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しおりを挟むクリスタがザフィーロを脅して買わせた高額なアクセサリーの支払いをソンブラ侯爵が引き受けると言ったことで、エスメラルダは他も引き取ってもらおうと告げた。
「目をむくような桁違いの高額はそれだけですが、他にも請求書の山ですのよ?
ザフィーロが決済したものもありますが、それ以上にクリスタ嬢が勝手に我が公爵家に請求するように指示しているようでしてね?困っておりましたの。
ザフィーロは大人しく本を読むのが好きな子ですので、買い物や観劇、レストランに10人で訪れて皆様を歓待したとは考えられませんし、問い詰めたら本人も知らないと驚いていましてね?
問い合わせしたところ、クリスタ嬢がご友人方と共に来られて、ザフィーロの名前を出したそうなのです。ですが、さすがに子供の名では怪しいと疑ったら、公爵である私が許可したとまで言ったそうですわ。
クリスタ嬢、いつ、私が、許可を出しましたか?」
さすがにソンブラ侯爵も唖然として娘を見た。
「ご、ごめんなさい。見栄を張りたくて、つい。
ザフィーロ様の婚約者であることが誇らしかったのです。」
婚約者が公爵家の者であるということは、周りの令嬢たちから見てもクリスタは媚びを売りたい相手になる。
公爵家と近しくなりたい貴族家にとって、クリスタは格好の的になるのだ。
まるで自分が偉くなった気になり、取り巻きを引き連れて豪遊したのだろう。
支払いを自分がしたように思わせておいて、公爵家に押しつける。いずれは自分のものになるのだから婚約者である今も支払いをしてくれてもいいはずだと勝手に思っていたのだ。
「許可していないことに名を出せば、名を騙ったと同じことです。」
「申し訳ございません。まだ子供だと思ってお許しを。請求書はもちろんこちらで処理します。」
名を騙るのは非常に罪が重くなる。貴族籍剥奪で修道院でもおかしくないのだ。
「もう15歳だからと高額のアクセサリーを買わせたのに、15歳はまだ子供だから罪を許せと言うのね。
まあ、いいでしょう。ですが、もう少し貴族としての常識を身につけさせるべきだと思いますわ。」
「その通りです。クリスタもこれから三年間、必死で学ばせます。ですので、どうか婚約の継続を。」
エスメラルダは大きくため息をついた。
「ソンブラ侯爵、このまま白紙にしましょう。これでもまだ私は怒りを抑えているのですよ?」
「で、ですが……」
しつこい。そんなにも娘を公爵夫人にしたいのであれば、ちゃんと教育すべきだったのに。
常識・礼儀作法・学力のどれもが15歳の時点で高位貴族として劣っており、このまま婚約を続けても図に乗るだけで努力などしないことは目に見えている。
エスメラルダも、ソンブラ侯爵家とは縁組として悪いと思っていたわけではなかった。
ただ、ザフィーロが乗り気ではなかったので断っていたのだ。
しかし、断り続ける明確な理由がなかったことから、15歳で見直す条件をつけて婚約を受け入れた。
この五年間で、ザフィーロはどんどんクリスタを嫌っていき、クリスタは横柄になり過ぎた。
ザフィーロの成績云々は婚約を白紙に戻すための一案だが、それがなくとも他にもネタはあるのに。
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