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しおりを挟むその夜は公爵邸に泊めてもらい、ウォルト様と話をした。
「ウォルト様、気持ちが変わらなければシャルは僕と結婚するつもりでいますが、いいのですか?」
「シャルに今更、利益を求める政略結婚を強要する気もないよ。私は父親失格だからね。」
「でもシャルは、おそらく恩みたいなもので婚約の継続を望んでくれてると思います。
なので、シャルがこれから出会う令息に好意を抱くこともあるはずです。
その時は、僕を気にせずにその気持ちを育ててもいいと言ってやってください。」
ウォルトは何故か首を傾げた後、思い当たったように言った。
「恩というのもあるかもしれないけど、シャルは君が好きなんだと思うよ?
手紙が書けるようになった小さい頃から、内容は君としたことばかりだった。」
「それは兄のような気持ちでしょう。」
「う~ん。そうかもしれないけど、違うと思うな。
でも、君と離れることと、同年代の知人が増えることで、シャルもはっきりわかるだろう。
すまないが、あと一年は時間を与えてやってくれ。」
「わかりました。」
「それと、ちょうど期限が来るから娼婦の契約は終わりにするよ。
娘が婚約の継続を望んでいるのに父親がその後も娼婦を斡旋するわけにはいかないからね。」
「それもそうですね。長い間、ありがとうございました。」
「でも…君はシャルを抱けるかい?」
「…今は考えられないですね。妹みたいに思っていたので。
そういう意味で、僕の方でもシャルを一人の女性と認識する時間が必要です。」
「だよな。でもチェルシーが好きだったなら好みのタイプだろ?」
「…は?」
「どうせ、チェルシーが初恋だろ?
子供の頃から優しくて綺麗なお姉さんがそばにいて惚れないわけがない。」
「っはは。その通りです。気づいたのは結婚式でしたけどね。」
「ん?ということは、やっぱりシャルも君が初恋なんじゃないか?
優しくてかっこいいお兄さんがそばにいて惚れないわけがない。」
ウォルトとジェットは顔を見合わせたまま無言になった。
口にして、本当にその可能性が高いと思ってしまったのだ。
「…シャルは、君が婚約者だと知った直後から婚約者はこのままでいい。
探さなくていいと手紙に書いてきたよ。嬉しかったんじゃないかな。」
「いずれにせよ、シャルの気持ちを優先します。
たとえ一年の間に思いが変わっても、シャルの幸せを願っています。」
13歳も年上の自分がみっともなく、すがりつくような真似はしないと誓える。
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