結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。

しゃーりん

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ハリエットとアルバートには1歳になる男の子がいるらしい。


「……って、私、産んでいないわよ?そもそも初夜もないまま閉じ込められたし。」
 

ハリエットは真っ新。純潔のままである。


「わかっているわ。リーシャが産んだ子よ。だけど、ハリエットが産んだことになっているの。」
 
「そんなことしたら違法だわ。あ、だから捕まったのね。」


彼らが捕まった原因の一つはハリエットの監禁だったが、出生を偽ったことの方が罪は重い。
 

「ハリエットを監禁しておいて、毎月援助金を受け取っていた上に、長男出産による祝い金やら他にもいろいろテイラー伯爵に弾ませたそうよ。これはもう詐欺ね。」 

 
実家のテイラー伯爵家は裕福である。  
父も、血の繋がった孫がいつか立派なルミナス侯爵になることを期待して援助をしていたというのに、実際は無関係の子供に貢いでいたことになる。


「お父様、そのことも知らないの?」

「今頃伝わっているんじゃないかしら。ハリエットをこちらに連れ帰る連絡はしておいたから。」
 

コーネリアは楽観的なハリエットの父に腹を立てているらしい。
何を言ってもハリエットのことを心配しなかった父に頼むことはやめて、コーネリアは自らルミナス侯爵家のことを調べたのだろう。

その結果、わかったことを父に共有することなく、こうして迎えに来てくれたのだ。
 

「ありがとう。父はアルバート様たちがしたことを知ったら驚くでしょうね。」

「そうね。娘が大変な目にあっていることに気づかなかったことを少しの間、反省すればいいのよ。
それより、ルミナス侯爵家はこれからどうなるかわからないけれど、ハリエットは婚姻無効を申し立てられるはずよ。」
 
「婚姻無効……。そうね。離婚よりも結婚しなかったことにしたいわ。」


テイラー伯爵家から援助が必要なほど資金難であるルミナス侯爵家。
今回の罪で、彼らはもうルミナス侯爵家を名乗れなくなる。
おそらく、ルミナスの家名自体、無くなる可能性もある。その場合、遠縁が跡を継ぐこともない。

王家が後押しした結婚に泥を塗ったのだから。
 

「ハリエット・テイラーに戻ってどうしようかしら。」


また援助を期待する高位貴族家から結婚の申し込みがあれば、そこに嫁ぐことになるだろうと思いながらも、それまでに自由に過ごしてみたいと思った。

二年も閉じ込められていたのだから、少しは楽しみたい。 

でもその前に、体力作りが先かもしれない。 
今のままではダンス一曲分を踊り切る体力がないくらい、ハリエットは筋力が落ちているから。 
 

「アルバートたちのことが片付くまで、とりあえず、私の息子と遊んでくれたら嬉しいわ。」


息子!?
二年も会わなかったのだから、コーネリアにも子供がいてもおかしくないのに気づかなかった。


「子供がいるのね!!おめでとう、名前は?」

「ジュールよ。生後8か月なの。」


ジョシュアにも祝いの言葉を言うと、彼は『私に似ているんだ』と嬉しそうに言った。
 


 
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