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しおりを挟むリリスティーナは、ミミの体から出てユリアの体を乗っ取った。
ユリアの体は、うん。ミミよりも魔力が多いわ。リリスティーナよりは少なそう。
リリスティーナは目の前にいるミミに微笑みかけた。
「お嬢様、ユリア様の中に入れたのですね!」
「ええ。問題ないわ。ユリア、わかる?」
リリスティーナは声に出してユリアに話しかけた。
(え……誰?)
「リリスティーナよ。説明したでしょう?精神だけ彷徨っていることを。さっきまでミミの中にいたの。ミミから出て今はユリアの中にいる。あなたの体を乗っ取ったってこと。」
(乗っ取った……私はどうなるのですか?)
「申し訳ないけれど、乗っ取っている間は私に主導権があるみたいなの。あなたとはこうして同居?していることになるけれど、あなたの意思では体を動かせないし言葉も私としか話せなくなるわ。」
(リリスティーナ様は出たり入ったりできるということでしょうか?)
「そうね。入ることのできるのは女性で、場所や条件もあるけれど。」
(私が公爵家に雇われたのも、聖堂で暮らすことになるのも、リリスティーナ様がこうして私の体を乗っ取るためだということですか?)
「そうね。私は治癒の力を使えるままなの。あなたの体を借りて、あなたの持っている魔力を私の魔力に変えて治癒することになるわ。」
(治癒の力を……そうですか。私の体がお役に立てるのであればどうぞ。)
「ありがとう。そう言ってくれて助かるわ。ミミやユリア以外にも受け入れてくれる女性を探すつもりよ。でもしばらくはユリアの体を借り続けることになるかもしれないわ。いいかしら?」
(構いません。私は……この数か月にいろいろあって疲れてしまいましたから。)
ミミと馬車に乗り、公爵家へと戻る中、ユリアは教えてくれた。
ユリアが姉の婚約者であるジョージに淡い恋心を抱いていたこと。
ウォルタス殿下とリリスティーナが婚約解消したことで自分が王太子妃になれそうだと姉が浮かれていたこと。
リリスティーナが亡くなったことでウォルタス殿下が罪に問われ、姉は王太子妃になれないと喚いていたこと。
ジョージの死因が殿下との浮気に関係があるとバレて、姉と両親が平民になる際に貴族に残るユリアを罵倒したこと。
養父の息子、義兄が馴れ馴れしく体に触れてきて嫌だったこと。
義母と義妹にお気に入りのものまで全て奪われてしまったこと。
そして、ジョージがあんなことにならなければ、姉はウォルタス殿下と、ユリアはジョージと結ばれていたかもしれないと思ってしまったこと。
つまりそれは、犠牲になるのはリリスティーナだけでよかったのにと思った自分を嫌悪したこと。
年の離れた男との結婚はその罰だと思ったこと。
しかしその罰よりも、リリスティーナに祈りを捧げる方が暴力で痛い思いをせずに済むと思ったこと。
楽な方に流された自分を情けなく思っていたところにリリスティーナに乗っ取られて、どこかホッとしている自分がいるということ。
ほんの数か月の間に15歳のユリアに降りかかった出来事は、心を疲弊させていたのだ。
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