逃げた先で見つけた幸せはずっと一緒に。

しゃーりん

文字の大きさ
31 / 50

31.

しおりを挟む
 
 
そう言えば、メロディーナは父親から戻ってくるなと言われたと言っていたことを思い出した。

だから前辺境伯が亡くなったことで婚姻関係も終わり、それをきっかけに平民の戸籍を用意してもらったということか。 

だが疑問が残る。


「メロディーナ、君が産んだ子供が前辺境伯の子供ではないと知った辺境伯様たちは怒らなかったのか?」

「レナード様が事前に話してくれていたの。それに、恋人の有無を確認せずに結婚を強いたと辺境伯様にも謝られてしまったわ。」

「辺境伯様が望んだことだったのか?結婚は。」


メロディーナは嫌そうな顔をした後、話し出した。


「私の父はギャンブル癖があって、その借金のために貧乏暮らし。そして私と引き換えにギャンブルの借金を無くす話をしているところを辺境伯様が耳にして、レナード様の話し相手として雇うと言ってくださったそうなの。借金は前清算で払ってやるからって。」

「話し相手として雇う?」

「そう。初めは結婚ではなく雇われるはずだった。でも父が借金に色を付けて娘を買ってくれと言い出したそうなの。辺境伯様は一度売ったのだから二度と売れると思うなと父に釘をさしたって言っていたわ。だから、戻ってくるなって父は私を捨てたの。」
 
「辺境伯様はメロディーナを助けてくれたんだな。」

「ええ。そしてもちろん、あなたのことも誰だか調べていたわ。」


それはそうか。メロディーナのお腹の子の父親がクズのような男なら困ると調べるか。
だからメロディーナも僕が誰か教えてもらっていたんだな。


「……ローレンス・オリオールだってことを?」

「そう。学園にも通っていたし、社交界に出たこともあったあなたの顔を覚えている人もいるわ。私も学園に通っていたのよ?一つ下の学年に。」

「僕を知っていた?」


え?辺境伯に教えてもらう前から知っていたのか?


「ええ。私はあなたの弟レナウンの同級生だもの。レナウンがあなたを見て嘲っているところも見たことがあるわ。オリオールはあなたのものなのに、親の再婚でオリオールに住まわせてもらっているだけの居候の彼と立場が逆転していると思ったわ。
偏食?どう見ても栄養失調だって誰でもわかるわ。身長が高いから余計に細さが目立っていたのね。
私と同じように、不審に思う学生は他にもいたの。でも、口に出せることじゃなかった。」


そうか。いつも一人でいて親しい友人がいたわけではなかったから目立っていないと思っていた。
だけど、違う意味でも目立てるんだな。高い身長に気味が悪いほどの細さ、そして複雑な家族環境というのは。


「本人がそのうち何とかなると虐待を受け入れていたんだから周りは何もできないよな。」


どうして助けを求めなかったのか。
自分が思う以上に、ローレンスとレナウンを比較して怪しんでいる者は多かったのだろう。




 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勝手にしなさいよ

恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

生命(きみ)を手放す

基本二度寝
恋愛
多くの貴族の前で婚約破棄を宣言した。 平凡な容姿の伯爵令嬢。 妃教育もままならない程に不健康で病弱な令嬢。 なぜこれが王太子の婚約者なのか。 伯爵令嬢は、王太子の宣言に呆然としていた。 ※現代の血清とお話の中の血清とは別物でござる。 にんにん。

強い祝福が原因だった

恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。 父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。 大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。 愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。 ※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。 ※なろうさんにも公開しています。

〖完結〗冤罪で断罪された侯爵令嬢は、やり直しを希望します。

藍川みいな
恋愛
「これより、サンドラ・バークの刑を執行する!」 妹を殺そうとした罪で有罪となった私は、死刑を言い渡されました。ですが、私は何もしていない。 全ては、妹のカレンが仕組んだことでした。 刑が執行され、死んだはずの私は、何故か自分の部屋のベッドの上で目を覚ましたのです。 どうやら時が、一年前に戻ったようです。 もう一度やり直す機会をもらった私は、二度と断罪されないように前とは違う選択をする。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全14話で完結になります。

〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……

藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」 大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが…… ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。 「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」 エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。 エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話) 全44話で完結になります。

報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を

さくたろう
恋愛
 その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。  少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。 20話です。小説家になろう様でも公開中です。

やり直し令嬢は本当にやり直す

お好み焼き
恋愛
やり直しにも色々あるものです。婚約者に若い令嬢に乗り換えられ婚約解消されてしまったので、本来なら婚約する前に時を巻き戻すことが出来ればそれが一番よかったのですけれど、そんな事は神ではないわたくしには不可能です。けれどわたくしの場合は、寿命は変えられないけど見た目年齢は変えられる不老のエルフの血を引いていたお陰で、本当にやり直すことができました。一方わたくしから若いご令嬢に乗り換えた元婚約者は……。

殿下が好きなのは私だった

恋愛
魔王の補佐官を父に持つリシェルは、長年の婚約者であり片思いの相手ノアールから婚約破棄を告げられた。 理由は、彼の恋人の方が次期魔王たる自分の妻に相応しい魔力の持ち主だからだそう。 最初は仲が良かったのに、次第に彼に嫌われていったせいでリシェルは疲れていた。無様な姿を晒すくらいなら、晴れ晴れとした姿で婚約破棄を受け入れた。 のだが……婚約破棄をしたノアールは何故かリシェルに執着をし出して……。 更に、人間界には父の友人らしい天使?もいた……。 ※カクヨムさん・なろうさんにも公開しております。

処理中です...