2 / 16
2.
しおりを挟む4歳?14歳じゃなくて?僕は17だよ?
13歳も年下?
爵位を継ぐためには、学園を卒業する必要がある。
なので、跡継ぎの僕はあと1年と少しは学園に通う。
旅費がもったいないので、長期休暇以外領地に帰ることはしていない。
寮費と食費は、領地の状況を申請したためにタダだ。
だけど、細々とした文具や参考書を買うために、短期休暇は働いている。
このよくわからない手紙のことを詳しく聞きたかったが、帰る旅費を惜しんだ。
手紙で詳細を聞いても、はぐらかされてる。相手はどこの誰だ?
次の長期休暇は…まだまだ先だ。うん。とりあえず諦めよう。
婚約者がいるから恋人をつくるなよって言いたかったことはわかった。
僕は、外見ではモテる。だけど、貧乏だとわかると令嬢たちは誘わなくなった。
なんせ、デートしても払う金がないのだから…
だから恋人?よほど金持ちが貢いでくれるなら喜んで付き合うけど、学園でいるわけないよね。
僕がすべきことは、学園を卒業すること。
日照りに強い作物が新たに開発されれば、試作品を貰ったりもしている。
水脈を見つけるためにどこをどれだけ掘る必要があるか、独学でも調べている。
ため池を作るか、川の水を引き込むか。
いずれにせよ、何をするにも金がいる。
あぁ、金持ちがどこかにいないかな…恵んでくれ。
…そんなことを真剣に悩んでいたのに、最終学年の長期休暇で帰った領地は様変わりしていた。
「父上、母上、領地は一体どうなっているんだ?」
「あら。お帰りなさい、ジェット。
ふふ。今年は無事に収穫できそうでしょ?」
「いつの間に工事を?お金はどうしたのです?」
「ああ、実はな、お前の婚約者の御父上があれこれ手配をして下さって。
援助の一部としてありがたく受け取ったんだ。
お陰で領民たちもつらい時期を乗り越えることができた。
本当にありがたい。」
「え?婚約者って誰なんだ?まだ聞いてないけど。
そんなに援助してくれるってうちが得してるだけじゃないの?」
その時、扉がノックされて見知らぬ侍女と子供が入ってきた。
「ジェット、お前の婚約者のシャルロッテ嬢だ。」
へ?そういや4歳とか言ってたな。来てたのか。ん。シャルロッテ?
まじまじと顔を見て誰だか理解した。
「やあ。シャル。久しぶりだね。覚えてないかな?ジェットだ。」
首を傾げるシャルロッテに視線を合わせて、頭を撫でた。
「ごめん、覚えてるわけないよな。まだ2歳くらいだったから。座ろう。おいで。」
「はい。」
可愛い声だな。4歳だもんな。ん?婚約者?
「父上、シャルが婚約者ということは援助は公爵家からということですか?」
「そうだ。ひとまず彼女が15歳で学園に入るまではここにいる。」
「え?シャルはここに住んでるの?」
びっくりしてシャルロッテを見ると、子供らしい笑顔が返ってきた。
「シャルロッテと侍女が2人、公爵家から派遣されている。」
あー。なるほど。婚約の経緯が見えてきた。
201
あなたにおすすめの小説
【完結】夫が私に魅了魔法をかけていたらしい
綺咲 潔
恋愛
公爵令嬢のエリーゼと公爵のラディリアスは2年前に結婚して以降、まるで絵に描いたように幸せな結婚生活を送っている。
そのはずなのだが……最近、何だかラディリアスの様子がおかしい。
気になったエリーゼがその原因を探ってみると、そこには女の影が――?
そんな折、エリーゼはラディリアスに呼び出され、思いもよらぬ告白をされる。
「君が僕を好いてくれているのは、魅了魔法の効果だ。つまり……本当の君は僕のことを好きじゃない」
私が夫を愛するこの気持ちは偽り?
それとも……。
*全17話で完結予定。
エメラインの結婚紋
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢エメラインと侯爵ブッチャーの婚儀にて結婚紋が光った。この国では結婚をすると重婚などを防ぐために結婚紋が刻まれるのだ。それが婚儀で光るということは重婚の証だと人々は騒ぐ。ブッチャーに夫は誰だと問われたエメラインは「夫は三十分後に来る」と言う。さら問い詰められて結婚の経緯を語るエメラインだったが、手を上げられそうになる。その時、駆けつけたのは一団を率いたこの国の第一王子ライオネスだった――
あなたのためなら
天海月
恋愛
エルランド国の王であるセルヴィスは、禁忌魔術を使って偽の番を騙った女レクシアと婚約したが、嘘は露見し婚約破棄後に彼女は処刑となった。
その後、セルヴィスの真の番だという侯爵令嬢アメリアが現れ、二人は婚姻を結んだ。
アメリアは心からセルヴィスを愛し、彼からの愛を求めた。
しかし、今のセルヴィスは彼女に愛を返すことが出来なくなっていた。
理由も分からないアメリアは、セルヴィスが愛してくれないのは自分の行いが悪いからに違いないと自らを責めはじめ、次第に歯車が狂っていく。
全ては偽の番に過度のショックを受けたセルヴィスが、衝動的に行ってしまった或ることが原因だった・・・。
[完結]姉の専属騎士様が好きなのです。
くみたろう
恋愛
マリアベルの双子の姉、ナターシャには常にそばに居る専属騎士がいる。
その人は実家も侯爵家で見目麗しく優しく、そして強い。
そんな姉の専属騎士に恋するマリアベルだが、あと1年で婚約者と結婚する。
真逆の姉妹と専属騎士のお話。
ふわふわ設定です。
これおかしいよー、とかあっても優しく見守ってくださると嬉しいです。
9話完結。
悪役令嬢とバレて、仕方ないから本性をむき出す
岡暁舟
恋愛
第一王子に嫁ぐことが決まってから、一年間必死に修行したのだが、どうやら王子は全てを見破っていたようだ。婚約はしないと言われてしまった公爵令嬢ビッキーは、本性をむき出しにし始めた……。
冷たかった夫が別人のように豹変した
京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。
ざまぁ。ゆるゆる設定
王太子殿下が、「国中の未婚女性を集めて舞踏会を開きたい」などと寝言をおっしゃるものですから。
石河 翠
恋愛
主人公のアレクは、ある日乳兄弟である王太子に頼みごとをされる。なんと、国中の未婚女性を集めて舞踏会を開きたいというのだ。
婚約者がいない王太子による、身分の垣根を越えた婚活パーティー。あまりにも無駄の多い夜会であること、何より「可愛い女の子のドレス姿が見たい」という下心満載の王太子にドン引きしつつも、王太子の本音に気がつき密かに心を痛める。
とはいえ王太子の望みを叶えるべく奔走することに。しかし舞踏会当日、令嬢の相手をしていたアレクは、怒れる王太子に突然からまれて……。
転生後の人生を気ままに楽しむヒロインと、ヒロインにちっとも好意が伝わらないポンコツ王子の恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、チョコラテさまの作品(写真のID:4099122)をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる