聖女になりたいのでしたら、どうぞどうぞ

しゃーりん

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リリスティーナは待たせていたイボンヌの元へと向かった。

イボンヌはまだ聖力をどう受け取るのかを知らない。
リリスティーナが体を乗っ取った時、何が起こったかわからず狼狽えることになる。 

何度も他人の体を乗っ取る経験をしてきたリリスティーナは、回数を重ねるたびにその反応を楽しみにしていた。

リリスティーナは自分でも思っている。

性格が悪くなった、と。 

 

「お待たせしたわね。」

「いえ、聖女に選んでいただき、感謝申し上げます!!」


イボンヌはずっと興奮状態にあるらしい。


「では、聖女の代替わりを行います。イボンヌ、聖力を授けるわね。」

「はいっ!」
 

リリスティーナはクレシアの体から出て、イボンヌに触れた。





「クレシア、今までありがとう。あなたと過ごせて楽しかったわ。」

「こちらこそ、ありがとうございました。リリスティーナ様。
ところで、イボンヌ嬢の中はいかがです?彼女のことだから騒いでいるのではないですか?」

「ええ、そうね。とても元気ね。彼女とは後でゆっくりと話をするわ。」
 

リリスティーナはイボンヌがあまりにもうるさいので、心の声に耳を傾けていない。



クレシアはこのまま聖堂を出ていく。

国からの慰労金は聖女を務めた年月によって変わるが、25年間、聖女だったクレシアは孤児院や教育にほぼ全てを費やすという。

なかなか自立する決意がつかなかったが、年老いる前に聖女を辞める覚悟を決めたことで、これからの人生を自分らしく過ごすのだと言って去っていった。



クレシアを見送っていると、一緒にいた聖人が思い出したように言った。


「そう言えば、アレクサンドル殿下がイボンヌ様に会うためにお待ちですよ。リリスティーナ様が憑依される前に会わせると面倒なことになりそうでしたので、代替わりを終えるまで待たせています。」

「せっかちな王子ねぇ。まだイボンヌと話せていないのに。でもまぁ、いいわ。済ませてしまいましょう。」

 
イボンヌにはリリスティーナが入っているため、残念ながらイボンヌが直接アレクサンドルに会うことができるのは、聖女を辞めた時になる。

子供を産ませるわけにはいかないため、十年以上は先のこと。

しかし、アレクサンドルとの結婚を望んだイボンヌの希望は叶えていることに違いはないから。
 


「イボンヌ嬢!君が聖女に選ばれたのは当然のことだろう。おめでとう!」

「ありがとうございます。」

「ジュリエッタとの婚約は彼女が聖女になれなければ解消されるように父に申し出ていた。ジュリエッタの父、ボッティ公爵も同意しているので問題ない。イボンヌ嬢、私と結婚してくれるか?」
 
「まあっ!光栄ですわ、殿下。ですが、聖女である間は王子妃としてよりも聖女としての仕事を優先することになりますが、構いませんか?」

「もちろんだ。大いに励んでくれたらいい。」

「アレクサンドル殿下の妃として恥じないよう、精進いたしますわ。」


こうしてリリスティーナはイボンヌとしてアレクサンドルとの結婚に同意した。


 
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