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しおりを挟むエスメラルダは、娘ラピスを王子殿下の婚約者に望んでいることを父親である王太子殿下は知っているのかと国王陛下に確認した。
「あー……話はしたが、まだ早い、と。10歳くらいで何人か集めてからでいいだろうと言っていた。」
まぁ、それが普通よね?他国の王女との縁談が持ち込まれる可能性もあるし。
「それがよろしいかと思います。今はまだ、決めるべきではないかと。
……それと、確認致しますが、ザフィーロがラルゴ殿下の子供だなどと誰にも言っていませんよね?」
「さすがにそれを口にしたのは両親に聞いてから今が初めてだ。すぐ下の弟も知らないはずだ。」
当時、第二王子殿下はすでに結婚して王宮の外で暮らしていたので話さなかったのだろう。
「それはよかったです。万が一、そんな妄想を口にされると醜聞になるのは王家よりもラース公爵家ですからね。今後一生、口にすることなくこのまま……」
「墓場まで、だな。わかっておる。だが言わせてくれ。弟がすまなかった。」
「……謝罪は受け取ります。ですが、私はこれまでの人生を後悔していません。
ザフィーロは来年、自分が望んだ令嬢と結婚します。だからラピスにも自分で選ばせてあげたい。それだけです。」
「わかった。もう打診はしない。ラース公爵はすぐにでもザフィーロに継いでほしそうだな。」
「継いでほしいですが、予定では4年後です。新婚生活を邪魔すると怒られそうですわ。」
「それもそうだな。ではまだしばらくはよろしく頼むよ。」
エスメラルダは退席する国王陛下を見送った。
まさか王家が気づいていたとは。
領地から戻ってきた公爵夫人が出産していたと信じるよりも、少女趣味だった弟がエスメラルダを襲ってできたのがザフィーロと思った方がしっくりきたのかもしれない。
そうなると、他にも疑っている貴族はいるかもしれない。
だけど、公爵位が物を言ったのだろう。格下が問い質してきたことは一度もないのだから。
1年後、ザフィーロは卒業したばかりの18歳のリルベルと結婚した。
リルベルは次期公爵夫人に相応しくなれるよう、努力するとても評判のよい令嬢になっていたため、伯爵令嬢であっても羨むものはいても妬むものはほとんどいなかった。
8年も前から、ザフィーロが望んで婚約を結んだということは広まっている。
にもかかわらず、5歳下の伯爵令嬢でいいのなら、6歳下の侯爵令嬢の方が釣り合いがとれているはずだと喚く貴族もいたが、ザフィーロが黙らせたそうだ。
いや、その時だけでなくリルベルを妬む者が減ったことも裏でザフィーロが何かしていたかもしれないが、その辺の情報はレイリーに任せてエスメラルダは耳に入れないことにしている。
エスメラルダは20歳で公爵になったが、正攻法でどうにもならないことはレイリーに頼んでいた。
レイリーは裏情報を集めてくる者たちを使っている。
それは公爵家に代々仕える者たちで、父は生前、自分に万が一のことがあればその役目をレイリーがするように頼んでいた。エスメラルダが直接指示せずに済むようにしていたのだ。
レイリーはその者たちの使い方を、すでにザフィーロに教えているようだ。
ザフィーロが公爵になれば、鉄壁の公爵家になりそうな気がする。
そして、結婚式の夜から10日間、ザフィーロとリルベルは寝室に籠っていた。
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