聖女になりたいのでしたら、どうぞどうぞ

しゃーりん

文字の大きさ
50 / 100

50.

しおりを挟む
 
 
ユリアの姉、リオーネが治癒に来た日の夜、リオーネは逮捕された。

理由は、『聖女を攫う指示』をしたため。
 

リオーネは聖女を攫おうとしたのではなく、妹を連れてきてもらおうと思ったと供述しているが、そんな言い訳を認めるわけがない。

いや、実際のところはユリアを売り払って金にしようとしたというのが正しいのだろう。

治癒力を求めて聖女を攫っても意味のないことは周知されている。
なので、そういう意味でリオーネがユリアを攫おうとしたわけではないとわかっていた。
 
子を産ませるわけではないため、24歳になっているユリアでも売れると思ったのだろう。
確かに、ユリアはまだ20歳くらいに見えるのだから。


 
リリスティーナは自分の周りにも結界を張れるため、自分に触れさせないようにすることができる。
 
騎士クレッセルも側にいるが、リリスティーナは自分を囮にするために二人で移動していた。

ユリアを攫おうとやってきた男たちは六人。
護衛がクレッセル一人なら簡単に攫えると油断していたのだろう。

リリスティーナはクレッセルの邪魔にならないように自分に結界を張り、身を守った。
その間に、一人、二人とクレッセルに倒されて、最後の二人はクレベール公爵家の騎士が捕らえた。

彼らは少し離れたところから警護しており、クレッセル一人でも十分に全員倒せたが、自分たちの面目のためにも二人捕らえたのだ。

両親や兄に叱責されずに済むだろうとリリスティーナは思った。


人さらいを依頼したのはリオーネであるとすぐにバレた。
そもそも、リオーネは跡をつけられていたのだ。
よくないことを考えていると気づいたリリスティーナの指示で。
 
まぁ、茶番のような逮捕劇で、人さらい六人以外にも裏稼業の男たち八人も追加で逮捕された。

治安のいい街に見えても、どこにでもあくどい商売をする者たちはいる。

捕らえても、またすぐに違う悪い奴らが出てくるに違いないが、それでも捕まえる意義はあるだろう。

両親や兄には自分を囮にしたことを怒られたが、感謝もしてくれた。


リオーネは罪人になってしまった。
人さらいへの加担は罪が重いため、もう二度と会うことはないだろう。

怯えていたユリアもホッとしていた。
彼女はいつか、両親や姉リオーネに会ってしまうことを恐れていたのかもしれない。
常識外れで欲の強い彼らに会ってしまえば、自分だけでは対処しきれないから。

だから表に出てくるのを嫌がり、リリスティーナと一緒にいることを望んでいたのだろう。


それでも、ユリアはリリスティーナに中に居てほしいといい続けた。 


結局、リリスティーナがユリアから次の聖女へと憑依するのは彼女が50歳になる頃だった。
 

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ

・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。 アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。 『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』 そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。 傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。 アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。 捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。 --注意-- こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。 一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。 二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪ ※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。 ※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

婚約者から悪役令嬢と呼ばれた公爵令嬢は、初恋相手を手に入れるために完璧な淑女を目指した。

石河 翠
恋愛
アンジェラは、公爵家のご令嬢であり、王太子の婚約者だ。ところがアンジェラと王太子の仲は非常に悪い。王太子には、運命の相手であるという聖女が隣にいるからだ。 その上、自分を敬うことができないのなら婚約破棄をすると言ってきた。ところがアンジェラは王太子の態度を気にした様子がない。むしろ王太子の言葉を喜んで受け入れた。なぜならアンジェラには心に秘めた初恋の相手がいるからだ。 実はアンジェラには未来に行った記憶があって……。 初恋の相手を射止めるために淑女もとい悪役令嬢として奮闘するヒロインと、いつの間にかヒロインの心を射止めてしまっていた巻き込まれヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:22451675)をお借りしています。 こちらは、『婚約者から悪役令嬢と呼ばれた自称天使に、いつの間にか外堀を埋められた。』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/572212123/891918330)のヒロイン視点の物語です。

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

婚約者様は大変お素敵でございます

ましろ
恋愛
私シェリーが婚約したのは16の頃。相手はまだ13歳のベンジャミン様。当時の彼は、声変わりすらしていない天使の様に美しく可愛らしい少年だった。 あれから2年。天使様は素敵な男性へと成長した。彼が18歳になり学園を卒業したら結婚する。 それまで、侯爵家で花嫁修業としてお父上であるカーティス様から仕事を学びながら、嫁ぐ日を指折り数えて待っていた── 設定はゆるゆるご都合主義です。

聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる

夕立悠理
恋愛
 ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。  しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。  しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。 ※小説家になろう様にも投稿しています ※感想をいただけると、とても嬉しいです ※著作権は放棄してません

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。

藍生蕗
恋愛
 かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。  そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……  偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。 ※ 設定は甘めです ※ 他のサイトにも投稿しています

【書籍化決定】愛など初めからありませんが。

ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。 お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。 「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」 「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」 「……何を言っている?」 仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに? ✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

処理中です...