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しおりを挟む僕が初恋だったと認識し、同時に失恋したのだと気づいたのは6歳年上の従姉の結婚式の時だった。
その時の僕は12歳で、18歳で結婚したウエディングドレス姿の幸せそうな従姉の笑顔で気づいた。
従姉のチェルシーは、とても綺麗で優しくて朗らかな女性だった。
6歳下の僕を弟のように可愛がってくれていた。
だから、子供の頃からチェルシーに会えるのをいつも楽しみにしていた。
チェルシーから結婚の話を聞いても、会える機会が少なくなるのは残念だけど、おめでとうって嬉しい気持ちになっていたんだ。
だけど、結婚式で夫になる公爵令息ウォルトと並んで幸せそうな笑顔を見たときに、自分が一緒に並びたかったと思った。それで、幼い初恋にようやく気づき失恋した。まあ、ありがちな初恋だった。
一年後、チェルシーは女の子を出産した。名前はシャルロッテ。とても可愛い子だった。
それから二年後、二人目を妊娠中だったチェルシーは馬車の事故で亡くなった。
チェルシーを心から愛していたウォルトの嘆きは凄まじかったそうだ。
残されたシャルロッテを心の支えに頑張っていこう。そう立ち直った時だった。
王女ジャクリーンとの再婚が王家によって命令されたのは。
ジャクリーンはウォルトが結婚している時からアプローチしていたらしい。
チェルシーの死によって、他国との縁談を妹に変わってもらい、ウォルトとの結婚を国王にお願いしたそうだ。
ウォルトはとても再婚する気になどなっていないのに…
そうしてチェルシーの死からわずか一年でジャクリーンとの結婚式が強行された。
後でウォルトから聞いた話だが、初夜でジャクリーン相手に勃たなかったウォルトは興奮剤を飲まされて無理矢理勃たされてジャクリーンを抱かされたそうだ。
その後は、抱かないとシャルロッテを閉じ込めると脅されて…
やがて妊娠したジャクリーンは、シャルロッテが目障りに思ったらしい。
それまでも顔を合わさなくて済むように別々に過ごしていたが、冷遇するように指示されたそうだ。
このままではシャルロッテがどうなるかわからない。
焦ったウォルトはチェルシーの実家の侯爵家を頼った。
チェルシーの兄は、王家に睨まれたくないとシャルロッテの受け入れを渋った。
そこで、チェルシーの父親が妹の嫁ぎ先はどうかと言った。
妹の嫁ぎ先は伯爵家、僕ジェットの家だった。
伯爵家は、日照りによってここ数年苦しい状況に陥っていた。
僕の婚約も白紙になったくらいだ。
援助があれば、シャルロッテを受け入れてくれるのではないか?
それを聞いて、ウォルトはシャルロッテを預かってくれている間の援助を約束した。
そんな経緯を全く知らずに学園の寮で過ごしていた僕の元に両親から手紙が届いた。
『婚約者が決まったからね。もうすぐ4歳の子だ。王都で結婚相手を探さなくていいよ。』
………は?
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