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しおりを挟む翌日、ショコルテ公爵がやってきた。
詳しく今の状況を確かめたいのだろう。
「何も説明せずにセラフィーネを置いてもらったままですまなかった。
今日はフィリーナのことを話しておきたい。
…セラフィーネ、お前はここいることはない。部屋にいなさい。また後で話そう。」
ショコルテ公爵の言葉にセラフィーネはフィリーナの様子を伺った。
「セラフィーネ様、私は大丈夫です。心配いりません。」
フィリーナの落ちついた声を聞き、セラフィーネは安心したように部屋を出た。
「さて、不可解な結婚を押しつけておいて何も話さなくて悪かった。すまない。
かわいい孫の姉妹にも会わせてほしいところだが、まず説明だな。何から聞きたい?」
「では…フィリーナの素性からお願いします。」
「フィリーナ、私から全部話すがいいか?」
「はい。お願いします。」
「フィリーナは前カシュー伯爵の長女で、アリシアという名の妹がいる。
両親が亡くなり、フィリーナが相続するまで前伯爵の弟である現カシュー伯爵の養育下となった。
両親を領地で埋葬後、手続きのために王都に来た。フィリーナとアリシアを連れて。
そこでフィリーナは叔父と部下の話を聞いてしまった。
両親を事故に見せかけて殺したこと、フィリーナとアリシアは売られること。
『両親が恋しくなって二人で領地へ向かい失踪した』そう報告するつもりのようだった。
二人を売る相手は別々だった。フィリーナに興味を持った男にフィリーナを。
幼い子を好む男にアリシアを。『明日、金と引き換えに契約する』という会話だった。
フィリーナは寝ているアリシアを背負って夜にこっそり出て逃げた。
まだ街は開いている店もあって人もいた。しかし子供は目立つ。
私はたまたま馬車で通りかかった。灯に照らされた髪色を見てセラフィーネかと思った。
慌てて抱き上げて馬車に乗せてそこから去った。…人さらいだな。
顔を見た時にセラフィーネではないことは気づいたが、そのまま放っておけなかった。
平民ではないと手を見てわかったし、着ている物を見ても貴族だとわかった。
警戒するフィリーナを宥めるのは大変だった。公爵だと言っても信じない。
屋敷に着いても馬車から降りようとしなくて、子持ちの侍女たちに頼んだよ。
ようやく寝ているアリシアを渡してくれて、屋敷に入って私の身分を信じてくれた。
夜遅くになったが、家族に一晩預かると連絡しなければいけないと思い素性を聞いた。
すると叔父の会話を教えてくれた。
騎士たちに伯爵家を見張らせた。朝になって二人がいないことに気づいたようだ。
二人を買いに来る男たちが誰かを知りたかったが、伯爵が中止の連絡をしたのか現れなかった。
しばらく探したようだったが私が攫ったことを突き止められず、失踪届を出した。
伯爵夫妻の死は事故で片づけられた。
二人を売る契約はまだ済んでいなかった。
証拠が何もなかった。
フィリーナの聞いたことを証拠に捜査しても何も出なかった場合、二人は帰される。
こっそり話を聞いていたセラフィーネが、二人を妹にしたいと言った。
部屋に閉じこもっていた娘が屋敷に子供がいると聞いて出てきたんだ。
出来ることなら引き取ってやりたかったが、養育権を移すのは難しい。
フィリーナは平民になって働くから、アリシアを助けてほしいと言った。
ひとまず、伯爵が何か悪事に手を出さないか見張ることにして二人を匿った。
そんな時に兄の国王から、セラフィーネの縁談について相談があった。」
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