逃げた先で見つけた幸せはずっと一緒に。

しゃーりん

文字の大きさ
26 / 50

26.

しおりを挟む
 
 
数か月後、国王により謁見の間に集められた貴族たちは何の事情も知らずにいた。

姿を見せた国王に、貴族たちは礼をとる。


「楽にしていい。今日集まってもらったのは、少し面白いものが開発されてな。それを披露しようというわけだ。」


いったい何が開発されたのか、とザワザワし始めた。


「そこで、オリオール侯爵代理、そなたに協力を頼みたい。」

「わ、私でございますか?光栄でございます。」


何かも知らず、それでも多くの貴族の中から自分が選ばれたことを誇らしく自慢げにオリオール侯爵代理は前に出てきた。


「そこの研究員の指示に従ってくれ。なに、少し針を刺すだけだ。」

「針、でございますか?」


研究員の手に針があるのを確認し、オリオール侯爵代理は少し動揺しているように見えた。


「こ、これはいったい何の……」

「大丈夫です。痛みは一瞬です。ちょっと指先を刺して血をいただくだけですので。」


研究員がオリオール侯爵代理の手を掴んだにも関わらず、彼は暴れようとしていた。


「へ、陛下、私は血が苦手でございます。別の方にお願い致したく申し上げます。」

「何を子供みたいなことを言っておる。見なければいいだけではないか。血は後できれいに拭き取るから見ることはない。おとなしくしろ、みっともない。」


国王陛下がちょっと呆れたような、更に嫌悪するような表情を見せたため、オリオール侯爵代理の動きが一瞬固まった。そこを逃さず、研究員は指に針を刺し、血を得た。 

ほんのわずかな血。それで何がわかるというのだろうか。何が開発されたのだ?

なんとなく想像がついている貴族、あるいは全くわかっていない貴族との反応の違いは明らかだった。
 
オリオール侯爵代理は指の血を拭われて解放されたにも関わらず、その場に留まるよう指示された。


「実はこれはな、耳にしたことがある者もいると思うが、血縁を判定できるものなのだ。
今回、オリオール侯爵代理に協力してもらったのは、ある投書を目にしてな。私もまさか彼がとは思ったのだが、コレが開発されたと聞いてちょうどいいと協力してもらうことにした。」

「陛下、投書の内容を話さないことにはお集りの方々には訳が分かりませんよ。私から話しましょうか?」


宰相が国王陛下にそう伝え、陛下は頷いた。演技くさい。茶番のようなものだから当然だが。


「では私から。投書の内容はオリオール侯爵代理が我が子を利用してオリオール侯爵家の乗っ取りを企んでいるというものでした。彼は亡きオリオール侯爵の夫で息子が一人います。だから乗っ取りではないと思われるかもしれません。ですが投書の内容は、再婚した妻の連れ子レナウン。彼がオリオール侯爵代理の子供ではないかというものだったのです。」


宰相がそこまで話すとざわつきが大きくなった。

 


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生命(きみ)を手放す

基本二度寝
恋愛
多くの貴族の前で婚約破棄を宣言した。 平凡な容姿の伯爵令嬢。 妃教育もままならない程に不健康で病弱な令嬢。 なぜこれが王太子の婚約者なのか。 伯爵令嬢は、王太子の宣言に呆然としていた。 ※現代の血清とお話の中の血清とは別物でござる。 にんにん。

〖完結〗旦那様には本命がいるようですので、復讐してからお別れします。

藍川みいな
恋愛
憧れのセイバン・スコフィールド侯爵に嫁いだ伯爵令嬢のレイチェルは、良い妻になろうと努力していた。 だがセイバンには結婚前から付き合っていた女性がいて、レイチェルとの結婚はお金の為だった。 レイチェルには指一本触れることもなく、愛人の家に入り浸るセイバンと離縁を決意したレイチェルだったが、愛人からお金が必要だから離縁はしないでと言われる。 レイチェルは身勝手な愛人とセイバンに、反撃を開始するのだった。 設定はゆるゆるです。 本編10話で完結になります。

強い祝福が原因だった

恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。 父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。 大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。 愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。 ※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。 ※なろうさんにも公開しています。

〖完結〗冤罪で断罪された侯爵令嬢は、やり直しを希望します。

藍川みいな
恋愛
「これより、サンドラ・バークの刑を執行する!」 妹を殺そうとした罪で有罪となった私は、死刑を言い渡されました。ですが、私は何もしていない。 全ては、妹のカレンが仕組んだことでした。 刑が執行され、死んだはずの私は、何故か自分の部屋のベッドの上で目を覚ましたのです。 どうやら時が、一年前に戻ったようです。 もう一度やり直す機会をもらった私は、二度と断罪されないように前とは違う選択をする。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全14話で完結になります。

【完結】あなたに抱きしめられたくてー。

彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。 そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。 やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。 大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。 同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。    *ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。  もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。

婚約破棄は踊り続ける

お好み焼き
恋愛
聖女が現れたことによりルベデルカ公爵令嬢はルーベルバッハ王太子殿下との婚約を白紙にされた。だがその半年後、ルーベルバッハが訪れてきてこう言った。 「聖女は王太子妃じゃなく神の花嫁となる道を選んだよ。頼むから結婚しておくれよ」

〖完結〗記憶を失った令嬢は、冷酷と噂される公爵様に拾われる。

藍川みいな
恋愛
伯爵令嬢のリリスは、ハンナという双子の妹がいた。 リリスはレイリック・ドルタ侯爵に見初められ、婚約をしたのだが、 「お姉様、私、ドルタ侯爵が気に入ったの。だから、私に譲ってくださらない?」 ハンナは姉の婚約者を、欲しがった。 見た目は瓜二つだが、リリスとハンナの性格は正反対。 「レイリック様は、私の婚約者よ。悪いけど、諦めて。」 断った私にハンナは毒を飲ませ、森に捨てた… 目を覚ました私は記憶を失い、冷酷と噂されている公爵、アンディ・ホリード様のお邸のベッドの上でした。 そして私が記憶を取り戻したのは、ハンナとレイリック様の結婚式だった。 設定はゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全19話で完結になります。

令嬢は魅了魔法を強請る

基本二度寝
恋愛
「お願いします!私に魅了魔法をかけてください」 今にも泣きそうな声で取り縋る令嬢に、魔法師団の師長を務める父を持つ子爵家の子息、アトラクトは慌てた。 魅了魔法などと叫ばれ周囲を見回した。 大昔、王室を巻き込んで事件の元となった『魅了魔法』は禁術となり、すでに廃術扱いの代物だった。 「もう、あの方の心には私が居ないのです。だから…」 「待て待て、話をすすめるな」 もう失われている魔法なのだと、何度説明しても令嬢は理解しない。 「私の恋を終わらせてください」 顔を上げた令嬢に、アトラクトは瞳を奪われた。

処理中です...