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しおりを挟む結婚式後、10日ぶりに見たザフィーロはとても幸せそうで満足した顔をしていた。
対してリルベルは明らかに泣いたであろう顔をしていた。
ザフィーロがレイリーに連れて行かれた隙にエスメラルダはリルベルに聞いた。
「目が腫れているわ。泣いたのね。ザフィーロが無茶をしたのよね。少し離れたいなら言って?」
リルベルの様子を伺いながら聞いてみた。
「いえ、大丈夫です。あの、恥ずかしいのですが聞いてもいいですか?」
「ええ。何かしら。」
「閨事の最中に、その、気持ちが良すぎて泣いてしまってもおかしくないですか?」
「あら。まぁ、そうね。ないこともないわね。過ぎる快感を与えられてしまえば。」
息子の嫁にこんなこと言っていいのかしら。義姉と思ってるから聞けるのかもね。
「それから、他にも、焦らされたり、どうしてほしいか聞かれたりすると恥ずかしくて泣いてしまうのですが、ザフィーロ様はその、泣き顔がキレイだからもっと泣かせたいって……余計に興奮するみたいで、何度も求められるのですが、これって普通のことでしょうか。」
……ザフィーロ。あなた、リルベルの泣き顔に興奮する性癖があるのね。まぁ、リルベル限定なら問題ないかしらね。目は腫れているけど、リルベルは嬉しそうな顔をしているし。
「ザフィーロはリルベルが好きすぎて、ようやく結婚できたから歯止めがかからなくなったのね。
今後は仕事もあるから夜だけになるわ。落ち着くまでは何度も求められて疲れるでしょうけど、昼寝でもして休んでちょうだい。そのうち、回数や時間も落ち着くと思うわ。
ただ……泣くのを我慢したら攻め続けられることになるから気をつけて。」
なんでこんな助言をしているのかしら。
おそらく、ザフィーロはねちっこくて長い愛撫をする上に絶倫なんでしょうね。
レイリーも昔はそうだったわ。今は、1回が長いけど。
「あ、それと、今の話はよほど親しい友人でない限り誰にも言わないようにね。
政略結婚の場合、閨事がとても淡泊な夫婦もいるの。嫉妬されてしまうわ。」
「嫉妬、ですか?」
リルベルはピンときていないようだった。
「閨事の気持ちよさを知らないご夫人は割といるの。リルベルの話はザフィーロがとても閨事に長けていると言っているようなものよ。だから、リルベルのように自分も気持ちよくしてほしいと思ってザフィーロに迫る女性が出てくるかもしれないわ。」
「それは困ります!」
「そうでしょう?ザフィーロに浮気をする気がないとわかっていても迫ってこられるのは不愉快よね。だから、夫婦の秘め事のことはできるだけ内緒にね。相談があれば、私が聞くから。」
「わかりました。ありがとうございます。」
リルベルは素直で可愛い。
次期公爵であるザフィーロには愛人の誘いも多いことだろう。
その上、閨事が上手くて絶倫だと聞けば、一夜だけでも抱いてほしいと迫る女も出てくる。
おそらくザフィーロは、リルベル以外に興味はないと振る舞うとは思うけど、余計な種を撒かないようにリルベルにも注意してもらわないとね。
ザフィーロとリルベルは半年間だけ2人だけの生活を楽しみ、その後、リルベルはすぐに妊娠した。
男の子が産まれ、更に翌年に女の子が産まれた。
子供は2人でいいとザフィーロはリルベルを独占するようになった。
10歳になったラピスは11歳の王子殿下と仲良くなり、結局国王陛下の望み通り婚約することになった。
それを見届けて国王陛下は退位した。
彼はザフィーロの妹であるラピスが王家に嫁ぐことで、ザフィーロが王家を簒奪しようとしたり、ラルゴの息子と主張することで王家を貶めたりすることを防ぎたかったのだ。
だが、ザフィーロはラピスを可愛がっているため、その心配は元々ない。
いつも笑顔で愛らしく、誰に似たのか少々能天気なラピスは王家に嫁いでも案外上手くやるだろう。
長生きした母が亡くなり、その前に母の専属侍女も亡くなった。
数年後、前国王陛下とエスメラルダの専属侍女も亡くなった。
ラピスが王太子となった殿下に嫁いだ数年後、エスメラルダより10歳年上のレイリーが亡くなった。
私とザフィーロ以外、出生の秘密を知っている者が全員、墓に入った。
13歳で妊娠してから37年が経っていた。
あと10年もすれば、私も墓に入るだろう。
秘密がバレないかとビクビクしたときもあったが、ザフィーロとラピス、そしてレイリーのお陰で幸せな人生だったと思えた。
エスメラルダが出生の秘密を口にしたのはザフィーロにだけ。ザフィーロ本人は気づいていたので、誰にも言っていないとも言える。
このまま、私もザフィーロの出生の秘密は墓場まで持って行くわ……
<終わり>
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