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翌日、ロメオ・ブラック様はご両親と一緒にうちに来た。


「初めまして、ロメオ・ブラックです。」

「初めまして、クレージュ・オリーブと申します。宜しくお願い致します。」


お互いの両親を交えて軽く談笑した後、2人で少し話すことになった。


「クレージュ嬢は美人だね。
 本当は僕の隣には可愛い令嬢の方が似合うと思うんだけど、美人でもつり合いはとれるよ。」

「……それは、どうも?」


何、この人。自分に似合うかどうかって、基準がそこなの?
確かにロメオ様はカッコいいとは思うけど、今まで婚約者がいなかったのは似合うかどうかで断っていたのかしら。
ならいっそのこと、この婚約も断ってくれていいかもしれない。なんか、苦手かも。


「うん。君ならいいと思う。これからも会おうよ。よろしくね。」

「……はい。」


あれ?向こうが上の立場?こっちじゃないの?……お父様に確認してみなきゃ。

お父様には悪いけど、断れるなら断りたい。

それか、せめて交流期間を持ってから婚約は判断させてほしいわ。





ブラック家が帰り、お父様に聞かれた。


「どうだ?なかなかいい男だったな。気に入ったか?お似合いだったよ。」

「……あの方、今までにお見合いを断ったりしていませんか?」

「ん?何かあったのか?
 ロメオ君の様子を見て、ブラック伯爵は喜んでいたが。」

「美人だとは言われました。ですが、自分の隣には本当は可愛い子が似合うとも。
 私ならつり合いがとれるからいいともいわれましたが……」

「ははは。美人と言われたならいいじゃないか。」

「あなた!クレージュは、そう言われて気に障ったのですよ?
 クレージュは自分とつり合いがとれるから許してやるって上から目線で傲慢な言い方。
 つまり、自分に似合わない令嬢との見合いを断ってきたんじゃないかって感じたの。
 そうよね?」


お母様は私が言いたかったことを正確に読んでくれた。


「はい。まるであの方のアクセサリーのような言い方をされました。
 基準が自分に似合うか似合わないか、なんて外見重視が行き過ぎな気がして。」

「そういえば、服装も伯爵令息にしてはお金がかかっている気がしたわね。
 ブラック家ってそれほど裕福だったかしら?ご夫妻は伯爵に相応しい服装だったけれど。
 お見合いだから息子の衣装にお金をかけたのかしら?」

「……お前たちはあまり乗り気じゃないのか?」

「「ええ。」」

「わかった。正式な婚約をする前に、少し調べてみるよ。
 ロメオ君のお見合い回数と服装や装飾品に係わる費用がどれくらいかを。
 確かに非常識な婿を迎えるのは困るからな。
 クレージュも今すぐ決めずに、少し交流を持ってみたらどうだ?印象が変わるかもしれない。」

「わかりました。ですので、婚約話を勝手に先へと進めないで下さい。
 婚約解消や婚約破棄を避けたいですから。
 それと、学園での成績も調査していただけますか?怠惰な方も困ります。」

「ああ、それはもちろんだ。
 すまんな。ブラック伯爵と跡継ぎの長男は真面目な方だから、次男にも問題がないと思った。
 いくら好青年に見えても、中身が重要だな。ちゃんと調査する。」


よかった。
親が選んだ政略結婚の相手に口を挟むつもりはなかったけれど、初対面の印象があまり良くない方と一生を共にするには、不安要素を解消してからでないと前に進めない。

頭ごなしに命令するような父でなくて良かったと思った。

 


 
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