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しおりを挟む翌日、令嬢の両親と彼女の侍女が研究施設を訪れた。
しかし、彼らが耳にしたのは令嬢の訃報。
信じられず顔が見たいと棺を開けようとする父親に、魔力の暴走で黒焦げだと研究者は告げた。
泣き崩れる両親と、静かに涙を零す侍女。
令嬢は彼らに『ごめんね』と声をかけたが聞こえるわけもない。
侍女が研究者たちのせいだと言わんばかりにギロッと睨んだので、令嬢はその通りだと姉のように慕っていた侍女の頭を撫でようとした。
すると、いつの間にか令嬢の目は侍女ではなく研究者たちに向いていた。
「え……?」
辺りを見回し、両手を確認し、服装を見れば、令嬢は侍女になっていた。
(侍女の中に入った?)
まさか、侍女の体を乗っ取ってしまった?
それならば、侍女はどこに?
(お嬢様?)
自分の中から侍女ミミの声が聞こえた。
(ミミ、生きてる、よね?)
(ああっ!やっぱりお嬢様、生きてらしたのですね!)
(いいえ、私は死んだわ。精神だけ彷徨っていたの。あなたに触れたら中に入れたみたい。)
(ええっ?どうしてそんなことに……生き返れないのですか?)
(無理ね。私は自分の傷を治さずに死ぬことを選んだの。毎日死にそうな痛い目ばかり合っていたから。)
(そんなっ!聞いていた話と違いますっ!お嬢様は怪我人の治療をされていると……)
(怪我人というのは私自身よ。アイツらに傷つけられて治す。その繰り返しよ。狂いそうだったわ。)
(アイツらがお嬢様を殺したってことですね。旦那様に言いましょう。)
(そうしたいけれど……証拠がないわね。黒焦げではないけれど体がひどい有様なのは確かだけど。)
(何か方法を考えましょう!)
(そうね。でも私、この敷地から出られないみたいなの。術がかけられているみたいで。)
(そんなっ……でももしかしたら、私の中にいるままだと出られるかもしれません!)
(そうだったらいいけれど……試してみてもいいかしら?)
(もちろんですっ!ミミはお嬢様とずっと同居でも構いません!)
(同居って……でも、ありがとう。)
棺は護衛数人が担ぎ、研究所の荷馬車に乗せて運ぶことになった。
侍女は棺に寄り添い、敷地内を……令嬢の精神と共に出た。
(出たっ!出られたわっ!)
令嬢の精神が侍女の体に入っている時は、令嬢が主体となっていることがわかった。
侍女の体から出れば、おそらく精神は研究所の敷地に戻ることになる気がしたが試してみないことにはわからない。
(お嬢様、ひとまず私の中に居てください。いろいろ試したくてもまだ駄目ですよ!)
(そうね。殿下にはひとこと言ってやりたいし、研究者たちも許せないもの。その前に消えてしまうことになったら今度こそ死にきれずに怨霊にでもなってしまいそうだわ。)
(そうなってもお手伝いいたします!)
気味が悪いと思うことなく存在を肯定してくれるミミに感謝した。
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