7 / 19
7.
しおりを挟む私は伯父様に従兄たちの第二夫人になることを勧められないように、多妻はごめんだとはっきり言った。
「伯母様たちや従兄様の奥様たちを非難しているのではないのです。
それぞれ、納得して結婚なさったのでしょうから。
私がこれから辺境で働くにあたって、私の気持ちを伯父様に知っていてもらいたかったのです。
おそらく、辺境の騎士様方の中で愛人や娼婦は不要で奥様一筋という方は少ないでしょう。
私が辺境で結婚相手を探す。その可能性がないということを言いたかったのです。」
「……わかった。確かに妻一筋は少ないな。いや、いないことはない。ちゃんといるぞ?
だが、辺境は妻がいても娼館に行くことが当たり前のような土地になってしまった。
王都や他領から見れば、それは異常なんだろうな。
まぁ、その分、無理やり女性を連れ込もうなんて男はほとんどいない。
プリムも誘われるだろうが、ちゃんと断れば問題ない。
俺の姪だと知ってる奴も多いから大丈夫だろうが、大人になったからな。気をつけろ。」
「はい。」
騎士以外にも働いている男はたくさんいる。
そして辺境は独自の考え方で発展してきた。
娼婦を抱いて性欲を発散させることは、辺境の男にとっては汗をかく運動に等しいのだ。
つまりは騎士以外にもその考え方は広がっているというだけで。
愛妻家に見えても、それとこれとは別。というわけ。
約3年半ぶりの辺境に着いた。
お久しぶりの人たちと、初めましての従兄の奥様方やお子様方とも挨拶を交わし、しばらくは屋敷内で部屋をもらうことにした。
辺境に住み続けることになれば、いずれはどこかに部屋を借りてもいいかもしれない。
まぁ、それは2年後に私からチェリムに跡継ぎ登録が変更できてからの話かな。
どこの治療院でも雇ってくれると思うから、辺境にこだわる必要もないし。
両親やチェリム、クラレンスに会いたくないから王都から出たかっただけ。
チェリムの結婚相手が問題なさそうな人だったら、グレイブ領で働いてもいいしね。
わざわざ会いに行かない限り、両親やチェリムには会うこともない。
領地の街も好きだったから、ふとそう思った。
王都で働いて知り合いの貴族に出くわすよりもよっぽどいい。
貰った慰謝料がたっぷりある。
どこに住んでも家を買えるし、働くので家事をする使用人を雇うこともできる。
うん。跡継ぎにならなくても自分の将来はなんとかなるだろう。そう思えた。
1週間ほど、屋敷内や騎士団の人たちに顔を覚えてもらったり、辺境の街をゆっくりと散歩していろいろと覚えて回った。
その後、治療院で働き始めた。
治癒の魔力は病気には劇的に効かない。薬師による投薬の方が効果が高い。
効かないわけではないが、少しずつ時間をかけてじゃないと治療できないのだ。
怪我の方がよく効く。
なので、魔獣と戦って怪我を負う騎士が多い辺境で働くことが治癒魔力の使い手としては一番忙しいといえる。
そうして、辺境で新しい生活を始めてからふた月が過ぎた頃、手紙が届いた。
差出人は元同級生で友人の子爵令息。中身はクレーム?だった。
393
あなたにおすすめの小説
妹が私こそ当主にふさわしいと言うので、婚約者を譲って、これからは自由に生きようと思います。
雲丹はち
恋愛
「ねえ、お父さま。お姉さまより私の方が伯爵家を継ぐのにふさわしいと思うの」
妹シエラが突然、食卓の席でそんなことを言い出した。
今まで家のため、亡くなった母のためと思い耐えてきたけれど、それももう限界だ。
私、クローディア・バローは自分のために新しい人生を切り拓こうと思います。
三度裏切られたので堪忍袋の緒が切れました
蒼黒せい
恋愛
ユーニスはブチ切れていた。外で婚外子ばかり作る夫に呆れ、怒り、もうその顔も見たくないと離縁状を突き付ける。泣いてすがる夫に三行半を付け、晴れて自由の身となったユーニスは、酒場で思いっきり羽目を外した。そこに、婚約解消をして落ちこむ紫の瞳の男が。ユーニスは、その辛気臭い男に絡み、酔っぱらい、勢いのままその男と宿で一晩を明かしてしまった。
互いにそれを無かったことにして宿を出るが、ユーニスはその見知らぬ男の子どもを宿してしまう…
※なろう・カクヨムにて同名アカウントで投稿しています
【完結】妹ばかり愛され追い出された姉ですが、無口な夫と暮らす日々が幸せすぎます
コトミ
恋愛
セラフィナは、実の親と、妹によって、家から追い出されることとなった。セラフィナがまだ幼い頃、両親は病弱なカタリナのため設備環境が良い王都に移り住んだ。姉のセラフィナは元々両親とともに住んでいた田舎に使用人のマーサの二人きりで暮らすこととなった。お金のない子爵家な上にカタリナのためお金を稼がなくてはならないため、子供二人を王都で暮らすには無理があるとセラフィナだけ残されたのだ。そしてセラフィナが19歳の時、3人が家へ戻ってきた。その理由はカタリナの婚約が上手くいかず王宮にいずらくなったためだ。やっと家族で暮らせると心待ちにしていたセラフィナは帰宅した父に思いがけないことを告げられる。
「お前はジェラール・モンフォール伯爵と結婚することになった。すぐに荷物をまとめるんだ。一週間後には結婚式だ」
困惑するセラフィナに対して、冷酷にも時間は進み続け、結婚生活が始まる。
妹が公爵夫人になりたいようなので、譲ることにします。
夢草 蝶
恋愛
シスターナが帰宅すると、婚約者と妹のキスシーンに遭遇した。
どうやら、妹はシスターナが公爵夫人になることが気に入らないらしい。
すると、シスターナは快く妹に婚約者の座を譲ると言って──
本編とおまけの二話構成の予定です。
【完結】我儘で何でも欲しがる元病弱な妹の末路。私は王太子殿下と幸せに過ごしていますのでどうぞご勝手に。
白井ライス
恋愛
シャーリー・レインズ子爵令嬢には、1つ下の妹ラウラが居た。
ブラウンの髪と目をしている地味なシャーリーに比べてラウラは金髪に青い目という美しい見た目をしていた。
ラウラは幼少期身体が弱く両親はいつもラウラを優先していた。
それは大人になった今でも変わらなかった。
そのせいかラウラはとんでもなく我儘な女に成長してしまう。
そして、ラウラはとうとうシャーリーの婚約者ジェイク・カールソン子爵令息にまで手を出してしまう。
彼の子を宿してーー
【完結】妹が欲しがるならなんでもあげて令嬢生活を満喫します。それが婚約者の王子でもいいですよ。だって…
西東友一
恋愛
私の妹は昔から私の物をなんでも欲しがった。
最初は私もムカつきました。
でも、この頃私は、なんでもあげるんです。
だって・・・ね
妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる
ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。
でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。
しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。
「すまん、別れてくれ」
「私の方が好きなんですって? お姉さま」
「お前はもういらない」
様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。
それは終わりであり始まりだった。
路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。
「なんだ? この可愛い……女性は?」
私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる