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しおりを挟むあんなにイチャイチャしている両親が恋愛結婚ではなかったことに驚いたルチェリアは、そのまま兄の部屋を訪れた。兄にも驚いてほしかったから。
「お兄様、いらっしゃる?」
兄の部屋をノックしながら聞いてみると、『入っていいよ』と声がしたのと同時に兄の侍従が扉を開けてくれたので中に入った。
ソファには兄のレンフォードと兄の友人であるエドガー様がいた。
エドガー様は今年学園に入った兄のクラスメイトで、前から知り合いではあったけれど仲が良くなって遊びに来るようになった。
「あ、エドガー様がいらしたのですね。失礼しました。」
「いいよ。おいで。何かあったのか?」
兄が自分の隣に座るようにソファをポンポンと叩きながら言った。
「何かというか……えっと……」
エドガー様の前で話しても問題ないのかしら。と悩んでしまった時、エドガー様が嘆くように言った。
「僕が居ては話せない深刻な悩みなのかな?それとも僕は頼りにならない?
レンだけでなく、僕も相談には乗れるよ?……迷惑かな。」
「あ、いえ。そういうわけではないのです。
えっと、じゃあ。エドガー様のご両親は政略結婚ですか?恋愛結婚ですか?」
「うち?うちは政略結婚だね。10年以上前に結婚した人たちは政略結婚が多いからね。
君たちのご両親もそうでしょ?違うの?」
「あぁ、うちは爵位的に政略結婚だと思われているかもしれないが、恋愛結婚だと思うよ。」
「へー。公爵様はクールな方だと聞いてたけど恋愛なんだ。」
「それが……さっき、お母様に恋愛結婚ではないって聞いて驚いてしまったの。
お兄様も恋愛結婚だと思っていたでしょ?驚くでしょ?」
兄は驚いた顔をしていた。兄は父に似てクールなタイプ。
家族の前では表情に出やすいけれど、家族以外には無表情が多いらしい。
「そうか。てっきり恋愛結婚だと思い込んでいた。」
「でしょ?しかもね、お互いの条件が合ったから婚約することにしたって言うの。」
「条件?婚約・結婚に望む条件を出し合ったってことか?契約結婚なのか?」
「契約書があるかは知らないけれど、そうみたい。」
「どんな条件なんだ?」
「それは……教えてくれなかったの。内緒って。
でね、今、話しながら思ったんだけど、私も自分が結婚相手に望む条件を考えてみたいの。
伯父様がうるさいから、自分が納得する結婚に向き合おうと思って。
来年、入学するまでに理想の相手っていうか条件と照らし合わせたら探しやすいかと思って。
一目惚れしてのめり込むような恋愛は私には無理だから契約ならいいかと思って。」
「自分が納得する結婚…か。まぁ、最低限の条件っていうのは必要だと思うよ。
例えば、ルチェは公爵令嬢だから子爵や男爵、商人や平民との結婚は避けたい。
ルチェが惚れ込んだ男に見込みがあれば可能性はあるが、学生で将来性があるかは判断できない。
そんなギャンブル的な結婚を親が許すはずないだろう?
となると、最初から条件を伯爵令息以上にしておけば問題ないわけだ。」
「そうね。そういう意味では、ほとんどの人が条件を考えて相手を選んでいるってことね。
うん。じゃあ、まずは『伯爵令息以上』で『跡継ぎ』これを条件にするわ。」
「ルチェリア嬢は、これから条件を考えて理想の契約結婚をするってことだね。
面白そうだし自分にも参考になりそうだ。僕も手伝うよ。」
エドガー様がそう言ってくれた。チラッと横に座る兄に目を向けると溜め息をつかれた。
「そうだな。ルチェが一人で考えると心配だ。思いついた条件は隠さずに言うこと。
男側からその条件をどう思うかも知りたいだろう?」
「そうね。ありがとう、お兄様、エドガー様。」
こうして、ルチェリアの結婚相手に望む条件探しは始まった。
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