従姉の子を義母から守るために婚約しました。

しゃーりん

文字の大きさ
12 / 16

12.

しおりを挟む
 
 
その夜は公爵邸に泊めてもらい、ウォルト様と話をした。

「ウォルト様、気持ちが変わらなければシャルは僕と結婚するつもりでいますが、いいのですか?」

「シャルに今更、利益を求める政略結婚を強要する気もないよ。私は父親失格だからね。」

「でもシャルは、おそらく恩みたいなもので婚約の継続を望んでくれてると思います。
 なので、シャルがこれから出会う令息に好意を抱くこともあるはずです。
 その時は、僕を気にせずにその気持ちを育ててもいいと言ってやってください。」

ウォルトは何故か首を傾げた後、思い当たったように言った。

「恩というのもあるかもしれないけど、シャルは君が好きなんだと思うよ?
 手紙が書けるようになった小さい頃から、内容は君としたことばかりだった。」

「それは兄のような気持ちでしょう。」

「う~ん。そうかもしれないけど、違うと思うな。
 でも、君と離れることと、同年代の知人が増えることで、シャルもはっきりわかるだろう。
 すまないが、あと一年は時間を与えてやってくれ。」

「わかりました。」

「それと、ちょうど期限が来るから娼婦の契約は終わりにするよ。
 娘が婚約の継続を望んでいるのに父親がその後も娼婦を斡旋するわけにはいかないからね。」

「それもそうですね。長い間、ありがとうございました。」

「でも…君はシャルを抱けるかい?」

「…今は考えられないですね。妹みたいに思っていたので。
 そういう意味で、僕の方でもシャルを一人の女性と認識する時間が必要です。」

「だよな。でもチェルシーが好きだったなら好みのタイプだろ?」

「…は?」

「どうせ、チェルシーが初恋だろ?
 子供の頃から優しくて綺麗なお姉さんがそばにいて惚れないわけがない。」

「っはは。その通りです。気づいたのは結婚式でしたけどね。」

「ん?ということは、やっぱりシャルも君が初恋なんじゃないか?
 優しくてかっこいいお兄さんがそばにいて惚れないわけがない。」

ウォルトとジェットは顔を見合わせたまま無言になった。
口にして、本当にその可能性が高いと思ってしまったのだ。

「…シャルは、君が婚約者だと知った直後から婚約者はこのままでいい。
 探さなくていいと手紙に書いてきたよ。嬉しかったんじゃないかな。」 

「いずれにせよ、シャルの気持ちを優先します。
 たとえ一年の間に思いが変わっても、シャルの幸せを願っています。」

 
13歳も年上の自分がみっともなく、すがりつくような真似はしないと誓える。


 

 

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様に「君を愛する気はない」と言い放たれたので、「逃げるのですね?」と言い返したら甘い溺愛が始まりました。

海咲雪
恋愛
結婚式当日、私レシール・リディーアとその夫となるセルト・クルーシアは初めて顔を合わせた。 「君を愛する気はない」 そう旦那様に言い放たれても涙もこぼれなければ、悲しくもなかった。 だからハッキリと私は述べた。たった一文を。 「逃げるのですね?」 誰がどう見ても不敬だが、今は夫と二人きり。 「レシールと向き合って私に何の得がある?」 「可愛い妻がなびくかもしれませんわよ?」 「レシール・リディーア、覚悟していろ」 それは甘い溺愛生活の始まりの言葉。 [登場人物] レシール・リディーア・・・リディーア公爵家長女。  × セルト・クルーシア・・・クルーシア公爵家長男。

あなたが残した世界で

天海月
恋愛
「ロザリア様、あなたは俺が生涯をかけてお守りすると誓いましょう」王女であるロザリアに、そう約束した初恋の騎士アーロンは、ある事件の後、彼女との誓いを破り突然その姿を消してしまう。 八年後、生贄に選ばれてしまったロザリアは、最期に彼に一目会いたいとアーロンを探し、彼と再会を果たすが・・・。

婚約破棄イベントが壊れた!

秋月一花
恋愛
 学園の卒業パーティー。たった一人で姿を現した私、カリスタ。会場内はざわつき、私へと一斉に視線が集まる。  ――卒業パーティーで、私は婚約破棄を宣言される。長かった。とっても長かった。ヒロイン、頑張って王子様と一緒に国を持ち上げてね!  ……って思ったら、これ私の知っている婚約破棄イベントじゃない! 「カリスタ、どうして先に行ってしまったんだい?」  おかしい、おかしい。絶対におかしい!  国外追放されて平民として生きるつもりだったのに! このままだと私が王妃になってしまう! どうしてそうなった、ヒロイン王太子狙いだったじゃん! 2021/07/04 カクヨム様にも投稿しました。

もてあそんでくれたお礼に、貴方に最高の餞別を。婚約者さまと、どうかお幸せに。まぁ、幸せになれるものなら......ね?

当麻月菜
恋愛
次期当主になるべく、領地にて父親から仕事を学んでいた伯爵令息フレデリックは、ちょっとした出来心で領民の娘イルアに手を出した。 ただそれは、結婚するまでの繋ぎという、身体目的の軽い気持ちで。 対して領民の娘イルアは、本気だった。 もちろんイルアは、フレデリックとの間に身分差という越えられない壁があるのはわかっていた。そして、その時が来たら綺麗に幕を下ろそうと決めていた。 けれど、二人の関係の幕引きはあまりに酷いものだった。 誠意の欠片もないフレデリックの態度に、立ち直れないほど心に傷を受けたイルアは、彼に復讐することを誓った。 弄ばれた女が、捨てた男にとって最後で最高の女性でいられるための、本気の復讐劇。

冷たかった夫が別人のように豹変した

京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。 ざまぁ。ゆるゆる設定

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた

菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに対して、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…? ※他サイトでも掲載しております。

婚約者から悪役令嬢と呼ばれた公爵令嬢は、初恋相手を手に入れるために完璧な淑女を目指した。

石河 翠
恋愛
アンジェラは、公爵家のご令嬢であり、王太子の婚約者だ。ところがアンジェラと王太子の仲は非常に悪い。王太子には、運命の相手であるという聖女が隣にいるからだ。 その上、自分を敬うことができないのなら婚約破棄をすると言ってきた。ところがアンジェラは王太子の態度を気にした様子がない。むしろ王太子の言葉を喜んで受け入れた。なぜならアンジェラには心に秘めた初恋の相手がいるからだ。 実はアンジェラには未来に行った記憶があって……。 初恋の相手を射止めるために淑女もとい悪役令嬢として奮闘するヒロインと、いつの間にかヒロインの心を射止めてしまっていた巻き込まれヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:22451675)をお借りしています。 こちらは、『婚約者から悪役令嬢と呼ばれた自称天使に、いつの間にか外堀を埋められた。』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/572212123/891918330)のヒロイン視点の物語です。

お飾り王妃の愛と献身

石河 翠
恋愛
エスターは、お飾りの王妃だ。初夜どころか結婚式もない、王国存続の生贄のような結婚は、父親である宰相によって調えられた。国王は身分の低い平民に溺れ、公務を放棄している。 けれどエスターは白い結婚を隠しもせずに、王の代わりに執務を続けている。彼女にとって大切なものは国であり、夫の愛情など必要としていなかったのだ。 ところがある日、暗愚だが無害だった国王の独断により、隣国への侵攻が始まる。それをきっかけに国内では革命が起き……。 国のために恋を捨て、人生を捧げてきたヒロインと、王妃を密かに愛し、彼女を手に入れるために国を変えることを決意した一途なヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:24963620)をお借りしております。

処理中です...