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しおりを挟む学園の長期休暇が終わり、卒業に向けて勉強していた。
僕の伯爵家が水源を確保して領地が前のように潤い始めたのを察知した下位貴族の令嬢から何人もアプローチされて、それを躱しながら無事に卒業できた。
領地へ帰る前の日、ウォルトと会う約束をしていた。
向こうも話をするつもりでいたのか、寮に侍従が手紙を持ってきたのだ。
そして、その場で読んで返事をした。
約束の場所に訪れると、ウォルトは部屋の中に一人で待っていた。
「ジェット、呼び出してすまないね。卒業おめでとう。」
「ありがとうございます。ウォルト様、どこか体調が?」
「いいや、どこも悪くないよ。まぁ、疲れてはいるけど。
それより、シャルロッテを勝手に婚約者にして君には申し訳ないね。」
「いえ、お陰様で領地の立て直しができました。ありがとうございます。」
「…シャルは元気そうだね。侍女たちが定期的に報告を送ってくれている。
5歳になったから、家庭教師もつけたよ。
もう一年以上会っていない。私の顔を覚えてるかな…
シャルの弟が産まれたよ。私の子なんだけどね。気持ちが追いつかない。」
「…おめでとうございます。公爵家の跡継ぎになる子ですね?」
「そうだ。王女だったジャクリーンの子だからな。シャルに継がせるのは難しい。
彼女は私がシャルを屋敷から出したことで、今は満足している。
あの子が15歳になるまで頼む。それまでにシャルを受け入れてくれる嫁ぎ先を探す。
早く婚約を解消してしまうと、ジャクリーンが誰かを宛がう恐れもある。
ジャクリーンが国王にお願いしてシャルの婚約者を決めさせたりしたら断われない。
他国の王族の側妃や後妻とか、ジジイばかりを探しそうだ。」
フンっと鼻で笑うウォルトはジャクリーンに嫌悪感を持っているようだった。
「なんでジャクリーンを嫌っているのに抱いているのかって思ってるんだろ?
初夜に勃たなかった私に彼女は興奮剤を飲ませたよ。媚薬みたいなもんだな。
媚薬より理性が残るみたいで辛かったよ。
その後はシャルを盾に抱くように強要されてね。
薬がないと抱けなかったんだ。
息子が産まれたから、今は避妊薬を飲んでる。彼女には秘密だ。
勝手に跨ってくるから、勃つのも出すのも単なる作業、もう生理現象だよ。」
「好意を持てる部分は少しも?」
「全くない。」
言い切ったウォルトに思わず顔が引きつってしまった。
「それと、費用はこちら持ちで君専用の娼婦とその家を用意したから。
10年間結婚できないだろ?
だけど、領地の娼館に頻繁に通うのも次期伯爵としては外聞が悪いだろうし。
侍女やメイドに手を出すタイプじゃないだろうけど、妊娠されるのは困る。
君が自分で好意を持った愛人や恋人を外に作っても、妊娠を狙うかもしれない。
そうなるとシャルが困った立場になるんだ。
専用の娼婦も1年か数年で替えるからね。のめり込まないように。
ワケあって金が必要な女性を選んでいる。
専属を望んでいるから別の男を引き込むこともない。契約違反があれば知らせてくれ。」
呆気に取られてしまった。
「名目上ではシャルの婚約者ですが、いいのですか?」
「私みたいに心に思う相手がいるならともかく、いないなら発散も必要だろ?
婚約者は幼女だから、万が一バレても言い訳が立つよ。」
「はあ。ありがとうございます?」
公認で女性と関係を持てるのは不思議な気持ちだけれど、女性側もお金が目的だから断る必要もないかと思った。
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