逃げた先で見つけた幸せはずっと一緒に。

しゃーりん

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領地から戻り、落ち着いた頃にジェイドと会った。


「記憶が戻ったんだって?」

「ああ、うん。いろいろ世話になったな。」

「記憶喪失のときに会ったことも覚えているのか?」

「そう、だな。うん。覚えてる。」


え?覚えていてもいいんだよな?
昔の記憶を取り戻したら、記憶喪失だった期間のことは覚えていないものなのか? 
そんなことないよな?いろんな症状があってもいいはずだ!

全部覚えている。これでいいはずだ!
 

「そっかぁ。ならよかったな!記憶を取り戻したら知らない妻と子供がいたびっくりだもんな。」

「いや、メロディーナとは記憶を失う前からの付き合いだから……」


あ……ヤバい?時系列がおかしくなる。
ジェイドはいつローレンスが平民籍になってメロディーナと結婚したのかを知っているからだ。
あの後、いろいろと戸籍をいじることになったのだが、それはジェイドに話していないだろう。


「ってことは、やっぱり長女は平民籍になる前にできた子だよな?不貞していたってことだよな?」


ジェイドは記憶を失ったローレンスがメロディーナに付け込まれた可能性があると考えていたらしい。
ローレンスと付き合っていた、子供はローレンスの子だと嘘を言って記憶のないローレンスと無理やり結婚したのだと。

だが間違いなく長男リカルドは2人の子供だから、オリオールを継ぐのに問題はないだろう。

そう思っていたのに、ミレージュもローレンスの実子と判明したとなると、記憶を失う前から本当に関係があったということになるのだ。

貴族籍の時にジョスリンという妻がいたのにメロディーナと不貞して子供を作ったということになる。
今回、ジョスリンとの結婚が無効になったことで問題はないが、本来であればメロディーナは愛人で子供たちは庶子だったのだ。

貴族籍を抜けていたわけではないので、そうなってしまうところだった。


「……記憶喪失後にメロディーナと出会ったことになっているんだ。時期は家出をして半年後。それで納得してくれないか?」


辺境伯たちと話し合って、ミレージュと知り合ったのは記憶を失って戸籍もわからないランスという男だったということにしたのだ。要するに記憶喪失の時期を1年早めた。でないと、ミレージュの出自がおかしくなる。

それと同時に、メロディーナも前辺境伯に嫁いだ後すぐに離婚して平民になったということにした。
これは一度は約束通りに嫁いだという記録を残すためだ。
 
その後、ローレンスとメロディーナは平民として結婚したことになっている。

ジェイドが調べた結果よりも1年早く。


ジェイドは呆れた顔をしていた。


「別に不貞を咎めようと思って来たわけじゃないさ。貴族に戻るつもりがなかったからだろう?じゃないと不貞だなんてしそうにないもんな。ただ、ローレンスが初めから夫人に騙されていたんじゃないかと心配しただけなんだ。」

「記憶がないのをいいことに妻になったと思ったからか。」

「それもあるが、それだけじゃない。記憶を失う前の出会いからだ。彼女は貴族だったんだろう?お前の顔を知った上で、失踪していることも知った上で、お前に近寄って来て、関係を結んだとしたら?」 


ジェイドは何が言いたい? 
 



 
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