友人の好きな人が自分の婚約者になりそうだったけど……?

しゃーりん

文字の大きさ
1 / 15

1.

しおりを挟む
 
 
ある日、友人のリリスが好きな人ができたと言った。


「あのね、廊下にハンカチを落としてしまったの。拾ってくれた方が素敵で…… 
 ハンカチの刺繍がね、上手だねって褒めてくれたの。」


そう言って握りしめているハンカチの刺繍は私がしたものに見えるんだけど?
あなたが欲しいって言うからあげたそのハンカチのこと?
それとも刺繍が苦手なリリスが自分で刺繍したハンカチ?
あるいは買ったハンカチかしら?
なんて疑問に思いながらクレージュは話を聞いていた。


「ロメオって呼ばれてた。多分、1つ上の学年かも。誰かわかる?」

「ロメオ様ってブラック伯爵家の方じゃない?」

「伯爵家の方なの?婚約者はいるのかな……ねぇ、みんな協力してくれる?」

「「「もちろん。」」」

「クレージュは?」

「……思いが通じるといいわね。」

「うん。ありがとう。」


ブラック家のロメオ様って次男じゃなかったっけ?
リリスは伯爵令嬢だけど、弟がいるから跡継ぎじゃないわ。
どうするつもりなのかしら。
というより、親が許してくれる?継げる家ないけど。

リリスとは学園に入学してから親しくなったから、まだ2か月くらいなんだけど、恋愛脳なのかな。
後先考えずに友人に協力を仰いで、少し頭がお花畑な子なのかもしれないと不安になった。
協力すると言った友人たちにも、そんな約束して大丈夫かと不安になったけど。

でもどうなるかもわからないし、リリスとはまだ付き合いが浅くて指摘できるほどではないし。
詳しく調べていったら自分でも気づくだろうし?
ここで指摘して嫌な顔をされたくないと思ったクレージュは黙っていることにした。

リリスがいいならいいけど、向こうはどうかしら?思いが通じるといいわね?と心の中で思いながら。


調べてみると、やはりブラック家の次男だと思うということだった。顔知らないけど。
そして婚約者はいない。

それを知ったリリスは喜んだ。


「これってチャンスよね?話しかけたいけど、どこで会えるかな。
 手紙も書いた方がいい?趣味って何かしら。あぁ、聞きたいことがいっぱい。」


……次男だよ?いいの?他の友人も誰も指摘しないわ。気づいているよね?本人がいいならいい?

リリスは手紙に何を書こうかと楽しそうにしていた。
普段から明るい子だけど、恋愛に浮かれると暴走しそうな子だと初めて思った。
この2か月、一緒にいる友人たちの中で婚約者のいる令嬢は1人しかいないくて、あまり恋愛の話にはならなかったから気づかなかったわ。
オシャレ好きな可愛い子っていう認識だったから。

うまくいってもいかなくてもリリスが納得できればいいと思っていた。




しかし、それから数日後、クレージュは父から婚約の話をされた。

相手はロメオ・ブラック。ブラック家の次男。

このオリーブ伯爵家の跡継ぎはクレージュなので、クレージュの家に婿入りすることになる。 


「新しい事業絡みでね、いい縁だと思うんだ。明日、顔合わせに来られるから。」

「明日、ですか?いきなり?」

「まぁ、とりあえず顔合わせだ。
 事業の話をもう少し詰めることになるから、婚約もそれに合わせて交わそうと思う。」

「……わかりました。」


まさか、リリスの思い人が婚約者になるとは。

だけど、政略結婚を友人の思い人だからと断るわけにはいかない。
そんなことを言っていたら、誰も婚約なんてできなくなってしまうから。
こんなことがあるかもしれないとわかっていたから、簡単に協力するなんて言えなかった。

だけど……嫌なタイミングだわぁ。。。

 

 



 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一年だけの夫婦でも私は幸せでした。

クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。 フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。 フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。 更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。

お飾りな妻は何を思う

湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。 彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。 次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。 そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。

私はあなたの前から消えますので、お似合いのお二人で幸せにどうぞ。

ゆのま𖠚˖°
恋愛
私には10歳の頃から婚約者がいる。お互いの両親が仲が良く、婚約させられた。 いつも一緒に遊んでいたからこそわかる。私はカルロには相応しくない相手だ。いつも勉強ばかりしている彼は色んなことを知っていて、知ろうとする努力が凄まじい。そんな彼とよく一緒に図書館で楽しそうに会話をしている女の人がいる。その人といる時の笑顔は私に向けられたことはない。 そんな時、カルロと仲良くしている女の人の婚約者とばったり会ってしまった…

【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい

高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。 だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。 クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。 ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。 【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】

犠牲の恋

詩織
恋愛
私を大事にすると言ってくれた人は…、ずっと信じて待ってたのに… しかも私は悪女と噂されるように…

僕の婚約者は今日も麗しい

蒼あかり
恋愛
公爵家嫡男のクラウスは王命により、隣国の王女と婚約を結ぶことになった。王家の血を引く者として、政略結婚も厭わないと覚悟を決めていたのに、それなのに。まさか相手が子供だとは......。 婚約相手の王女ローザもまた、国の安定のためにその身を使う事を使命としていたが、早い婚約に戸惑っていた。 そんなふたりが色々あって、少しづつ関係を深めていく。そんなお話。 変わり者の作者が、頑張ってハッピーエンドを目指します。 たぶん。きっと。幸せにしたい、です。 ※予想外に多くの皆様に読んでいただき、驚いております。 心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。 ご覧いただいた皆様に幸せの光が降り注ぎますように。 ありがとうございました。

冷徹公に嫁いだ可哀想なお姫様

さくたろう
恋愛
 役立たずだと家族から虐げられている半身不随の姫アンジェリカ。味方になってくれるのは従兄弟のノースだけだった。  ある日、姉のジュリエッタの代わりに大陸の覇者、冷徹公の異名を持つ王マイロ・カースに嫁ぐことになる。  恐ろしくて震えるアンジェリカだが、マイロは想像よりもはるかに優しい人だった。アンジェリカはマイロに心を開いていき、マイロもまた、心が美しいアンジェリカに癒されていく。 ※小説家になろう様にも掲載しています いつか設定を少し変えて、長編にしたいなぁと思っているお話ですが、ひとまず短編のまま投稿しました。

愛するあなたへ最期のお願い

つぶあん
恋愛
アリシア・ベルモンド伯爵令嬢は必死で祈っていた。 婚約者のレオナルドが不治の病に冒され、生死の境を彷徨っているから。 「神様、どうかレオナルドをお救いください」 その願いは叶い、レオナルドは病を克服した。 ところが生還したレオナルドはとんでもないことを言った。 「本当に愛している人と結婚する。その為に神様は生き返らせてくれたんだ」 レオナルドはアリシアとの婚約を破棄。 ずっと片思いしていたというイザベラ・ド・モンフォール侯爵令嬢に求婚してしまう。 「あなたが奇跡の伯爵令息ですね。勿論、喜んで」 レオナルドとイザベラは婚約した。 アリシアは一人取り残され、忘れ去られた。 本当は、アリシアが自分の命と引き換えにレオナルドを救ったというのに。 レオナルドの命を救う為の契約。 それは天使に魂を捧げるというもの。 忽ち病に冒されていきながら、アリシアは再び天使に希う。 「最期に一言だけ、愛するレオナルドに伝えさせてください」 自分を捨てた婚約者への遺言。 それは…………

処理中です...