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しおりを挟む1週間後、少しの荷物を持ってビリー様を訪れたルーチェは応接室みたいな部屋に案内されて座って待っていた。
すると、先週お会いした方が現れて、ちゃんと名前を聞いていないことを思い出した。
「改めまして、ビリー・スカットと申します。」
まさかのビリー様だった。
「宿舎の方には後日案内いたしますが、今からは短期間の仕事内容を説明させていただきます。」
ん?宿舎は後日なの?短期間は別の場所で過ごすのかしら。
「あなたにお願いしたい仕事は、第二王子殿下の閨教育です。」
は?閨……教育?
「王族男子は、14歳になれば閨の教育が行われます。
座学で学んだことを実践する。その歳に第二王子殿下がなられました。
ご本人の性格により、3つの選択肢が用意されます。
1つ目は、閨事の知識が豊富な娼婦。こちらは口の堅い高位貴族専門に依頼します。
手取り足取り、娼婦主導で閨事の実践勉強ですね。
2つ目は、離婚経験者もしくは未亡人。こちらは過去に夫一人しか経験のない方が多いはずです。
不特定多数相手の娼婦より経験値が少ない分、自分主導で閨事の実践勉強をしたい方用です。
3つ目は、娼婦及び男娼の行為を見学する。実践勉強を避ける方用です。
初めての相手に結婚相手を望む方はこちらを選択されます。
ポイントをしっかりと目で教わる勉強ですね。
お分かりの通り、第二王子殿下は2つ目を選択されました。
自分主導で実践をしたいので、なるべく若く出産経験のない女性を。ということであなたです。」
え……ちょっと待って?
「む、無理、無理です。私にそんなことできません。」
「おや。受けるとおっしゃいましたので、侍女の手続きも済ませております。
今更断ることは、ご実家にクレームをつけることになりますが?」
脅しだ。騙したのと同じじゃない?どこが合法的よ!
未婚の令嬢は純潔だからダメなのか。だから結婚経験者なんだ。
深く考えたらわかったかもしれないのに。父と兄の微妙な顔を問い詰めれば良かった。
「あの…実は、一度しか経験がないのです。なので、お役に立てないかと……」
「そうなのですか?尚更好ましいことです。
第二王子殿下は純潔を希望されたのですが、さすがにそれは問題でして。
亡くなったご主人とも仲が良くは見えなかったと耳にしたこともあり閨回数も少ないかと。
見事に当たりましたね。ますますこのお役目に相応しいです。」
ダメだ……墓穴を掘ったみたい。
「誰にも言いません。なので、ほかの方にお願いできませんか?
私にはそんな勇気はありません。」
「ご心配いりません。数回のお付き合いです。
あなたは独身。誰にも咎められませんし、間近で会うこともない場所に配属します。
黙って寝転がっていれば終わります。もちろん楽しんでくれるならそれでも。
このまま独身でいるつもりなら、新しい生活の区切りに自分を解放してみてはどうです?」
ダメだ……決定事項なんだ。逃げられない。
「では、一度だけではダメですか?
顔を覚えられたくありません。髪色も変えて、化粧も変えて。別人になれるなら。」
「なるほど。一度だけですか。……そうですね。殿下があなたに夢中になる可能性もある。
過去には、結婚直前まで閨の担当として残った方やそのまま愛妾となられた方もいます。
まだ若く経験の浅いあなたとは一度の方がいいかもしれませんね。」
うんうん。と勝手に納得しているけれど、本当に一度だけだからね?
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