっていながら偽ったわけではないと申すのか?」
「もちろんでございます。」
「そなたの亡き夫とここにいる男。レナウンが色を継いでいるのはどっちだ?」
「………………」
「レナウンを出産した時、そなたは不貞を疑われたとも聞いたが?」
「……それでも、夫の子供だと信じていたかったのです!」
「体面を気にしたことで夫の籍に入れてはもらえたが、夫の死後、わずかな財産しか与えられず追い出されたそうだな。そしてその直後にオリオール侯爵代理と再婚話があがった。随分と都合のいいことだな?」
ローレンスの母、オリオール侯爵が先に亡くなっていた。
寝たきりの夫が亡くなるのを待って再婚する。まるでそう話し合っていたかのようだ。
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