20 / 20
20.
しおりを挟む結婚式後、10日ぶりに見たザフィーロはとても幸せそうで満足した顔をしていた。
対してリルベルは明らかに泣いたであろう顔をしていた。
ザフィーロがレイリーに連れて行かれた隙にエスメラルダはリルベルに聞いた。
「目が腫れているわ。泣いたのね。ザフィーロが無茶をしたのよね。少し離れたいなら言って?」
リルベルの様子を伺いながら聞いてみた。
「いえ、大丈夫です。あの、恥ずかしいのですが聞いてもいいですか?」
「ええ。何かしら。」
「閨事の最中に、その、気持ちが良すぎて泣いてしまってもおかしくないですか?」
「あら。まぁ、そうね。ないこともないわね。過ぎる快感を与えられてしまえば。」
息子の嫁にこんなこと言っていいのかしら。義姉と思ってるから聞けるのかもね。
「それから、他にも、焦らされたり、どうしてほしいか聞かれたりすると恥ずかしくて泣いてしまうのですが、ザフィーロ様はその、泣き顔がキレイだからもっと泣かせたいって……余計に興奮するみたいで、何度も求められるのですが、これって普通のことでしょうか。」
……ザフィーロ。あなた、リルベルの泣き顔に興奮する性癖があるのね。まぁ、リルベル限定なら問題ないかしらね。目は腫れているけど、リルベルは嬉しそうな顔をしているし。
「ザフィーロはリルベルが好きすぎて、ようやく結婚できたから歯止めがかからなくなったのね。
今後は仕事もあるから夜だけになるわ。落ち着くまでは何度も求められて疲れるでしょうけど、昼寝でもして休んでちょうだい。そのうち、回数や時間も落ち着くと思うわ。
ただ……泣くのを我慢したら攻め続けられることになるから気をつけて。」
なんでこんな助言をしているのかしら。
おそらく、ザフィーロはねちっこくて長い愛撫をする上に絶倫なんでしょうね。
レイリーも昔はそうだったわ。今は、1回が長いけど。
「あ、それと、今の話はよほど親しい友人でない限り誰にも言わないようにね。
政略結婚の場合、閨事がとても淡泊な夫婦もいるの。嫉妬されてしまうわ。」
「嫉妬、ですか?」
リルベルはピンときていないようだった。
「閨事の気持ちよさを知らないご夫人は割といるの。リルベルの話はザフィーロがとても閨事に長けていると言っているようなものよ。だから、リルベルのように自分も気持ちよくしてほしいと思ってザフィーロに迫る女性が出てくるかもしれないわ。」
「それは困ります!」
「そうでしょう?ザフィーロに浮気をする気がないとわかっていても迫ってこられるのは不愉快よね。だから、夫婦の秘め事のことはできるだけ内緒にね。相談があれば、私が聞くから。」
「わかりました。ありがとうございます。」
リルベルは素直で可愛い。
次期公爵であるザフィーロには愛人の誘いも多いことだろう。
その上、閨事が上手くて絶倫だと聞けば、一夜だけでも抱いてほしいと迫る女も出てくる。
おそらくザフィーロは、リルベル以外に興味はないと振る舞うとは思うけど、余計な種を撒かないようにリルベルにも注意してもらわないとね。
ザフィーロとリルベルは半年間だけ2人だけの生活を楽しみ、その後、リルベルはすぐに妊娠した。
男の子が産まれ、更に翌年に女の子が産まれた。
子供は2人でいいとザフィーロはリルベルを独占するようになった。
10歳になったラピスは11歳の王子殿下と仲良くなり、結局国王陛下の望み通り婚約することになった。
それを見届けて国王陛下は退位した。
彼はザフィーロの妹であるラピスが王家に嫁ぐことで、ザフィーロが王家を簒奪しようとしたり、ラルゴの息子と主張することで王家を貶めたりすることを防ぎたかったのだ。
だが、ザフィーロはラピスを可愛がっているため、その心配は元々ない。
いつも笑顔で愛らしく、誰に似たのか少々能天気なラピスは王家に嫁いでも案外上手くやるだろう。
長生きした母が亡くなり、その前に母の専属侍女も亡くなった。
数年後、前国王陛下とエスメラルダの専属侍女も亡くなった。
ラピスが王太子となった殿下に嫁いだ数年後、エスメラルダより10歳年上のレイリーが亡くなった。
私とザフィーロ以外、出生の秘密を知っている者が全員、墓に入った。
13歳で妊娠してから37年が経っていた。
あと10年もすれば、私も墓に入るだろう。
秘密がバレないかとビクビクしたときもあったが、ザフィーロとラピス、そしてレイリーのお陰で幸せな人生だったと思えた。
エスメラルダが出生の秘密を口にしたのはザフィーロにだけ。ザフィーロ本人は気づいていたので、誰にも言っていないとも言える。
このまま、私もザフィーロの出生の秘密は墓場まで持って行くわ……
<終わり>
2,158
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
【完結】その令嬢は、鬼神と呼ばれて微笑んだ
やまぐちこはる
恋愛
マリエンザ・ムリエルガ辺境伯令嬢は王命により結ばれた婚約者ツィータードに恋い焦がれるあまり、言いたいこともろくに言えず、おどおどと顔色を伺ってしまうほど。ある時、愛してやまない婚約者が別の令嬢といる姿を見、ふたりに親密な噂があると耳にしたことで深く傷ついて領地へと逃げ戻る。しかし家族と、幼少から彼女を見守る使用人たちに迎えられ、心が落ち着いてくると本来の自分らしさを取り戻していった。それは自信に溢れ、辺境伯家ならではの強さを持つ、令嬢としては規格外の姿。
素顔のマリエンザを見たツィータードとは関係が変わっていくが、ツィータードに想いを寄せ、侯爵夫人を夢みる男爵令嬢が稚拙な策を企てる。
※2022/3/20マリエンザの父の名を混同しており、訂正致しました。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
本編は37話で完結、毎日8時更新です。
お楽しみいただけたらうれしいです。
よろしくお願いいたします。
お飾りな妻は何を思う
湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。
彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。
次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。
そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
だってわたくし、悪女ですもの
さくたろう
恋愛
妹に毒を盛ったとして王子との婚約を破棄された令嬢メイベルは、あっさりとその罪を認め、罰として城を追放、おまけにこれ以上罪を犯さないように叔父の使用人である平民ウィリアムと結婚させられてしまった。
しかしメイベルは少しも落ち込んでいなかった。敵対視してくる妹も、婚約破棄後の傷心に言い寄ってくる男も華麗に躱しながら、のびやかに幸せを掴み取っていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
ガネット・フォルンは愛されたい
アズやっこ
恋愛
私はガネット・フォルンと申します。
子供も産めない役立たずの私は愛しておりました元旦那様の嫁を他の方へお譲りし、友との約束の為、辺境へ侍女としてやって参りました。
元旦那様と離縁し、傷物になった私が一人で生きていく為には侍女になるしかありませんでした。
それでも時々思うのです。私も愛されたかったと。私だけを愛してくれる男性が現れる事を夢に見るのです。
私も誰かに一途に愛されたかった。
❈ 旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。の作品のガネットの話です。
❈ ガネットにも幸せを…と、作者の自己満足作品です。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる