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しおりを挟むジャクリーンと離婚したことで、シャルロッテは公爵家に戻れるようになった。
約10年も伯爵領で過ごしてきたシャルロッテにとっては、ここが実家みたいなもので離れがたかった。
しかし、父と弟が待っている。
お世話になった伯爵家のみんなに別れを告げて、公爵家から派遣されていた侍女や護衛、そしてジェットと共に王都へ向かった。
ジェットは婚約の白紙の手続きをついでに行うつもりで一緒に行った。
令嬢側が15歳以下で婚約を解消する場合は、婚約そのものがなかった白紙にすることができる。
これは、先に学園に入った令息側が婚約者ではない令嬢と不貞を犯して婚約を解消することになった場合、令嬢側が何も悪くないのに婚約解消という傷がつくことで良縁が減ったことがきっかけになり、15歳以下の場合は白紙することができるようになった。
ジェットとシャルロッテの婚約解消の場合でも白紙は認められる。
予定よりも1年と少し早く、婚約解消となる。
シャルロッテはもうすぐ14歳、ジェットは27歳になっていた。
王都の公爵邸に馬車が到着した。
馬車から降りたジェットとシャルロッテは……苦笑するしかなかった。
理由は、ウォルトの号泣である。
「お父様、ただいま戻りました!」
「シャル~。。。お帰り。」
父親の腕を取って、シャルロッテは屋敷に入る。
使用人たちが集まっているのを見て、ウォルトはみんなに告げた。
「私の娘、シャルロッテだ。
10年間、別のところにいたが今日からここで暮らす。
シャルロッテがここにいたことを知っている者もいるだろう。
そうでない者もいるが、間違いなく私の娘だ。しっかり仕えるように。」
「みなさん、よろしくお願いしますね。」
「かしこまりました。」
応接室に入り、お茶を飲みながら話すことになった。
シャルロッテの弟もやってきた。
「シャル、お前の弟のルパートだ。もうすぐ10歳になる。」
「初めまして、ルパート。シャルロッテよ。よろしくね。」
「はい。姉上とお呼びしてもいいですか?」
「もちろんよ。仲良くしましょうね。」
ホッと笑みをこぼすルパートは、母のジャクリーンとはあまり接していなかったようだ。
公爵令息としての勉強は家庭教師がついて教えているし、ジャクリーンから特に悪意も植えつけられていないことは幸いだった。
ルパートが退席後、ジェットはウォルトに切り出した。
「ウォルト様、シャルとの婚約の白紙もこの機会に手続きしましょう。」
ウォルトはなぜか目を逸らして苦笑いしている。
「ジェット?何を言ってるの?婚約は解消しないわ。」
………は?
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