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しおりを挟むようやく公爵邸に戻り、公爵令嬢としてこれから社交していくシャルロッテには婚約者候補が殺到するに違いない。
一刻も早く婚約を白紙にするべきなのに、シャルロッテは何と言った?
「解消しない?どうして?」
「だって、ジェットが婚約者だもの。どうして解消する必要があるの?」
「シャルの13歳も上だし、伯爵家では公爵令嬢に相応しくない。
ジャクリーン様も伯爵家だから見逃してくれたんだろう。
同学年か、少し上くらいの令息をウォルト様が探してくれているだろう?
ジャクリーン様の影響も、もう関係ないから候補はたくさんいる。」
「13歳上でも伯爵家でもいいじゃない。私、伯爵領が大好きだわ。」
「うちは王都で暮らさないから、せいぜい社交シーズンに少し出てくるだけだ。
王都で暮らすほどの社交もしていないんだ。」
「別に王都に興味ないわ?社交に力を入れるなら協力するし。」
「学園に通いだしたらわかるよ。それまでにお茶会の誘いとかもあるだろう。
公爵令嬢として過ごし始めると、伯爵領での過ごし方が退屈に思うはずだ。」
「ジェットのお母様は侯爵令嬢だったじゃないの。
とても穏やかに過ごしていらっしゃるわ。退屈そうには見えなかったし。」
「母は…令嬢同士の含みのある会話が好きじゃなかったらしい。
とても仲の良かった友人が裏では自分を馬鹿にしてたって知ったこともあって…」
「ジェットは私と結婚したくない?」
そんな泣きそうな表情で聞かないでくれ。
「考えたことがなかった。15歳までの関係だと思ってたから。」
「じゃあ、考えて。」
「いや、でも…」
困って、何も言わないウォルト様を見るとニコニコとシャルロッテを見ていた。
「ウォルト様?」
「ああ、すまない。シャルはチェルシーに似てるなぁと思って。
容姿だけじゃなくて自分の気持ちに素直なところがね。」
こらこら、今は内容を重視してくれ。
「ウォルト様はシャルに近くにいてほしいですよね?」
「それはそうだけど、結婚したらどこに嫁いでもあまり会えないよ?
ジェットの母上は頻繁に侯爵と会ってた?」
「年に一度くらい…」
「だよね?チェルシーもそんな感じだったよ。夜会じゃせいぜい挨拶程度だからね。
だから、シャルが幸せならどこでもいいよ。」
「白紙にする気ではなかったのですか?」
「いや、そのつもりだったよ。
でもシャルからの手紙で婚約者はジェットのままがいいって何度も書いてあってね。
それもいいかなぁと思ったんだ。
婚約を打診した貴族はみんないい返事をくれなかった。
王家を気遣うのは仕方ないけど、離婚した今、そこから打診されてもモヤッとするというか。」
なるほど。確かに微妙な気分だよな。
「シャル、お互いに一年考えよう。予定通り、白紙に戻せる15歳になるまで。
シャルは王都で新たな生活を始めて、同じような高位貴族令嬢と過ごしてごらん。
それでも考えが変わらなければ、婚約を続行する。
それから更に一年、学園に通って考えてくれ。
同年代の令息と接することで気持ちに変化がないかどうか。
結婚するとしても二年後になるんだ。シャルの気持ちを優先するから。」
「ジェットは待っててくれる?」
「ああ。」
どうせ、今から自分の結婚相手を探しても結婚する時期に大差ないしな。
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