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しおりを挟む別邸の前には馬車が止まっており、コーネリアはその馬車にハリエットを入れた。
ジョシュアも乗り込んで馬車は出発した。
ゆっくりと本邸の方へと進んで行く。
ハリエットは馬車の窓から、本邸が何やら騒がしそうなことに気づいた。
大勢集まっているのは使用人のようである。
それを騎士が見張っているように見えた。
「ルミナス侯爵は何か問題を起こしたの?」
お義父様とはもう呼びたくない。
呼んだのは結婚式当日だけのことだった。
「ええ。正確にはアルバートに原因があるけれど。それを黙認した侯爵夫妻も問題よね。」
「アルバート様が原因?」
彼は何をしたのだろう。
そう思っていると、コーネリアが呆れたように言った。
「あなたを監禁していたじゃない。」
「え!?それが原因なの?」
「原因の一つね。もちろん、他にもあるわよ。」
他にも……
コーネリアは今はそれ以上話す気がないようだった。
そして本邸の玄関アプローチの近くで馬車は止まった。
「ハリエット、見てみなさい。侯爵夫妻にアルバート、そしてあの女も捕まったわね。」
あの女?
確かに暴れている女性がいた。
「誰?え……、リーシャ?」
同級生の元男爵令嬢であるリーシャに見えた。
「そうよ。アルバートの愛人。」
「あ、愛人!?リーシャが?」
アルバートに愛人がいたとは知らなかった。
つまり、ハリエットを別邸に閉じ込めたのは二人の邪魔だったからということだ。
「それならどうして私と婚約解消しなかったのかしら。あ……、援助が無くなると困るから。」
ハリエットの実家、テイラー伯爵家はこの結婚でルミナス侯爵家に援助をしていた。
元々、援助金目当てで婚約を申し込んできたことはハリエットも知っていた。
格上の侯爵家からの申し出と王家からの後押しもあったことで結ばれた婚約だった。
「そういうことでしょうね。」
「それにリーシャは平民になってしまったものね。だから二人は結婚できなかったんだわ。」
すると、止まった馬車にハリエットがいることに気づいたのか、アルバートが叫んだ。
「ハリエット!!お前のせいだ!!」
「え……?どうしてそうなるの?」
本気で驚いたハリエットの呟きはアルバートには聞こえなかっただろう。
ただ、困惑したハリエットの顔は見たはずである。
彼らはそのまま騎士に護送用の馬車に乗せられて連行されて行った。
「私が何をしたっていうのかしら。」
「本当にね。尋問でわかったことは教えてもらうことになっているわ。」
根回しはすっかり済んでいるらしい。
「ところで私のお父様はこのことを?」
何故、迎えに来たのがコーネリアで父ではなかったのか。それが不思議だった。
「テイラー伯爵は、全っ然、ハリエットのことを心配していなかったの。何度も何度も頼んだのよ?子供の1歳の誕生日にハリエットの姿が見えなくても体調不良って言葉を信じてたんだから。」
「1歳の誕生日?誰の子の?」
「……ハリエットとアルバートの子とされている男の子よ。」
え!?私の子?
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