代理で子を産む彼女の願いごと

しゃーりん

文字の大きさ
12 / 43

12.

しおりを挟む
 
 
母から話を聞いた俺と父上は、誰から聞き出すべきであるかを考えた。
フィリーナ、セラフィーネ、ショコルテ公爵。知っているのはこの三人か。
いや、セラフィーネの兄フランツも知ってるか?
おそらく、詮索してはいけなかった内容。 

誰かから聞き出す前に父上が知っている情報を教えてくれた。

「カシュー伯爵は8年か9年ほど前だと思うが、前伯爵が夫人と共に事故で亡くなった。
 現伯爵は弟だったはずだ。姪と言ったということはフィリーナは前伯爵の娘か?
 アリシアという子もそうか?」

「そういうことになるかもしれませんね。母上は前伯爵の子供に覚えはないですか?」

「今、聞いて思い出したのだけど、前伯爵夫人は結婚後、実家から絶縁されたのではなかったかしら?
 あ…亡くなったショコルテ公爵夫人の妹さん?」

「え?じゃあ、フィリーナとセラフィーネは従姉妹か?」

二人が似ている理由はそういうことか。

「現伯爵が養育するはずの兄の子が逃げた。それをショコルテ公爵が匿ったということか?」

「逃げる理由はあったが証拠がなかったか?伯爵家に戻されるのを嫌がった?
 フィーが10歳か11歳頃か。11歳にはショコルテ公爵家にいたと思われるから時期は合う。」

「どうして11歳にはいたとわかるの?」

母に、前に父と話したセラフィーネとの婚約から結婚の話をした。
フィリーナが16歳になるのを待つからセラフィーネが18歳で結婚することに決まったと。

「13歳のセラさんの側に11歳のフィーちゃんがいたから結婚が5年後になったということね。」

「今、フィーはどういう状況にあるんだ?失踪人扱いか?」

「11歳で失踪したとしたら5年後の16歳には死亡届が出せる。
 フィリーナのカシュー伯爵家相続権は現伯爵に移ってるか。 
 18歳までは相続できないからな。現伯爵はそれまでの養育者になるはずだった。」

「フィーは19歳になったぞ?なのになんで名乗り出なかったんだ?」

「わからん。今の話はほとんどが推測だ。」


その時、扉がノックされてセラフィーネからの伝言が侍女から伝えられた。

「フィリーナは本日はセラフィーネ様の部屋でお休みになります。
 ショコルテ公爵様が明日お見えになります。」


…フィリーナに避けられた。そりゃそうか。聞きたがる男が側にいたら逃げるよな。


 
そして、その夜は普段は静かなアラモンド公爵邸の周りには人影が見えた。


 
 
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冷遇された妻は愛を求める

チカフジ ユキ
恋愛
結婚三年、子供ができないという理由で夫ヘンリーがずっと身体の関係を持っていた女性マリアを連れてきた。 そして、今後は彼女をこの邸宅の女主として仕えよと使用人に命じる。 正妻のアリーシアは離れに追い出され、冷遇される日々。 離婚したくても、金づるであるアリーシアをそう簡単には手放してはくれなかった。 しかし、そんな日々もある日突然終わりが来る。 それは父親の死から始まった。

真実の愛は望みませんが偽りの愛も不要なのです

cyaru
恋愛
ジェイス伯爵家の令嬢ティフェルの婚約者はペルデロ侯爵家の子息カイン。 あの日まで、お互いが足らない所を補い仲睦まじくやってきた。 運命の日は突然やってくる。 シェリーという子爵令嬢が領地から王都にある学園に1年間だけ入学をしたのだ。 病弱だと言う事で本来2年間学園に通わねばならないところを1年に免除されたシェリー。 ティフェルは学年主席だという事もあり学園に馴染むまでのシェリーの面倒を見る事になった。 大人しいシェリーにはなかなか友人が出来ない。必然的に一緒に居る事になれば婚約者のカインとも会う機会が増えていく。そんな時ティフェルは一目でわかってしまった。カインとシェリーが恋をしている事に。 次第にカインに対して自分にはそんな笑顔を向けてくれたことがあっただろうか。そんなに優しい声で名を呼んでくれただろうか。そんな思いを抱えるようになってしまうティフェル。 ある日、ティフェルは見てしまった。カインがシェリーに思いを告白する場面を。 両思いなのだと知った2人は結局諦めを付けられず密かに交際を始める。 ティフェルがその事を知っているとは知らずに。 ※内容に病名等ありますが、患って居られる方を揶揄するものではありません。  同じ病名だけど似たようなもの…と解釈頂けるとありがたいです。 ※概念は捨ててお読みください。  作者の勝手な設定の為、こうではないか、あぁではないかと言う一般的な物とは似て非なると考えて下さい ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。  史実などに基づいたものではない事をご理解ください。 ※作者都合のご都合主義です。外道な作者なので色々注意が必要です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

殿下、今回も遠慮申し上げます

cyaru
恋愛
結婚目前で婚約を解消されてしまった侯爵令嬢ヴィオレッタ。 相手は平民で既に子もいると言われ、その上「側妃となって公務をしてくれ」と微笑まれる。 静かに怒り沈黙をするヴィオレッタ。反対に日を追うごとに窮地に追い込まれる王子レオン。 側近も去り、資金も尽き、事も有ろうか恋人の教育をヴィオレッタに命令をするのだった。 前半は一度目の人生です。 ※作品の都合上、うわぁと思うようなシーンがございます。 ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

愛しい人、あなたは王女様と幸せになってください

無憂
恋愛
クロエの婚約者は銀の髪の美貌の騎士リュシアン。彼はレティシア王女とは幼馴染で、今は護衛騎士だ。二人は愛し合い、クロエは二人を引き裂くお邪魔虫だと噂されている。王女のそばを離れないリュシアンとは、ここ数年、ろくな会話もない。愛されない日々に疲れたクロエは、婚約を破棄することを決意し、リュシアンに通告したのだが――

「離婚しよう」と軽く言われ了承した。わたくしはいいけど、アナタ、どうなると思っていたの?

あとさん♪
恋愛
突然、王都からお戻りになったダンナ様が、午後のお茶を楽しんでいたわたくしの目の前に座って、こう申しましたのよ、『離婚しよう』と。 閣下。こういう理由でわたくしの結婚生活は終わりましたの。 そう、ぶちまけた。 もしかしたら別れた男のあれこれを話すなんて、サイテーな女の所業かもしれない。 でも、もう良妻になる気は無い。どうでもいいとばかりに投げやりになっていた。 そんなヤサぐれモードだったわたくしの話をじっと聞いて下さった侯爵閣下。 わたくし、あなたの後添いになってもいいのでしょうか? ※前・中・後編。番外編は緩やかなR18(4話)。(本編より長い番外編って……orz) ※なんちゃって異世界。 ※「恋愛」と「ざまぁ」の相性が、実は悪いという話をきいて挑戦してみた。ざまぁは後編に。 ※この話は小説家になろうにも掲載しております。

隣国に嫁いだちょいぽちゃ王女は帰りたい

恋愛
パンデルム帝国の皇帝の末娘のシンシアはユリカ王国の王太子に政略結婚で嫁ぐことになった。食べることが大好きなシンシアはちょいぽちゃ王女。 しかし王太子であるアルベートにはライラールという恋人がいた。 アルベートは彼女に夢中。 父である皇帝陛下には2年間で嫌になったら帰ってもいいと言われていたので、2年間耐えることにした。 内容はありがちで設定もゆるゆるです。 ラブラブは後半。 よく悪役として出てくる隣国の王女を主役にしてみました。

逆行厭われ王太子妃は二度目の人生で幸せを目指す

蜜柑マル
恋愛
王太子の仕打ちに耐えられず自ら死を選んだセシリアは、気づくと昔の自分に戻っていた。 今回は王太子妃になどならない。絶対に。 そう決意したのに、なぜか王太子が絡んでくる。前回との違いに戸惑いを隠せないセシリアがいつの間にか王太子の手中に収められてしまう話。…になる予定です。一応短編登録にしていますが、変わるかもしれません。 設定は雑ですので、許せる方だけお読みください。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

処理中です...