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しおりを挟む国王陛下側は、リリスティーナに治癒の仕事を与えようといろいろと考えてくれていたらしい。
確かに、リリスティーナができることといえば、それだけ。
500年という長い期間、リリスティーナを邪険にしないようにと考えながらも利用するために。
リリスティーナは国王陛下にこちらの希望を話した。
「国王陛下も私が憑依することのできる条件を聞き及んでおられると存じますが、体を借りて治癒するにはその体の魔力の多さによって左右されることになります。
ですので、できる限り、魔力のそこそこ多い令嬢が協力してくれると助かります。」
「なるほど。確かにそうだな。……それで、今の君は誰の体に憑依しているのか聞いてもいいか?」
「ユリア・パルモア伯爵令嬢です。ウォルタス殿下の浮気相手の妹ですね。」
国王陛下はまさかそんな相手に、と言うように目を丸くしていた。
「ユリアは新たな伯爵の養女になりましたが、厄介者として年の離れた男に嫁がされることになっていました。ですので、その男と聖堂で働くこととどちらがいいか選ばせました。ユリアはこちらを選び、私が憑依することにも同意してくれています。彼女は魔力もそこそこ多いので助かります。」
「そうか……。新伯爵は愚か者だということだな。対処を考えよう。
ではそういう望まない結婚や虐げられていると思われる令嬢を保護する意味で集めるのはどうだろうか?」
「いえ、新たな聖堂を逃げ込み場所とされてしまうことは避けたいです。秘密を知る者は極力少なくしたいですし、条件を満たさない令嬢に居座られても困ります。」
匿う施設が密かにあると耳にしたことはあるが、あの聖堂をそういう場所にはしてほしくない。
弱者を守ることは国がすればいい。それはリリスティーナの仕事ではない。
金や事業が絡む政略結婚に口出しするのは非常に難しいので、国でもどうこうできないとは思うが。
それに、リリスティーナのための聖堂なのだから、リリスティーナが選びたいというのもある。
「それもそうか。あぁ、魔力の多い貴族令嬢となると、学園でなら見つけやすいかもしれないな。」
確かに。乙女だと思われる令嬢がたくさんいるし。
「学園で、魔力の測定を義務づけることはできるでしょうか?」
「入学時や新年度に一度測れば済むだろう。」
いいかもしれない。魔力の多さを把握できればいいのだから。
卒業後の結婚や境遇に不満を持っていそうな令嬢を見つけられるかも。
とりあえず、ユリアとミミがいるのだし、今すぐ必要なわけでもないし。
聖堂ができて、治癒を始めれば、働きたいと希望する令嬢もいるかもしれない。
そのためには、尊い仕事であると憧れてもらう存在になれるよう、位置づけることができたら。
「それで、聖堂で力を授かることにちなんで、未知の魔力を聖力と名付けることにする。
リリスティーナ嬢が憑依した聖力の使える女性のことを聖女。聖堂で働き君が憑依できる女性のことを聖人と呼ぼうと思うのだ。」
聖力、聖女、聖人。
安易な名づけのようにも思えるが、わかりやすい。
この草案を軸に、大きく動き始めた。
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