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しおりを挟む聖女様は簡単に、術をかけられてここに縛られていると話をしたけれど、ラヴェンナの頭は疑問符でいっぱいだった。
「未知の魔力が怖くて、婚約者である王太子殿下はここに聖女様を閉じ込めたのですか?」
そんなバカな。やっぱり、アホバカマヌケな男じゃないの。
「未知の魔力を怖がったのは令嬢ということにされたわ。でも実際は違う理由で閉じ込められていたと知ったのは死んでからよ。」
聖女様は再び話しだした。
閉じ込められた令嬢は、研究対象として血を取られたり髪を切られたり、皮を剥がれたり、刺されたり、切り落とされたりと、とんでもない扱いを受ける日々が続いた。
自分で自分を治癒するのだ。
やがて、本来なら致命傷である傷を負った時、令嬢は治癒せずにそのまま死ぬことを選んだ。
研究者たちは驚き慌てふためいていたが、彼らはやりすぎたのだ。
死ぬような傷でなければ、令嬢も痛い思いを長引かせないために治癒をする。
だが、致命傷を与えても、令嬢が死ぬと思わなかったのは彼らのミスだ。
それは閉じ込められてから、ひと月後のことだった。
確かに令嬢は死んだ。
わずか17歳で。
しかし、令嬢の精神は死んでいなかった。
自分の体が死んだのはわかった。
見えているから。
改めて見ると、とんでもなくひどい様だった。
研究者たちは常軌を逸していると思った。
何も悪いことをしたわけでもない、一人の生きた人間だということを彼らは忘れていたのだろう。
何とか元の状態に戻そうとしていたが、くっつくはずがない。
やがて彼らは棺に令嬢を放り込み、蓋を外せないように杭を打ち付けて隠蔽した。
その後、精神体となった令嬢は、どうすればいいのかわからずにウロウロとした。
隔離されていた場所は研究所の建物内の地下で、外に出ることはできた。
しかし、敷地内からは出られないことに気づいた。
そして、印を見つけ、何らかの術がかかっていることもわかった。
途方に暮れた令嬢が耳にしたのは、研究者たちの言葉だ。
『王太子殿下』に知られると叱責される。
『王太子殿下』の命で令嬢を監禁していた。
『王太子殿下』は50年間、令嬢をここから出すなとおっしゃった。
『遺体』を隠すか?
いや、無理だ。
令嬢の両親が明日、面会に来るはずだった。
『棺』を渡せばいい。
魔力が暴走して死んだことにしよう。
なんとも勝手な言い分だった。
おそらく術を施したのは王太子殿下。
王家には今は使用禁止の禁術などの書物もあるだろうから。
令嬢はそう判断した。
『50年間、ここから出すな』ではなく、『50年間、出ることはできない』のだろう。
それが体ではなく、精神に適用されたため、令嬢は精神体になったのだと我が身を理由づけた。
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