家族に裏切られて辺境で幸せを掴む?

しゃーりん

文字の大きさ
6 / 19

6.

しおりを挟む
 
 
この国では、王族は正妃以外に側妃2人が認められている。

同じように、各辺境伯にも正妻と夫人2人が認められている。
辺境伯家にだけ認められているのは、魔力のある貴族の子供がたくさん必要だったため。
魔獣との戦いで命を落とすことがよくあったために、生存率を少しでも高くするために王族と同じく妻が3人と認められた。
だが、これは大昔のこと。


昔、そう定められた頃は、国王と王太子のみに認められたことであった。
だが、ある王太子に子供ができず、第二王子にその役割が回ってきた。
すると第三王子も側妃を求める。

そうして、いつしか王太子だけでなく他の王子にも側妃が当たり前になってしまった。
貴族でいう愛人が側妃みたいなものとなった。 

王族がそうなってしまったために、それは辺境伯家にも適用されると勘違いされた。
妻が3人いると、産まれる男の子の数も増える。
そしてそのそれぞれが妻を3人娶るとまた男の子が増える。
辺境伯となれる者は一人だけだが、兄弟や子供があちこちで魔獣と戦っている。

だが、魔獣の特性などが研究されてきて、死亡率が低くなった。
魔力がなくても戦える騎士も増えた。
なので、妻3人はもう必要ないのだ。

それなのに、なぜ未だに第三夫人までいるのか。

それは、適齢期を逃した未婚の貴族令嬢が辺境に送られてくるからだ。
 
何らかの魔力を持っていれば、産まれる子供も魔力持ち。
どちらかが魔力なしでは、子供に魔力がないこともある。

昔と違って魔力なしの貴族は増えている。
だが、魔力があれば辺境で役に立つと男も女も送り込まれてくるのだ。

男は騎士として。女は子供を産むために。

実家に帰る場所がない令嬢には仕事を与えるが、直系の誰かが気に入れば夫人にすることもある。
騎士たちの中にも実家で爵位を継げなかった者が辺境に来た令嬢と結婚することもある。

要するに、伯父の息子たちの妻になるということは正妻と愛人が共に暮らすようなものだ。
絶対にそんなのは嫌。 


「養うのも大変でしょうに。多妻は廃止したらどうです?」

「そうなんだよなぁ。だから息子たちには2人までにするように言ってるんだ。
 その子供たちからは妻を1人にするようにするつもりだ。
 ほかの貴族と同じにな。まぁ、愛人って形で残るかもしれないが。」

「……先ほど第三夫人を私に勧めませんでしたっけ?」

「あはははは。プリムなら大歓迎だと思って?」

「例外を作れば、全員がまた3人に戻りますよ。」

「……だな。やめておこう。」

「夫人にするから避妊薬を飲まないで子供が増えるんです。
 性欲の発散のお相手だと割り切って避妊薬を飲めばいいんですよ。
 他の多くの騎士たちは娼館に行っているんでしょう?
 妻たちはそっちの方が気が楽だと思いますよ。」

「……そんなもんか?」

「そうです。だって、通常1人のはずの妻が2人あるいは3人いて、それぞれが子供を産む。
 子供を産むって妻の特権みたいなものです。
 だから、他の貴族夫人も愛人に子供が出来たり庶子を引き取ったりすることが嫌なんです。
 自分の子供と愛人が産んだ子供の出来を比べられたりするのは嫌だと思いますよ。」 

「俺の妻たちは仲良く見えるけど?」

「伯母様たちも昔は複雑に思っていたはずですよ。
 まぁ、人それぞれですから平気な方もおられるでしょうけど。
 娼婦になって不特定多数に抱かれるくらいなら多妻でも自分の相手は一人で子供も産めるし。」

「きっついこと言うなぁ。」

「だって、自分の夫は一人なのに夫の妻は自分だけじゃない。
 私は絶対に嫌だわ。
 自分以外に夫の子供を産んだ人がいるなんて許せない。
 それなら愛人や娼婦相手に性欲を発散してくれた方がまだマシ。
 まぁ、私は他の妻も愛人も娼婦も許せないような心の狭い女ですけどね。」

「……王都育ちの貴族令嬢のほとんどはそうだろうな。」
 

辺境に捨てられる令嬢や平民たちは、生きるために手段を選んでいられなくなる。
多妻でも愛人でも娼婦でも。
求めてくれる人がいるから、そうして生きることに納得する。

事実、ここの娼館で働く娼婦たちは売られたり借金があったりする女性はほとんどいない。
仕事として割り切って働いているだけなのだ。
辞めようと思えば、いつでも辞められる。


だけど、私はその生き方を選ぶ気はない。
半分、貴族令嬢として終わったようなものだけど、治癒魔力を活かして働きにきたのだから。
 


  
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹が私こそ当主にふさわしいと言うので、婚約者を譲って、これからは自由に生きようと思います。

雲丹はち
恋愛
「ねえ、お父さま。お姉さまより私の方が伯爵家を継ぐのにふさわしいと思うの」 妹シエラが突然、食卓の席でそんなことを言い出した。 今まで家のため、亡くなった母のためと思い耐えてきたけれど、それももう限界だ。 私、クローディア・バローは自分のために新しい人生を切り拓こうと思います。

三度裏切られたので堪忍袋の緒が切れました

蒼黒せい
恋愛
ユーニスはブチ切れていた。外で婚外子ばかり作る夫に呆れ、怒り、もうその顔も見たくないと離縁状を突き付ける。泣いてすがる夫に三行半を付け、晴れて自由の身となったユーニスは、酒場で思いっきり羽目を外した。そこに、婚約解消をして落ちこむ紫の瞳の男が。ユーニスは、その辛気臭い男に絡み、酔っぱらい、勢いのままその男と宿で一晩を明かしてしまった。 互いにそれを無かったことにして宿を出るが、ユーニスはその見知らぬ男の子どもを宿してしまう… ※なろう・カクヨムにて同名アカウントで投稿しています

【完結】妹ばかり愛され追い出された姉ですが、無口な夫と暮らす日々が幸せすぎます

コトミ
恋愛
 セラフィナは、実の親と、妹によって、家から追い出されることとなった。セラフィナがまだ幼い頃、両親は病弱なカタリナのため設備環境が良い王都に移り住んだ。姉のセラフィナは元々両親とともに住んでいた田舎に使用人のマーサの二人きりで暮らすこととなった。お金のない子爵家な上にカタリナのためお金を稼がなくてはならないため、子供二人を王都で暮らすには無理があるとセラフィナだけ残されたのだ。そしてセラフィナが19歳の時、3人が家へ戻ってきた。その理由はカタリナの婚約が上手くいかず王宮にいずらくなったためだ。やっと家族で暮らせると心待ちにしていたセラフィナは帰宅した父に思いがけないことを告げられる。 「お前はジェラール・モンフォール伯爵と結婚することになった。すぐに荷物をまとめるんだ。一週間後には結婚式だ」  困惑するセラフィナに対して、冷酷にも時間は進み続け、結婚生活が始まる。

妹が公爵夫人になりたいようなので、譲ることにします。

夢草 蝶
恋愛
 シスターナが帰宅すると、婚約者と妹のキスシーンに遭遇した。  どうやら、妹はシスターナが公爵夫人になることが気に入らないらしい。  すると、シスターナは快く妹に婚約者の座を譲ると言って──  本編とおまけの二話構成の予定です。

【完結】我儘で何でも欲しがる元病弱な妹の末路。私は王太子殿下と幸せに過ごしていますのでどうぞご勝手に。

白井ライス
恋愛
シャーリー・レインズ子爵令嬢には、1つ下の妹ラウラが居た。 ブラウンの髪と目をしている地味なシャーリーに比べてラウラは金髪に青い目という美しい見た目をしていた。 ラウラは幼少期身体が弱く両親はいつもラウラを優先していた。 それは大人になった今でも変わらなかった。 そのせいかラウラはとんでもなく我儘な女に成長してしまう。 そして、ラウラはとうとうシャーリーの婚約者ジェイク・カールソン子爵令息にまで手を出してしまう。 彼の子を宿してーー

【完結】妹が欲しがるならなんでもあげて令嬢生活を満喫します。それが婚約者の王子でもいいですよ。だって…

西東友一
恋愛
私の妹は昔から私の物をなんでも欲しがった。 最初は私もムカつきました。 でも、この頃私は、なんでもあげるんです。 だって・・・ね

妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる

ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。 でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。 しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。 「すまん、別れてくれ」 「私の方が好きなんですって? お姉さま」 「お前はもういらない」 様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。 それは終わりであり始まりだった。 路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。 「なんだ? この可愛い……女性は?」 私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

処理中です...