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しおりを挟むリリスティーナはアレクサンドルと結婚している間に、通常では許可が必要ないろんな書物をこっそりと読み漁った。
あの禁術が記されている書物も隅から隅まで読み、やはりリリスティーナでは術の解除を試みる方法などさっぱり思いつかなかった。
ウォルタスのことが記されている書物には、殺人の首謀者として毒杯とだけ書かれていた。
誰を殺したかということと浮気者であったこと、残虐で愚か者であったことを勝手に書き足しておいた。
リリスティーナに関する記述も、『リリスティーナ聖堂』が建てられた経緯のところに少しだけあったが、正しく記録されていなかった。
ただ、ウォルタスの元婚約者があの場所で亡くなったということだけで。
こちらにも、どういう経緯で亡くなったのかということを勝手に書き足しておいた。
どうやら当時のあの国王陛下は、正しく記録を残すことを禁じたのだろう。
ウォルタスを処分したことで、まともな王だと思っていたが、単なる保身に走った王だったらしい。
思い返せばあの後も、ウォルタスという汚点を忘れたかのように過ごしていた。
息子が500年もの術をかけたことも、聖堂を建てて以降、責任は果たしたと言わんばかりに。
幸いにも、聖堂と聖女に関する費用は今でも減額されることなく支払われているため、問題はない。
そこはちゃんと言い残していたのだろう。
もしそれすらも疎かになっていれば、聖女は辞めていた。
聖女が消えるということは、結界の維持もできなくなるということで、150年前の状態に戻るだけ。
その時は、治癒も止めて、精神体で過ごす。
……ことは寂しすぎて無理だから、申し訳ないけれど、誰かの体を借りて術の効果が消えるまで過ごし続けるに違いない。
そうなった時、子供を産んでみようか。
そんな考えが頭をよぎる。
ある書物を読んで以来、今のままでいいのかわからなくなった。
両親や兄夫婦、ミミやユリア、そしてクレッセル。
みんな、当然のことながら先立ってしまった。
すごく、すごく、寂しかった。
だから、もう親しい人は作らないと決めていた。
……けれど。誰もいないというのも寂しいのよね。
であれば、結婚して、子供を産んで、年老いて、体だけ死ぬ。
そして精神は聖堂へ戻る。
夫や子供、孫が死ぬのを見送る。
……それに耐えられる?いえ、見送る必要はないわ。見送るから寂しくなるの。
また、誰かを乗っ取って、結婚して、子供を産んで、年老いて、体だけ死ぬの。
イボンヌが聖女の役目を終えた後、これを何回か繰り返せば、500年経つんじゃない?
……アリかも?
でもそうなると、聖女は本当にいなくなる。
昔の状態に戻るだけ。それのどこが悪いの?
……悪くないよね?
正直言って、本当に飽きたの。今の暮らし。
イボンヌが最後の聖女でいいんじゃない?
そう思いだしたら、止まらなくなった。
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